読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
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貫井徳郎 『悪党たちは千里を走る』
悪党たちは千里を走る

★★☆☆☆

*あらすじ*
元真面目なサラリーマンである詐欺師と呑気な相棒、そこに美人詐欺師が加わり3人である豪邸の飼い犬誘拐計画を企んだ。しかしその犬の飼い主である家の10歳の息子(巧 タクミ)にこの計画がばれてしまう。しかも巧から「犬の誘拐ではなくて、自分が誘拐されたことにして吝嗇な親から身代金をせしめよう」と狂言誘拐の計画を3人は提案され、巧を含めた4人で狂言誘拐の計画を練るのだが、なんと本当に誰かに巧が誘拐されるというトラブルが発生してしまう。

*感想*
貫井さんらしい「重い」「暗い」話では全く無く、“貫井さんの新しい一面が読めた”作品だったと思います。残念ながら、私はこういう「軽い」「軽快なテンポ」の話は好きではないのですが…

話の序盤では犬の誘拐計画を立てたり、しかしその計画が犬の飼い主である少年(巧)にばれてしまうなどの展開やトラブルがあって、そこそこ楽しかったのですが、巧が誰かに本当に誘拐されてしまった中盤からは、話の展開が遅くなるし、しかし妙に軽快なタッチで、読んでいて「目が文字の上をすべる」感覚でした。

こういう分野を「クライム・コメディ」とでもいうのでしょうか? 正しくどういう分野に属するのかわからないけれど、コメディ調で描くのなら、もっとトコトンくだらないギャグを織り交ぜるぐらいの面白さというか馬鹿馬鹿しさがあっても良かったのかも… なんだか私には中途半端な話にしか思えないので。。。

「空白の叫び」の様な、暗くて重い話をまた読みたいなぁ。。。


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『転生』
転生


★★★☆☆

*あらすじ*
拡張型心筋症の為に心臓移植を受けた青年。術後の経過は大変良好だったが、やがて自分の中に変化と違和感を感じ始める。それは嗜好の変化から始まり、知らないはずの曲の旋律を知っていたり、そして夢には会ったはずのない女性が登場したり… この青年には覚えのない記憶は心臓の元の持ち主(ドナー)のものなのだろうか…?そしてタブーを犯しドナーを探し出した青年がつきとめた最先端の恐るべき臓器移植の実態とは。「生」の意味を問う作品。

*感想*
青年に起こる不可解な現象は『これぞミステリー!』という具合にグイグイと話に引き込まれます。同時に、青年の「他人の心臓をもらってまで、俺は生きるべきなのか」という、臓器移植を受けた人々が陥る葛藤を細かに綴っているところで、読者も臓器移植のあり方について考えされられることでしょう。

この様な現実問題を孕んだミステリー小説というのは、知らなかった現実等を学べるという点で私は大好きなのですが、今回衝撃を受けた本文中に出てくる実話としてこんな話がありました。
なんと1980年代に脳死と診断された妊婦が、その診断後にお腹に宿していた胎児を出産したという報告があったのです。この事実により「脳死」=「人の死」と結びつけるのはおかしいのではないか?との議論が更に白熱したとか。これはかなり衝撃的な話でした。しかし「心臓停止」=「人の死」とだけ定義付けると、心臓移植は一切行えなくなるという現実。うーん考えさせられますねぇ。。。

ドナーの記憶をレシピエントを受け継ぐという事が本当にあるのかはわからないけれど、人間にはまだまだ秘められた可能性があるし、本書ではなかなか面白く、そしてロマンティックなかんじに描かれていて楽しめたので良かったと思いました。



  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『天使の屍』
天使の屍

★★★☆☆

*あらすじ*
中学生の連続自殺が発生した。しかし自殺の原因は「いじめ」ではないらしい。わが子の死が単なる自殺とは受け入れられず、ある父親が学生達の死の真相を追い始める。
彼らを“死”へと駆り立てた本当の理由とは…そこには「子供の論理」があった。。。

*感想*
自殺者が多数でる内容の本だったのですが、結末の「学生達が自殺した本当の理由」に納得する人・しない人、両方いるのではないかと思います。しかし本書はミステリー小説とは違い、「動機」に強い説得力はいらないと思いました。なぜならば、それが私たち大人が忘れてしまった「子供の論理」の1つなのであろうから。

話の中盤で、父親が息子の死の真相解明を試みるにも関わらず途方に暮れる辺りは、少々話の中だるみを私は感じました。しかしそこで最後まで読みきる活力になったセリフが

  − 子供は大人を裏切る  大人の論理を裏切る −

という一節でした。
確かに、その裏切りに大小の違いはあるにしろ、大人が抱いている子供像の如く生きている子供はいないのかもしれない。子供は大人が思っているよりも知識が豊富だったり、狡猾だったりするのでしょう。

子供には子供の世界と論理があるという事を大人に思い出させるのに、良い本だったと思います。



  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『さよならの代わりに』
さよならの代わりに

★★★☆☆

*あらすじ*(「BOOK」データベースより引用)
劇団“うさぎの眼”の看板女優が、上演中に控え室で殺害された。事件と前後して現れた、真犯人の存在をほのめかす謎の美少女。駆け出しの僕は、彼女と共に事件の真相を追い始める。彼女に振り回され、時折見せる曖昧な言動に戸惑いながらも、僕は、その不思議な魅力に次第に惹きつけられていく。しかし、彼女は、誰にも言えない秘密を隠していた―。

*感想*
ミステリーというよりかは、SFが絡んだ青春小説という内容でした。
なので、トリック崩しや真犯人の正体が分かっても「ふぅ〜ん、そうだったのか」程度にしか感じませんでした。この展開は純ミステリー作品を期待していたファンにはがっかりな内容になるかもしれませんね。

私としては、著者の「追憶のかけら」が大好きなので、「追憶…」のような二転三転と読者を翻弄させるような内容ではない本書はちょっと平和すぎる読後だったのですが、いつもながらの読みやすい文章のおかげで、さっさと読み終えてしまいました。

1つ「うーん貫井さんやるなぁ〜」と感じたのは、謎の少女“祐里”の行く末(結末)が、本編の最後ではなく、ちょっと遡るところにあるところです。
このコメント、未読の方にはちょっと意味不明ですよね。気になる方は是非一読を。
こういうちょっと捻ったエンディング、私は好きですよ♪


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『追憶のかけら』
追憶のかけら


★★★★☆

*あらすじ*
最愛の妻を交通事故で亡くし、一人娘さえも亡き妻の両親に預けられてしまい、松嶋は失意の真っ只中にいた。そんな時、戦後間もなく自殺した『佐脇依彦』という作家の未発表手記を松嶋に託したいという男が現れる。この手記に関する論文発表が松嶋の転機となるはずだったのだが、そこには壮大な「罠」と「憎悪」が秘められていた。

*感想*
地味な装丁とタイトルからは想像もつかない傑作でした!(装丁をデザインした方、スミマセン汗
実際に本書を図書館で本書を見かけた時、非常に地味な本に見えてしまい、読もうかどうか悩んだので…しかし、貫井さんの“感性というよりも、物理的に物事を表現・描写する硬派な文章”を読みたい気分だったので、本書を借り読みました。そしたら、もうこれが大当たり!! かなりの傑作&力作でしたぴかぴか

松嶋の人生の転機となるかと思った“佐脇依彦の手記”が、じつは松嶋を更なる不幸へと導く物になるとは、全く想像できませんでした。その緻密に練られた罠と深い憎悪の念を松嶋に向けているのは一体誰なのか… 話が2転3転する後半の展開には、松嶋だけでなく私のことも激しく翻弄し、本当に息つく暇がありませんでした。
その話のポイントとなる佐脇の手記が物語の前半に綴られるのですが、これがまた長い!全部で500ページ弱の本なのに、手記の部分だけで約200ページもあります。読めど読めど手記が続き「一体この本はなんなのだろう?」と途中で疑問に感じる時もあったのですが、その手記だけでも読み応えのある内容なので決して飽きることはありません。手記中の旧カナ使いも特別読み難くするような事もなかったと思います。

人間の憎悪を感じるる場面が多い話なのですが、エンディングには本当に松嶋の味方だった人間が分かり「世の中には、本当に自分のことを見て、理解してくれている人間がいる」という温かい気持ちになりました。 『たとえ世界中の人が敵になっても、自分だけは絶対にあなたの味方だからね!』と言える相手があなたにはいますか? そして、そう思っている気持ちはちゃんと相手に伝わっているのかな…?。
この渾身のミステリーは一読の価値有りですイケテル


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『愚行録』

★★★☆☆

*あらすじ*
都内で幼い子供二人を含む一家4人が惨殺された。物盗りの犯行か、怨恨か。事件を追うルポライターに、友人たちが語ったこの夫婦の本当の姿とは…。

*感想*
宮部みゆきの直木賞受賞作『理由』、恩田陸の『Q&A』と同じ様なスタイルで、ルポライターの取材に応ずる人びとの“証言談話”で話は進んでいきます。

最初にインタビューを受けたのは、一家の近所に住む主婦。この主婦は、まだこの一家との付き合いが短かったせいか、「あの一家が誰かの恨みを買って殺されたなんて思えない。絶対に強盗の仕業です。」と、怨恨説を全否定します。しかし、その後に登場してくる一家夫妻の学生時代からの知り合い達の証言により、夫妻の醜い行いや、それにより怨みを買う可能性もあっただろう生前の愚行が暴露されていきます。この夫妻の愚行を暴露していく知人達の話し方にも人間の狡猾さがよく現れていて、決して夫妻の行いだけが“愚行”ではないと強く伝わり、ぐんぐん話に引き込まれていきました。

読めば読む程に夫妻の本当の姿が見えてくるようで、しかし一方では誰の証言を一番信じれば良いのかもわからなくなってきます。そんな中、ちゃんと犯行の全貌が明らかになるこの結末は良かったと思いました。一番最初のページにある新聞記事の抜粋の意味も最後には繋がるし、ドロドロとした内容な話の割には読後感はすっきりでした♪


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『崩れる−結婚にまつわる八つの風景』



★★★☆☆

*あらすじ*(「BOOK」データベースより引用)
家庭内殺人。ストーカー。怪しい隣人。…家が崩れ、家族が崩れ、町が崩れ、次は、あなたが「崩れる」。「幸福の方程式」を突き崩す8つの事件。

*感想*
男女間に起きるトラブルを描いた短編集でした。
堕落した夫、精神的病を抱えた妻、付きまとってくる男、臭いに悩まされる女と、各話バラエティーにとんだ登場人物とストーリーで面白かったです。
本書が貫井さんにとっての初短編集という事ですが、1話毎にどんどん面白くなっていくので、短編集に対する貫井さんの進化も感じられて良かったです。
1話目の「崩れる」や2話目の「怯える」は、単調な語り口な上に、結末も普通というか、想像の範囲内の終わり方だったので、正直あまり楽しめませんでした。しかし3話目の「憑かれる」あたりから、グッと貫井テイストが出てきて、最終話の「見られる」では、完璧なオチ付きで「おおお〜〜〜なるほどね。やるなぁ〜〜貫井徳郎!」と感嘆の声を上げてしまいました。

全話それぞれ奇妙な人物が登場し、“恐怖”を読者に与えてくれるのですが、私が一番恐怖を感じたのは「憑かれる」と「見られる」かな。
「憑かれる」は、基本的には私の好きではない非現実的な話になってしまうのですが、一度主人公の聖美と読者を「幽霊なんているわけないじゃない」と安心させておいて、再度裏切る展開に焦らしを感じ、すごく良かった。というか、まんまと“やられた”!
「見られる」は、いたずら電話だなんて、主人公の未奈子がかわいそうだし、世の中変な奴がいるもんだ。と思っていたら、意外なところにその“変な奴”が居たという結末に大満足。

2007年の読み納めは本書でした。
来年も沢山本を読むぞー!!
貫井徳郎「空白の叫び」の様な、重い考えさせられる秀作に2008年も出会えますように♪


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『誘拐症候群』
誘拐症候群


★★★☆☆

*あらすじ*
身代金が数百万円程度の小口誘拐事件が発生した。親は “自分達の力だけで用意できるその金額で子供が無事に戻ってくるなら・・・” と判断し、警察には通報せずお金を犯人に渡す-そう、限りなく完全犯罪。。。 そんな中、莫大な身代金を要求する誘拐事件が発生した、その犯人は同一犯なのか? そして彼らの目的とは。。。

*感想*
自分の子供を誘拐され、億単位の身代金を要求されたら、自分ではとても用意できない額なので迷わず警察に通報するでしょう。 しかし、もしもその提示額が微妙に用意できる額ならば、自分ならどうするだろうか?・・・  
『数百万円で、無事子供が戻ってくるのなら・・・』 そして
『警察に通報したら、すぐに子供を殺す』 という脅し。
ムムムムム・・・・難しい・・・・ 
その設定に思わず唸りました!

本全体の印象としては、97年に雑誌連載が始まった作品ということで、“インターネット”という単語ではなく “パソコン通信” といったり、“チャット” ではなく “リアルトーク” と呼ぶところに 『時代』 を感じました。 そういうまだ社会全体にネットが浸透していなかった時代にも関わらず、ネット上で知り合った人を巧みに利用し、犯罪の一部を加担させる人を登場させたり、著者の先見の目は凄いですね。 その当時からネットによる犯罪やプライバシーの侵害等を予期していたかの様に。

そして今回も展開が速くて私の好きなテンポ&構成でした。
次々と違う登場人物の視点から話が描かれ、間延びする事なく進んでいく物語。
視点が変わるので、ミステリーという部分では登場人物全員が 『黒幕』 のように思えてしまい 「もしやこの人が誘拐犯では!?」と疑い、ハラハラ・・・。
そして托鉢僧が身代金運搬の時に“白いカローラ”を指定された理由とトリックが良かったです。

しかし最後のあとがきにて 「この作品は以前出版した『失踪症候群』の続編である」 という言葉を発見してちょっとショックを受けました・・・。貫井さんは「もちろんこの『誘拐症候群』からお読み頂いても楽しめるようになっております」と書いていたけれど、読者としてはちゃんと順を追って読みたかったな・・・。
私の下調べが少なかったせいなので、自業自得なのですが・・。
ちなみにこの『誘拐』の後には『殺人症候群』というのも出版されていて3部作となっているそうです。


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『プリズム』
プリズム

★★☆☆☆
*あらすじ*
ある小学校の若い女性教諭が死んだ。頭部を強打された痕と、体内に残る睡眠薬。 彼女を取り巻く人々が真相を暴くべく探索に乗り出し、推理をしてゆく。

*感想*
これは”推理小説マニアの為の本”だと思いました。ちなみに私は推理小説マニアではありません・・・ので正直読んでいて辛かった・・・。
私は『最後のドンデン返し』系ストーリーが好きなので、この手の本はイマイチでした・・・(『この手』の説明はネタバレコーナーで)

章によって主人公が違うため、いろいろな視点から1つの話と人間像を見ることができるのは良かったです。
例えば亡くなった女性教諭は、生徒から見れば『生徒と同じ目線で物事を見れる良い先生』 なのに、同年代の人から見れば『無邪気に人を傷つける人』という存在になる。 などなど。

ここからネタバレになります。(この作品を読もうと考えている方は読まない方が良いでしょう。読んで下さる方は下記をハイライトして反転させてください☆)
ずばりネタバレですけれど、本書のスタイルである『複数の人々が独自の推理を語り、最終結論は読者まかせ』というのは、私のなかでは納得がいきません。
常に自分の推理と照らし合わせて読書を楽しむような方には、大変面白い構成だし、まれに発生するストーリー内の矛盾に目くじらを立てる事もしなくて良いのでとても楽しめるのでしょうが、私は 「最後の最後にこうきたかぁ〜〜!! くぅ〜〜著者にまんまとはめられたぜぃ!」と思える話と結末が好きなので、こういう著者から「お好きなように解釈してね♪」みたいに話を終わらせられると読後がモヤモヤして仕方がないです。
ちなみに私が思う今回の犯人は・・・
ズバリ!!
 『ただの強盗』 もしくは 『偶然落ちてきた時計が頭に直撃したただの事故』
登場人物の皆が独自の推理を展開しているのだから、その彼らが犯人ではないと単純に考えただけです。
つまらない回答でスミマセン・・・
それにしても、本編で 「チョコレートに睡眠薬を仕込む事が可能だった人間」 「死亡推定時刻直前に彼女と会っていた人間」 「凶器となった時計が頭に当った事が事故の可能性」・・・という同じ事ばかりをグルグル考えてばかりで、かなり疲れたわぁ。。。
この種のミステリ作品の元祖と呼ばれるのはバークリー『毒入りチョコレート事件』との事ですが、多分私は一生読まないことでしょう


以上。 ネタバレ終わり


  ├ 貫井徳郎 -
貫井徳郎 『空白の叫び』
空白の叫び 上

空白の叫び 下

★★★★★

*あらすじ*
普通の14歳の中学生3人がそれぞれ殺人を犯す事になり、その殺人を犯すまでの状況と、犯した後の世界について描いた超長編小説。

『久藤』 小学生の時に苛めにあい、中学では力を手に入れたと信じている。自分の凡庸さを嫌う中学生。
『葛城』 冷静沈着、頭脳明晰、そして経済的裕福な暮らしをしているのだが、彼の生活を乱す一人の人間の存在に翻弄される中学生。
『神原』 実の両親ではなく、祖母と叔母に育てられ、自分の境遇に不平不満を抱いている中学生。

*感想*

登場人物の誰にも感情移入をする事ができなかったけれど、少年が犯罪を犯す心理・状況、罪を償うということ、そして少年院を出た後の社会復帰に関する重いテーマで読み応えがありとても良かったです。しかも超長編、久し振りに深い作品に出会え嬉しい!

3人の主人公達の視点から描いた話が交互に描かれそのスピーディーさにまず圧巻。しっかりそれぞれの登場人物に個性が出ているから(神原の場面では自分自身を『ぼく』と呼ぶ単語が出たり)個々の場面にもメリハリがあって、貫井さんの文章力にも感心。というか読んでいる最中はそんな感心すらする暇なく「読ませられて」しまうのですがね(^▽^;)
本当に「読ませられる」という表現が私の中ではピッタリ。3人からの視点の話が入れ替わりで同時に進むので中だるみがない。むしろ(良い意味で)もどかしい位で。

私が一番印象に残っているのは“第二部『接触』”の部分。葛城君の思考回路が胸に痛かった…「植物のように何も感じない生きものになりたい」と望んだり、「これを屈辱というのだろうか?しかしそれは自分自身が『屈辱的行為』と思うから屈辱になるのでは」と考え廻らす彼。できる事なら助けてあげたいという心を持たせられる程の切ない表現で私まで苦しくなった。。。

が、しかしその1秒後に気が付かされる
「それはあなたが人を殺したからですよ…」
と。
少年院内での酷い環境に耐える事が「罪を償う」という事には直結しないだろうけれど、(実際少年院の目的は“矯正教育”ですし)、そんな厳しい環境に自分の身を置く事になったしまった原因は自分自身だからね。

他にも感想は山のようにあるのだけれど、かなり長くなってしまのでこの辺にしておきます。

最後に『もしもこの舞台が2000年11月28日の少年法改正後の事件だったら』
とも考えてみました。(個人的見解です)
まず少年法改正案が出た時にも論点となった「厳罰化で犯罪は減るか?」という部分。答えはNOでしょう。この主人公3人だけでなく「罰が厳しいから止めておこう」という冷静な判断が元からできるような人間なら、そもそも殺人をしないでしょう。やはりその瞬間というのは後先考えずに犯しているものなのでしょうから。
そしてこの3人の場合、殺人罪という事から検察官送致は免れず、検察官の追求を受け、「自分の無実を理路整然と説明できない」久藤はきっと刑事処分を受けることとなるのだろうな。。。 葛城は頭が良いので少年院での矯正教育程度で、神原は殺意までの経緯が解りやすい分、情状酌量が認められ、比較的軽い刑事処分になるとかかしら。。。
これだとドラマにならないねぇ。。。σ(^_^;) 貫井さんが2006年にこの作品を発表したにも関わらず法改正前の状況で執筆したのにも頷けますな。


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