読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
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久坂部羊 『廃用身』


*あらすじ*
「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、しかも回復の見込みのない手足のことをいう医学用語である。医師・漆原糾は、神戸で老人医療にあたっていた。心身ともに不自由な生活を送る老人たちと日々、接する彼は、“より良い介護とは何か”をいつも思い悩みながら、やがて画期的な療法「Aケア」を思いつく。漆原が医学的な効果を信じて老人患者に勧めるそれは、動かなくなった廃用身を切断するものだった。患者たちの同意を得て、つぎつぎに実践する漆原。が、やがてそれをマスコミがかぎつけ、当然、残酷でスキャンダラスな「老人虐待の大事件」と報道する。はたして漆原は悪魔なのか?それとも医療と老人と介護者に福音をもたらす奇跡の使者なのか?人間の誠実と残酷、理性と醜悪、情熱と逸脱を、迫真のリアリティで描き切った超問題作。



*感想*
かつてない衝撃を受けた作品でした。こんな凄い作品を書ける作家が世の中にいて、しかも本職が医師だというからまた驚きです。海堂尊氏とはまた違った切り口の医療小説で、大変翻弄されました


予備知識なく本書を読み始めると「あれ?これって文芸書ではなくて、ノンフィクション小説」と混乱するかもしれません。というのも本書の前半は、“漆原医師が老人医療についての現状と新療法について綴った原稿”という形で描かれ、後半は“漆原医師に執筆を説得した、出版社の編集部長(矢倉俊太郎)の視点から見た、新療法と漆原医師の真の姿”が書かれ、まさに『本の中に本がある』作りになっているからです。この作りは巧妙で、まえがきやエピローグはもちろんのこと、奥付(書物の末尾に、書名・著者・発行者・印刷者・出版年月日・定価などを記した部分)までも書かれている力作でした。


『本の中に本がある』という作風が面白い事もありますが、本書の実力は漆原医師を通して語られる、老人医療と介護の問題でしょう。破綻しかかっている政策、少なくない老人虐待、介護者に従順にならざるおえない老人達の心情など、もう他人事ではなく一人一人が高齢化社会の将来を考えなければいけない問題なのだと実感しました。そしてこれら多くの問題を打開するべく漆原医師が生み出した“禁断の新療法=Aケア”は非常にショッキングで度肝を抜かされるのですが、漆原医師の理論を読んでいるとそれが「悪い事」とは思えず、むしろ「自分も麻痺のある要介護者になったらAケアをお願いしてしまうかも…」と思ってしまいました。


今後の高齢化社会をどうするのか?そしてAケアが定着する日がくるのか?考えさせられること間違いなく、読み応え満載作品です。この衝撃を是非ご自身で味わってみてください

 

 



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