読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
窪美澄 『アカガミ』

 

*あらすじ*

渋谷で出会った謎の女性・ログに勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。これまで異性と話すことすらなかった彼女にとって、“国”が教える恋愛や家族は異様なもので、パートナーに選ばれたサツキとの団地生活も不安と驚きの連続だった。それでもシステムに手厚く護られた二人は、次第に恋愛やセックスを知り、「新しい家族」を得るのだが…

 

*感想*

先日読んだ村田沙耶香さんの『消滅世界』と同じように、若者の生活から恋愛とセックスがなくなった世界を描いた物語でした。

 

本書のメインストーリーは、若者の恋愛・結婚離れからくる少子高齢化を食い止めるべく、国が「アカガミ」というお見合いシステムを展開し、そのアカガミ制度に参加したミツキという女性の生活を描いたものなのですが… 

タイトルの「アカガミ」という名前、そしてその具体的なシステムの内容、参加するメリット・デメリットに一貫性を感じられず、とても落ち着きのない作品に感じましたくもり

 

まず皆さんは「アカガミ」と聞くと何を思い出しますか!?

多分、戦争中の軍の招集令状を思いだすのではないでしょうか。私はそうでした。

なのでてっきり、本書中のお見合いシステム「アカガミ」も、強制的にお見合いをさせられる令状なのかと想像していたのですが、そうではなくて完全に希望制のものでした。

しかも、希望制の割には、その詳しい制度内容が国民に告げられていないという…あせあせ

そのため「アカガミ」に志願・参加したミツキは、驚きの連続の生活を送ることになるのです。

 

ってそんな政策あるかいなっ!!

 

いや、あっても良いのです、フィクション小説なのですから。ただ、その詳細の開示が、まるで後出しじゃんけんの様に、物語内でチョコチョコ付け足されていくものだから、その都合の良さに少々辟易してしまいました…がく〜そしてラストも、アカガミ制度で授かった赤ちゃんには、とある運命が決められていて…唖然

 

って、そんなの最初から知ってたら誰も志願しないっしょっ!!(本日2回目のツッコミ)

 

そして、本書冒頭でセックスワーカーとして登場するログの視点がその後一切登場しないのにも締まりが悪い気がしました。しかもそこで「今の日本の若者はセックスレスどころではないゼロに等しい」と謳っている割には、本書中盤では「まぐわいたい(セックスしたい)」という女性が登場したり、結局本書中の人々の感情がよく理解できませんでした。

 

うーん… 少子高齢化や若者の恋愛・結婚離れ問題を組み込んだ意欲作であるのはわかるのですが、アプローチの仕方がどうも私には受け入れられなかったな…ひやひや

 

ミツキとサツキの2人暮らしは、純粋な若者同士の不器用な恋愛物語として楽しめたのですが、結末はとても残念でした。すみません。



  ├ 窪美澄 -
窪美澄 『水やりはいつも深夜だけど』

*あらすじ*
思い通りにならない毎日、言葉にできない本音。
それでも、一緒に歩んでいく――だって、家族だから。

セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。

同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。

*感想*
子供を持ってからの夫婦と家族の関係を主に描いた短編集でした。

全話に結婚(再婚)と育児が絡んでくるので、未婚の方にはちょっと読み難い作品かもしれません汗。というのも、本書で描かれる結婚と育児の話は、言動についての「あるある話」ではなくて、もっと奥深い精神的な事がメインだからです。「他人の芝は青い」じゃないですけど、巷で見かける家族ってみんな楽しそうで幸せそうに見えますよね。でもわが家も含め、皆さん育児しながらジレンマ、焦り、自己嫌悪感、閉塞感、そして時には絶望する時もあったのではないかと思います。この短編集では限られた文字数の中でそれらを簡潔に描いていて、私はかなり感情移入して時には泣きながら読みました。そう、本当に育児って「育自」と言っても過言ではない位に、大変なものですからね…

窪さんは女性で出産・育児経験がおありの方なので、女性目線の結婚・育児話はさすが上手いな〜と思っていたのですが、本書では男性(夫)目線での話も描かれていて、それがまた良かったです。王道ですが、妻が育児に忙しくて相手にされない→ついつい合コンに参加→若い女に気が向いてしまう話もあったりしてねたらーっ その展開はベタだけれど、話の終盤に妻から「うちも離婚する?」なんて言われた時の空気感が秀逸で、そんな言葉を発した妻の辛さを思うと涙がでましたポロリ

産後鬱や、産後クライシスになっている方は息抜きを兼ねて是非読んでみてください。純粋に文芸として楽しむも良し!大変な思いをして育児をしているのは自分だけじゃないと勇気をもらうも良し!という作品ですよ〜わーい


  ├ 窪美澄 -
窪美澄 『よるのふくらみ』


*あらすじ*
その体温が、凍った心を溶かしていく。29歳のみひろは、同じ商店街で育った幼なじみの圭祐と一緒に暮らして2年になる。もうずっと、セックスをしていない。焦燥感で開いた心の穴に、圭祐の弟の裕太が突然飛び込んできて……。
『ふがいない僕は空を見た』の感動再び! オトナ思春期な三人の複雑な気持ちが行き違う、エンタメ界最注目の作家が贈る切ない恋愛長篇。

*感想*
交際・同棲中の“みひろ”と“圭祐”。そして圭祐の弟“裕太”3人の三角関係的恋愛小説でした。

あらすじには『ふがいない僕は空を見た』の感動再び!なんて書いてありますが、私には『ふがいない〜』程には感動しない作品だったわ…残念ながら…あせあせ

ストーリーはどこにでもある三角関係みたいものです、しかしただの「惚れた」「振られた」という話ではなく、20代後半ならではの結婚を意識した交際、セックスレス、内に秘めた思い…などなどが絡み、鬱屈とした思いを描いているというのがメインテーマになっています。私はそういう儘ならない思いや、鬱屈とした感情を描いた話が結構好きな方なのですが、どうも本書のそういう部分が私の心にスーっと入ってこなかったんですよね…がく〜
多分それは圭祐と裕太視点の章では共感できない言動があったりしたからかな。特に圭祐が父親の浮気相手にほのかな思いを抱くところとか、優等生ぶっているところとか、私にはかなり異次元だったわどんっ ごめんね。
みひろ視点の章では同性ということもあってか何度か感情移入して、切なくなったり苦しくなったりもしたのですけどね。

大人である私の胸にはあまり響かなかったけれど、これは大人のための恋愛小説だと思います。いくつになっても恋愛って難しいと思えたり、それが人生だと受け入れられる年代の方におすすめな作品だと思いますよ〜ぴかぴか



  ├ 窪美澄 -
窪美澄 『アニバーサリー』


*あらすじ*
子どもは育つ。こんな、終わりかけた世界でも―。
七十代にして現役、マタニティスイミング教師の晶子。
家族愛から遠ざかって育ち、望まぬ子を宿したカメラマンの真菜。
全く違う人生が震災の夜に交差したなら、それは二人の記念日になる。食べる、働く、育てる、生きぬく――戦前から現代まで、女性たちの生きかたを丹念に追うことで、大切なものを教えてくれる感動長編。

*感想*
ハラハラドキドキのミステリーでも、巧みに状況や心情が交錯するような群像劇でもない話だったので、トリック物が好きな男性にはちょっと不向きな小説かもしれません汗 でも主人公2人と同じように、女性であり出産経験のある私には、感情移入できる部分があり、女性をとりまく環境の移り変わりに色々と考えさせられて、とても読み入った作品でした桜

昭和の戦争と物のない時代を生き抜いてきた70代の晶子。
平成の女性の社会進出時代を生きる20代の夏菜。
2人の過去を描きつつ、3.11の地震をきっかけに交わることになる2人の生活。それは、解かり合えるとか、心を許しあえるというハートウォーミングストーリーではなくて、時代背景や、家庭環境がその人のその後の人生にどう影響してくるのかを描いた、シビアともいえる内容でした。

晶子は、現代に育児放棄や虐待が多くなったのは自分たちの世代のせいだとつぶやいていのだが、そうなのだろうか?
夏菜は、晶子の家庭的優しさに触れると、これが本当の家庭だと言われている気がして、胸が縮むといっていたけれど、だからって晶子のおせっかいが不要だったのか?

とか、なんだか沢山考えさせられるテーマが沢山でした。しかし、結局誰もが今日を生きていく事で精一杯で、誰が悪いとか決めつけられるものではないとラストにわかり、少しは気持ちがすっきりしました。

この難しいテーマを中だるみせずに読ませてくれた窪さんの筆力は本物だと思います! 女性の生き方に興味がある方は是非読んでみてくださいラブ


  ├ 窪美澄 -
窪美澄 『晴天の迷いクジラ』


*あらすじ*
ただ「死ぬなよ」って、それだけ言えばよかったんだ――
壊れかけた三人が転がるように行きついた、その果ては?
人生の転機に何度も読み返したくなる、感涙の物語。

*感想*
「死にたい」と思っている登場人物3人(20代社会人男子、40代会社社長女性、10代リスカ女子)の話がそれぞれ語られ、最後に3人が出会うこととなり… という話でした。簡単に言えば『絶望→再生』物語。

その『絶望』部分がそれぞれ3人個々に綴られるのですが、その情景・背景・そして心理描写がとても上手く表現力も豊かで引き込まれましたぴかぴか「悲しみ」「苦しみ」を文章で描くには、そういう気持ちになるまでの過程と繊細な心理描写が必要だと思うんですね、それが上手く読者に伝わらないと主人公はただの「悲劇ぶってるヒロイン」になってしまうので。それが本書は3人とも上手く描かれていて、その徐々に追い詰められてゆく様は読んでいる私もハラハラびっくりしました。

その追い詰められ、壊れてゆく描写に私の胸が痛んだ行はこちらですdown

《由人編》
この家が、家族が、嫌いなわけじゃないけれど。だけど、もう十分なんだ、と由人は思った。

《野乃花編》
けれども東京に来て半年後のある日、突然、アパートに離婚届だけが入った白い封筒が送られてきた。追いかけられて、連れ戻されると思っていたのは思い上がりだった。

《正子編》
「それは必要ないですよお母さん」という医師の声だけが聞こえた。母がまた何かを言ったようだった。カーテンが開いて、医師がこちら側にやってきた。小さな声で正子に聞いた。「男性経験はないよね」


前後のやりとりがないと分かりにくい抜粋ですよねどんっ スミマセン汗
気になった方、是非本書読んでみてくださいるんるん この行以外にも、胸が痛くなる場面や、その後の再生の場面で自分にも勇気を分けてもらえたりする良い作品だと思いますよ〜ラブ


  ├ 窪美澄 -
窪美澄 『ふがいない僕は空を見た』

*あらすじ*
これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。

*感想*
素晴らしい文章力・表現力・構成力で圧倒されました。デビュー作とは到底思えない出来です 広告制作会社からフリーの編集ライターへ、という著者の経歴にもとても納得できる素人離れした秀作ですよ、これは

『ミクマリ』という題で、高校1年生男子(斉藤君)と主婦の不倫話から始まる本書。その後は、斉藤君の周りの人々からの視点で物語が綴られ、連作短編集になっています。この『ミクマリ』が第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞作品とのことなのですが、私としては、この『ミクマリ』に続く短編たちの構成と内容に、特に惹かれました。

マザコン男、嫁に孫を強要する姑、宗教団体、痴呆老人、万引きする児童、幼児虐待などなど… 色々な欲望と問題を抱えている人々が登場してくるので、少々本書がエグく感じるのですが、読んでいるうちに「それが現実なのかもしれない」とも思えてきました。私が特に読み入ったのは、斉藤君の友人である福田くんを主人公に描いた『セイタカアワダチソウの空』です。斉藤君を友達だと思っているのに、斉藤君を貶めるようなビラを配ってしまったり、理性とプライドを持っていたはずなのに、ふと見かけた店長のお財布に手が伸びてしまったり… また、バイト先で良くしてくれる田岡さんの裏の顔にも非常に「生身の人間」が表れていて深みを感じました。本書は全話通して「生(セイ・いきる)」というテーマがあるとおもうのですが、この『セイタカアワダチソウの空』には、一番その「生」が出ていたと思います。

タイトルは「ふがいない僕は」となっていますが、女性が主人公の短編も含まれているし、「ふがいなさ」を感じるのは本書に登場してくる人々だけではないので、「ふがいない僕(私)は空を見た」でも良いくらいかもしれないと勝手に思いました。センスの良いタイトルですね。私はこれから先、不甲斐ないことが起きたら本書を思い出すかもしれません。



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