読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
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桐野夏生 『残虐記』
残虐記


★★★☆☆

*あらすじ*(「BOOK」データベースより引用)
失踪した作家が残した原稿。そこには、二十五年前の少女誘拐・監禁事件の、自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあった。最近出所した犯人からの手紙によって、自ら封印してきたその日々の記憶が、奔流のように溢れ出したのだ。誘拐犯と被害者だけが知る「真実」とは…。

*感想*
桐野夏生にしか書けないないであろう、醜い話でした。いつもながら、この猟奇的な世界を創り出す著者は本当に凄い。醜い人間を書かせたら、私の知っている作家の中でもナンバーワンですね。

毎日のようにテレビや新聞を騒がす殺人事件。日頃私たちはその様なニュースを見ると「なんて酷い犯人だ!」と、その事件に関わる人間の中で、残虐なのは“犯人のみ”と決め付けてはいないだろうか?犯行に走ることになった被疑者の生活環境。執拗に被疑者・被害者の過去や友人を調べ上げ、報道しようとするマスコミ。インタビューを受ける隣人。好奇の目で見る世間。もしかしたら、自分自身も当事者達にとっては残虐と思えるのかもしれない行動をしてしまっているのではないか?という可能性を本書は私たちに問いかけてきます。

そして本書の非常に面白いところが、“『残虐記』小海鳴海”として綴られる、幼女誘拐拉致事件がフィクションなのかノンフィクションなのか全くわからないところでしょう。私たちが日常受け取っている情報というのは、所詮虚構のものなのかもしれない。考えれば考えるほど恐怖を感じる話でした。
おそるべし、桐野夏生。


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『白蛇教異端審問』


★★★☆☆

*あらすじ*
2005年、デビュー12年目に単行本化された桐野夏生初のエッセイ集。
【桐野夏生プロフィール】
1951年金沢生まれ。成蹊大学法学部卒。会社員を経てフリーライターになり、84年に第2回サンリオロマンス賞佳作「愛のゆくえ」でデビュー。
その後も多数の受賞作品を生み出す人気作家。

≪主な受賞とノミネート作品≫
1993年「顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞受賞。
1998年「OUT」で第51回日本推理作家協会賞受賞。
1999年「柔らかな頬」で第121回直木賞受賞。
2003年「グロテスク」で泉鏡花文学賞を受賞。
2004年「OUT」でMWA(Mystery Writers of America)賞(エドガー賞)の最優秀長編賞部門にノミネート。
2004年「残虐記」で第17回柴田練三郎賞受賞。
2005年「魂萌え!」で第5回婦人公論文芸賞受賞。

*感想*
作家、桐野夏生の日々の忙しさと苦悩が伝わってくる一冊でした。
日記として綴られる桐野さんの忙しい日々や、彼女が読み観た書評・映画評、そしてショートストーリーと内容は満載です。

そんな濃い一冊の中で、一番私が読み入ったのは、終盤に綴られる『白蛇教異端審問』の章でした。
白蛇教とは、表現に命を懸ける者たちが信ずる宗教のことで、この章には桐野さんの世間、出版業界、そして作家である自分自身に対する深い思いを綴っています。
作家達がどれほどの覚悟で『文章』を世に送り出しているのか、それこそ「腸(はらわた)を見せてやりたい」という程の覚悟であり、責任を持っているという事がよく解った。しかしその作家達の苦悩の結晶を嘲笑うかのように匿名で罵倒ともいえる書評をする世間とその文章を掲載する業界。そういう軋轢がヒシヒシと伝わり、読んでいて私まで心が痛くなりました。
そして後半にヒートアップしてくるのが、ミステリ評論家の関口苑生氏との「ミステリというカテゴリについて」論争。「ミステリーはお弁当箱」という表現をした桐野さんに対し、関口氏が苦言を呈したことから論争は始まり、その後にはあの東野圭吾氏までが、このミステリーというカテゴリについて語られるまでになっています。作家という職業がどれだけ周りの人々に影響を与え、そして反響に打ち倒れていてはやっていけない仕事なのだというのを痛感しました。

私自身は表現者ではないけれど(このブログはただの日記だし…)、文章という表現を信ずる心は完全な白蛇教信仰者だと思います。言葉・文章を愛する人には是非この最終章「白蛇教異端審問」を読んで頂きたい。言葉・文章というもの一つで、人を幸せにも不幸にもできてしまう無限性を実感すること間違いなしです。

にょろ。


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『リアルワールド』


★★★★☆

*あらすじ*
高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。高校生の心の闇を抉る長編問題作。

*感想*
大人ではなく、子供でもない、複雑な高校生達の心情をこれ程上手く綴っている本を私は知りません。すごい、本当に凄いです桐野夏生。
高校生って、どんなに大人びた言動を発しても、所詮親の保護の元に暮らす未成年なんですよね。それにも関わらず、一歩外に出れば違う自分を演じ、自己防衛・自己演出をもしてしまう知恵もある複雑な年代でもある。 その一歩大人になれない少女達の心情がビシっと桐野節で語られる圧巻な作品でした。

4人の少女+殺人犯の少年、5人の視点からそれぞれ語られるストーリー展開は、読者を飽きさせないスパイスになるのはもちろんのこと、彼ら5人の心の中を理解するのにとても良かったです。
5人はそれぞれ不安や絶望、そして自分のあるべき姿についての悩みを抱え、「自分だけは特別」「自分を理解できる人間はいない」と思う。本当はそれらの悩みは誰もが思春期の頃に抱き、乗り越えて大人になっているのにね。。。
その辺りの“結局世界が狭い高校生達”の心と行動の描き方が、本当に絶妙に上手い。その絶妙な「リアルワールド」を直接的な言葉ではなく、全体的なストーリーの流れから読者に読み取らせる桐野さんの文章力に敬服です。

ちょっと余談になりますが、綿矢りささんは、まさしくこのリアルワールドに出てくる高校生そのものだと思うんです。あと一歩視界が開かれていないところが… どなたかこの感覚わかって頂けますでしょうか?


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『柔らかな頬』



★★★☆☆

*あらすじ*
「現代の神隠し」と言われた謎の別荘地幼児失踪事件。娘の失踪は、姦通という罪を犯した母親(カスミ)への罰なのか。4年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。34歳、余命半年。死ぬまでに男の想像力は真実に到達できるか。 第121回直木賞受賞作品。

*感想*
失踪した娘の捜索ということで、単なる犯人探しのミステリー小説を想像していたのですが、実際は全然違いました。 これは「生きるということ」「死ぬということ」「自分の人生にどう向かい合うか」など、倫理・哲学的要素を主にした作品です。本文中で解り易くこの主題にハっとさせられた文章は、ある登場人物が医師から癌告知をされた時の医師とのやりとりでした。

男 :「先生、僕はあとどの位生きられるのでしょうか?」
医師:「それは『生きるという定義』にもよりますが…」

言われてみれば当然と思うかもしれないけれど、実際に文章で読むと重みのある一言だと思いました。
確かに病魔に侵され延命器具によって生かされている状態でも「生きている」のかもしれないし、逆に身体は健康でもそこに精神が伴わなければ「生きている」とはいえないのかもしれないし… そうこれは人それぞれの定義なのかも。
主人公のカスミが不倫に走った理由は細かい理由はいろいろあるにしろ、結局「自分は生きている」ということを感じたかったのじゃないかと思うし、そしてその後の娘失踪後のカスミは娘の捜索を続けることでしか「自分は生きている」と感じられなくなってしまい、見事な主題描写だったと思いました。

それにしても、決して「聖人」を登場させない桐野作品の作風には時々寂しくなります。いつか是非「人生捨てたモンじゃないよ」と思わせるような人情作品を書いてくれないかな。。。


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『メタボラ』


★★★★☆

*あらすじ*
新陳代謝を意味する「メタボラ」の言葉通り、主人公は人生を1度リセットされ記憶を失い名前も金銭も持たない無垢の状態で登場する。彼は何から逃げていたのか、そしてこれから何を得ていくのか?彼の沖縄での生活が始まった。

著者からのコメント
「彼はいわばすべてを奪われた根源的ニート。自分は何者かとの不安におびえながら、新たな自分を獲得しようとし、何も果たせない話を書きたかった」

*感想*
桐野作品には毎度“残酷な世の中”と“人間の醜さ”を思い知らされます。今回も594ページもの分厚い新作とあり、「どんな酷い世界で、どんな醜い人間が登場するのだろう?」と読み応えへの期待度満点でページをめくり始めました。

結果、やはり期待通りの面白さでした!出だし20ページ位は、記憶喪失の<男>が森を彷徨い、背景のわからない非現実的とも受け取れるようなファンタジックな描写が続く為、「こんな曖昧な情景がひたすら続いてしまったらどうしよう。読んでいて疲れるなぁ」と不安にもなるのですが、その20ページを過ぎれば、あとは嫌でもページをめくる手が止まりません。その<男>の記憶がないという苦悩や、それでも生きていこうとする逞しさ、そして自分の居場所を探し求めるひた向きな姿から目が離せなくなってしまうのです。
またその男の相棒として登場する沖縄の宮古島出身の昭光(あきみつ)の存在が、男とは対照的なキャラクターで、男と昭光の両方の生き方を際立たせ、著者が伝えようとしていると思われる“現代の若者の躁鬱”が解り易く表れていてとても良かったです。

ストーリーの展開と、本書の意とするところ(←私見ですが)の伝え方も非常に巧みだったと思います。話の中盤では、若者は若者なりにいろいろな経験を積もうと沖縄のゲストハウスでボランティアバイトをしたり世界中を旅したり頑張っている。決してただのニートやフリーターではないと訴えかけ、更には低賃金で派遣や請負労働に従事する若者のワーキングプアの問題なども登場するのですが、終盤にはその思考や若者達の言動を「若者は傲慢だよね」と諫める大人が登場。そしてあの結末…(←ネタバレになるのであえて書きません)読後「さすが大人が書いた小説だ!!」「桐野さん、よくぞ書ききった!!」とまだまだ若輩者の私ですが深く感心しました。もちろんこういう主人公のような若者だけではないだろうし、私には私の年代で世の中を改善する努力をしないといけない事も沢山あるのだろうけど、とにかく本書は私よりも若い世代の人に訴えたい事が詰まっていると思える話で大変良かったです。


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『魂萌え!』
魂萌え !

★★★★☆

*あらすじ*
平穏な夫婦二人暮らしを送っていた主婦、関口敏子(59歳)に『夫の急死』という不幸が突然襲い掛かる。突然夫を亡くした悲しみ、子供達との遺産相続・同居問題、いろいろな事が敏子を苦しめる。そんな時に追討ちをかける如く、敏子は生前夫に愛人がいたという事実を知ってしまう・・・。  そんな悩める中年主婦の再生ストーリー。

*感想*
初めてあらすじを読んだ時に 「こ、これは絶対に読むしかない!!」 と思った作品。
だって、信頼していた夫が実は自分を裏切っていたいなんてショックすぎないですか!!??
しかも死んだ後にその事実を知ってしまうとは・・・その怒りと悲しみはどこにぶつければ良いのだろう。(だからって生きている間に浮気の事実を知るのも嫌だけれど・・・)とにかく酷い夫だ!

私は自身の結婚以前から、そして今も
「夫の不貞行為を知りつつも、自分が社会的自立をしていなばかりに、そんな夫に縋って生きていくしかない女にはなるまい」
と思ってます。その為に、たとえ一時仕事を辞めても、社会復帰できるように勉強を続けていこうとも思ってます。
今回のストーリーは、夫の死後にその裏切りを知ってしまったから、敏子がいろいろ翻弄されたりするのは仕方がないかとも思いましたが、やはり前半は弱気な敏子にイライラしてしまったわ。 友人や子供にビシっと自分の意見を言えない所とか、ウジウジしてしまう所とか。 いや、しかし私が当事者になったら、やはり私もそういう態度になってしまうのかなぁ。。。。

しかしそんな弱気な敏子が段々と自分の足で立ち、自分の言葉で意見を言うようになっていく姿は良かったわ〜。夫のお墓を家から遠い郊外に買う所では“裏切りへの仕返し”というかんじで、「そうだ!そうだ!その位やってやれ!」と応援してしまったり、愛人との対立(?)の時には「言い負かされちゃ駄目だよ敏子!がんばれ!」と応援したりと、とにかく敏子に親身になってしまいました。

話の中盤に、千葉には「京葉月光隊」という暴走族があるとか、千葉のヤンキー像について語られるね。この部分はさすがに、生まれも育ちも千葉っ子の私としては「え〜〜〜桐野さん〜〜そんな風に千葉を書かないでぇ〜〜」と思いましたわ。 まぁフィクションだし、まんざら的外れでもなかったけれどぉぉ。

女性(特に年配の方)にエネルギーをくれる1冊だと思いました♪


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『グロテスク』
グロテスク


★★★★☆

*あらすじ*
2人の娼婦が殺害された。一人は誰もが認める美しい顔を持ち、中学生の時から売春をしていた「ユリコ」。 もう一人は優秀な成績で大手建設会社に総合職として入社したエリートの「佐藤和恵」。 そしてその2人を殺したと思われる男 「チャン」の手記を元にユリコの姉が語る彼らの半生。
1997年に実際に起った「東電OL殺人事件」(←昼間は一流会社の社員として働きながら、夜は売春婦に変貌する生活し、娼婦として殺されてしまったという事件)を取材・題材にして書かれた小説。

*感想*
登場人物は全員どこか狂っていて、醜くかったけれど、やはり一番恐ろしく、本作品の読ませどころは佐藤和恵の精神崩壊振りでしょう。
しかもこの佐藤和恵の元になったのは実際に起った殺人事件だというから更に恐ろしい。
この本に描かれている佐藤和恵の学校生活振りや家庭環境がどこまでこの「東電OL」の被害者の人の事実に即しているのかはわからないけれど、和恵の学生時代の動向や、娼婦を始めてからの壊れようはおぞましいものでした。

嫉妬、侮蔑、憎悪、こういう醜い感情をこうも上手く表現できる桐野さんは本当に凄い。
しかしそういう感情の裏側には憧れや羨ましいと思う気持ちが多少なりともあったからなんだろうな。
そう思わされたのは最終章ででした。
あれは「ユリコの姉」としかこの物語でも存在しなかった「私」の自我が出た瞬間ですね。
こんなにドロドロ・グログロの話をまとめるには素晴らしい結末だと絶賛です。
やはり人間って恐ろしい。


  ├ 桐野夏生 -
桐野夏生 『I'm sorry, mama. アイムソーリー、ママ』
I’m sorry,mama.


★★★☆☆

*あらすじ*
実の親が誰か知らず、戸籍もなく、娼館の押入れの中で娼婦達のストレスのはけ口のイジメに遭いながら成長したアイ子。そんな彼女は「女の顔をした悪魔」になり人を騙し、殺し生きていく。

*感想*
人は逆境を乗り越える程に強くなっていくと私は思っているのですが、もしもその逆境に立ち向かおうとする地面自体が既に泥沼となっている、つまりスタート地点にすらまともに立てないような人生を強いられた時に人はどうなるんだろう?と1人悶々と考えた。
そうするとこの本の主人公アイ子の様な人格になるのだろうか? 
とにかくこのアイ子は醜い女性だった。他にもいろいろな面で醜い女性達が登場してくるのだが、その醜さを表現するのが桐野夏生は本当に上手い。会長の元愛人という肩書きで威張ろうとする女性従業員、主人への忠誠を裏切る家政婦、その他諸々男性にはない女性特有の狡賢さとかを上手く表現されていた。

「ふふふ男性諸君よ、女性というのは怖い生きものなんですよー( ̄ー ̄)ニヤリッ 」
と呟きたくなりましたねー 笑。話の場面も最後は1箇所に集まったので、スッキリ終われてよかったです。


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