読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
<< 村山由佳 『アダルト・エデュケーション』 main 貴志祐介 『悪の教典』 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています



- -
角田光代 『ツリーハウス』

*あらすじ*
謎多き祖父の戸籍──祖母の予期せぬ“帰郷”から隠された過去への旅が始まった。満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店三代記。第22回伊藤整文学賞。

*感想*
さすが角田光代! 内容も文章も非常に読み応えのある1冊でした。 女性作家の中で角田さんはもう『大御所』の域にあたるのかしら? 実状はどうだかわかりませんが、本書にはそう自然とそう思える『貫禄』があったと思います。

新宿に位置する中華料理店『翡翠(ヒスイ)飯店』を営む藤代家。
祖父:泰造、祖母:ヤエ、父:慎之輔、母:文江、叔父:太二郎、叔母:今日子、叔父:基三郎、長男:基樹、長女:早苗、次男:良嗣が登場し、一見賑やかに思える藤代家。しかし祖父:泰造の死をきっかけに、良嗣は「祖父母には“親戚”にあたる人々がいない」という事実に気がつく。そして祖父母の隠された歴史が、当時の様子をそれぞれの視点で語られてゆく本書。
一番古いエピソードは、泰造が十代だった頃の昭和15年から始まります。それは戦時中の話で満洲移民や貧困と、激動の世界情勢と国民の生活を描いた重いものでした。そしてヤエとの馴れ初めや、子供たちの誕生が詳細に描かれ、物語の視点は慎之輔から良嗣へと受け継がれていき、まさしく藤代家の歴史をくまなく描いた壮大な物語でした。

藤代一家全員の物語がそれぞれに描かれるので、誰の人生を見てもそれは「たった一つの人生であり、生き方」だと心に響いたのですが、私には読んでいて一番祖母:ヤエの人生が重く苦しいものでした。
例えば、「満洲にいったこと、後悔したことある?」という良嗣の質問に
「もし、なんてないんだよ。後悔したってそれ以外にないんだよ、何も。私がやってきたことがどんなに馬鹿げたことでも、それ以外はなんにもない、無、だよ。だったら損だよ、後悔なんてするだけ損。それしかなかったんだから。」
と答えたヤエの言葉はずっしりと心にきました。あの頃の人々に選択肢なんてなかったのだから。せめてもの選択肢といえば、泰造のように「徴兵」もしくは「逃げる」だけだったのでしょう。しかしその「逃げる」という選択肢すら、じつは無いようなものなのだから。

全章通して、時代背景も登場人物達の思考も、非常に綿密で中だるみがなく読んでいて飽きることが一切ありませんでした。三世代に渡る物語なので、幅広い年代の方々に本書は楽しめる作品だと思います。私も祖父母や両親の歴史をこのぐらい詳しく知りたいな〜 と思いました。




  ├ 角田光代 -
スポンサーサイト


- -
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>
Category
Profile
Archives
Comment
Search
Mobile
qrcode
Sponsored Links