読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
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貫井徳郎 『空白の叫び』
空白の叫び 上

空白の叫び 下

★★★★★

*あらすじ*
普通の14歳の中学生3人がそれぞれ殺人を犯す事になり、その殺人を犯すまでの状況と、犯した後の世界について描いた超長編小説。

『久藤』 小学生の時に苛めにあい、中学では力を手に入れたと信じている。自分の凡庸さを嫌う中学生。
『葛城』 冷静沈着、頭脳明晰、そして経済的裕福な暮らしをしているのだが、彼の生活を乱す一人の人間の存在に翻弄される中学生。
『神原』 実の両親ではなく、祖母と叔母に育てられ、自分の境遇に不平不満を抱いている中学生。

*感想*

登場人物の誰にも感情移入をする事ができなかったけれど、少年が犯罪を犯す心理・状況、罪を償うということ、そして少年院を出た後の社会復帰に関する重いテーマで読み応えがありとても良かったです。しかも超長編、久し振りに深い作品に出会え嬉しい!

3人の主人公達の視点から描いた話が交互に描かれそのスピーディーさにまず圧巻。しっかりそれぞれの登場人物に個性が出ているから(神原の場面では自分自身を『ぼく』と呼ぶ単語が出たり)個々の場面にもメリハリがあって、貫井さんの文章力にも感心。というか読んでいる最中はそんな感心すらする暇なく「読ませられて」しまうのですがね(^▽^;)
本当に「読ませられる」という表現が私の中ではピッタリ。3人からの視点の話が入れ替わりで同時に進むので中だるみがない。むしろ(良い意味で)もどかしい位で。

私が一番印象に残っているのは“第二部『接触』”の部分。葛城君の思考回路が胸に痛かった…「植物のように何も感じない生きものになりたい」と望んだり、「これを屈辱というのだろうか?しかしそれは自分自身が『屈辱的行為』と思うから屈辱になるのでは」と考え廻らす彼。できる事なら助けてあげたいという心を持たせられる程の切ない表現で私まで苦しくなった。。。

が、しかしその1秒後に気が付かされる
「それはあなたが人を殺したからですよ…」
と。
少年院内での酷い環境に耐える事が「罪を償う」という事には直結しないだろうけれど、(実際少年院の目的は“矯正教育”ですし)、そんな厳しい環境に自分の身を置く事になったしまった原因は自分自身だからね。

他にも感想は山のようにあるのだけれど、かなり長くなってしまのでこの辺にしておきます。

最後に『もしもこの舞台が2000年11月28日の少年法改正後の事件だったら』
とも考えてみました。(個人的見解です)
まず少年法改正案が出た時にも論点となった「厳罰化で犯罪は減るか?」という部分。答えはNOでしょう。この主人公3人だけでなく「罰が厳しいから止めておこう」という冷静な判断が元からできるような人間なら、そもそも殺人をしないでしょう。やはりその瞬間というのは後先考えずに犯しているものなのでしょうから。
そしてこの3人の場合、殺人罪という事から検察官送致は免れず、検察官の追求を受け、「自分の無実を理路整然と説明できない」久藤はきっと刑事処分を受けることとなるのだろうな。。。 葛城は頭が良いので少年院での矯正教育程度で、神原は殺意までの経緯が解りやすい分、情状酌量が認められ、比較的軽い刑事処分になるとかかしら。。。
これだとドラマにならないねぇ。。。σ(^_^;) 貫井さんが2006年にこの作品を発表したにも関わらず法改正前の状況で執筆したのにも頷けますな。


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