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*あらすじ*
零細工場の息子・山崎瑛(あきら)と大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬(かいどうあきら)。生まれも育ちも違うふたりは、互いに宿命を背負い、自らの運命に抗って生きてきた。やがてふたりが出会い、それぞれの人生が交差したとき、かつてない過酷な試練が降りかかる。逆境に立ち向かうふたりのアキラの、人生を賭した戦いが始まった――。
*感想*
やはり池井戸さんは天才なんですね
と確信した傑作でした
本当に面白かった
家事育児、そしてパートのお仕事など全てを放り出して24時間ぶっ通しで読みたいと本気で思いました。しかしそんなこともできないので、毎日泣く泣く栞を挟んでは読書を中断し、少しずつ読み進めたのですがね…
本書は、零細工場の息子・山崎瑛(あきら)と大手海運会社の御曹司・階堂彬(かいどうあきら)、2人のあきらの人生を描いた物語でした。
父親の会社が倒産し、経済的に苦しい学生時代をおくっていた山崎瑛。大手海運会社の御曹司で経済的には不自由のない暮らしだが、その跡取り問題や親族間でのトラブルが絶えない階堂彬。
この生まれも育ちも違うあきらたちが大学で出会い、そしてその後の就職先でとうとう人生が交わり始めた時、2人の未来を大きく変えであろう戦いに挑むことになり―。という話で、人生とは戦いの連続である。と言ったりもしますが、この瑛と彬の人生もまさしく波乱と戦いの連続で、読んでいて本当にドキドキハラハラワクワクシクシクさせられました。
具体的に、何にドキドキハラハラワクワクシクシクさせられたのかと言うと、池井戸作品なので、もちろん今回も銀行の融資部と、その融資を受ける企業が登場してきます。まず、アキラとあきらが、どういうポジションで物語が進んでいくのか…もうそこからドキドキしました。バンカー同士として対峙するのか、バンカー対経営者としてなのか、もしくはそれぞれが経営者となっていて、それぞれ銀行と対峙するのか…などなど。
そしてアキラたちが関わる会社の経営難の実情にハラハラし、その苦境を切り抜けるべく繰り広げられる壮大な企業買収計画にワクワクし、最後はあきら2人の人情と幼い頃の思い出にシクシク感動しました。
「アキラとあきら」というタイトルを読んだ時に、まず相反する2人のあきらが登場していがみ合うような姿を想像してしまっていたのですが、本書はそんな器の小さな物語ではないので、ご安心ください瑛も彬も、下衆な私欲や嫉妬などを持たず、ただお互いを敬服し、そして会社と従業員を守りたいがために一所懸命奔走する人物たちで、物語の壮大さと2人の素敵な人間性にただただ感動すること間違いなしです
『会社を救うのか、銀行の論理を通すのか、なんのためにカネを貸すのか―』
今回は企業買収なども大きく関わってくる物語なので、会社の財務関係の話も多々出てくるにも関わらず、池井戸さんらしい硬派すぎない文体とストーリー展開で本当に楽しかったです。感無量。池井戸さん、ありがとうございました