読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
村山由佳 『風は西から』

 

 

*あらすじ*

過労自死———。決して、彼が弱かったのではない。では、なぜ、彼は死ななければならなかったのか?
答えを探して、大企業を相手にした戦いが始まる。
小さな人間が秘めている強さを描く、直木賞作家のノンストップ・エンターテインメント!

大手居酒屋チェーン「山背」に就職し、繁盛店の店長となり、張り切って働いていた健介が、突然自ら命を絶ってしまった。大手食品メーカー「銀のさじ」に務める恋人の千秋は、自分を責めた――なぜ、彼の辛さを分かってあげられなかったのか。悲しみにくれながらも、健介の自殺は「労災」ではないのか、その真相を突き止めることが健介のために、自分ができることではないか、と千秋は気づく。そして、やはり、息子の死の真相を知りたいと願う健介の両親と共に、大企業を相手に戦うことを誓う。小さな人間が秘めている「強さ」を描く、社会派エンターテインメント。

 

*感想*

好きな作家さんの一人である村山由佳さんの最新作ということで、事前情報なく読み始めたら、あれよあれよという間に主人公の恋人(健介)が仕事で追い込まれ、そして自ら命を絶ってしまい、「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇΣ( ̄ロ ̄lll)!!!」と叫んでしまいました(>_<)

 

同時に、健介が職場で追い込まれていく経緯にずーっと既視感があった理由もその時にわかりました。

これは2008年に起きた、「和民」の過労自殺がモチーフだったようです。

もちろん「この作品はフィクションです」の文言が巻末に記されていますが、健介が休日返上で働かされて追い込まれていくエピソードは「和民」の事件の時に明らかになった実態そのままの所が多かったです。

 

*参考に和民の過労自死の時に明らかになった、当時の和民の労働環境はこちら↓

1)研修会への強制的な参加や課題リポート作成のための時間を、労働時間と認めなかった。

2)研修等に必要な渡邉美樹氏の書籍代金を、給料から天引きしていた。

3)研修では、渡邉美樹氏の理念集を丸暗記させ、満点を取るまでテストが繰り返された。

4)休日に、ボランティア名目で研修を行っていた。当然、その研修には、賃金が支払われていなかった。

5)法定の休憩時間を与えていなかった。

など。

 

その後、どうやってご遺族と和民が和解にまで至ったのかの経緯はわからないのですが、本書では健介の死後、勤務していた会社「山背」の不誠実な対応が続き、それは本当に許せないもので、腹立たしく読みました(-_-) 

 

過労自死や、いじめによる自死が起きると、「死ぬ前に会社や学校を辞めればよかったのに」と簡単に口にする人がいますが、そういう判断すら正常にできなくなることが、過労でありいじめなのですよね。本書ではその辺りの「追い込まれざる負えない状況」が前半で書かれていたため、人の弱さと、企業の狡さ、そして遺族の強さを熱く感じられる良い小説でした。

 

特に印象的だったのが、

P87. 健介が異動になった店舗で、店長の大嶋が辞めていった人を熾烈なまでの人格否定をすることに「何も店長が率先して彼らを煽らなくても(悪口を言うように煽らなくても)」と健介が進言したら

「ばか、必要だからやってんだよ。辞めてったやつのことを、今いるやつらに羨ましいとか賢いとか思わせたら終わりなんだ。みんな後に続いて辞めちゃって、使えるやつがいなくなっちまう。だからこそまだ残っているやつの頭に『辞めることは無責任で傍迷惑で最低最悪の選択なんだ』ってとことん刷り込んでおかなきゃならないのさ」

 

の返しですよーー!

こ、こ、怖い(>_<)

こうやって、人は追い込まれていくのですね…。

 

「山背」を相手に戦う、健介の恋人の千秋さん、かっこ良かったな〜〜

山背から、千秋の会社「銀のさじ」に圧力をかけられた時にも屈しなかったあの姿勢、自分の仕事と生き方に誇りをもっているのが、とてもよく伝わってきました。

ちょっと言葉にするのは難しいのだけれど、会社に潰されるまで働いた健介、会社に圧力をかけられても働き続けた千秋。この二人の生き方から、会社で働くことの意味や、会社との付き合い方を考えさせられました。仕事に責任を持つことはとっても大切なことだけれど、それが「生きることの尊厳」を害していないかを見直させてくれる作品だったと思います。

健介の恋人をフルタイムで働く女性という設定にした村山さん、さすがですね。これが無職の女性、もしくは恋人がいない設定だったら、これはただの「山背批判小説」で終わっていたと思います。そうではなく、働くことの良さも千秋を通して描いていた素晴らしい設定でした。

 

今から社会に出る方は読んでおくと仕事への向き合い方の勉強になる作品だと思いますよ〜〜♪

もちろんもう社会でバリバリ働いている方も楽しめるので是非読んでみてくださいね〜〜♪

 



  ├ 村山由佳 -
村山由佳 『嘘 Love Lies』

*あらすじ*

どんな地獄だろうと構わない。でも、この秘密だけは、絶対に守り通す。刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。中学2年の夏にあの事件が起こるまでは――恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちとトラウマを抱えたまま、各々の人生を歩んでいた4人。求め合う体と秘めたる想いが、さらなる苦悩を呼び、暴力の行き着く果てに究極の愛が生まれる。著者渾身の恋愛長編!

 

*感想*

村山由佳さんは、年々作品に厚みと深みが増して、本当に凄い作家さんだなと思いますぴかぴかぴかぴかぴかぴか

本書も期待をはるかに上回る内容で、心が揺さぶられ続け、あっという間に読み終えてしまいましたラブラブ

 

最初、装丁のエロティックさから、村山さんの『ダブル・ファンタジー』的な性愛恋愛小説をイメージして読み始めたのですが、本書はそれよりもさらに奥深い、「親・兄弟・幼馴染・恋人・夫婦」を越えた人と人の繋がりを根底に、その上にある人間ドラマを描いていて、内容が濃く、面白かったですぴかぴか とにかく描かれるエピソードがどれも濃厚なので、登場人物たちと一緒になって「忘れたいのに忘れられない過去」「消せない過去」「この秘密が露呈すれば、自身はもちろん、大切なあの人にも危害が及ぶ」という苦しみに、読者である私も終始向き合わさざるおえなくて、その度に胸が痛み、そして泣きながら読みましたポロリ

 

本書の主人公は、中学生時代の同級生4人(秀俊、美月、亮介、陽菜乃)なのですが、中2の夏にその中の1人が見知らぬ男に強姦されてしまうのです。そして仲間をそんな目に合わせた犯人を許せず報復に動く3人… しかし結果としてその事が4人の人生をその後も支配してゆくこととなり、4人は見えない鎖で縛られているかの如くそれぞれ寄り添い生きてゆく…それが正解なのかどうかは分からず…ポロリ という物語なので、それぞれの愛情、もしくは情愛の表現の仕方が、普通の恋愛小説にはないもので、「人と人を何よりも強く結びつけるものは、秘密を共有した時なのかもしれない」と感じたし、深く考えさせられました。

 

ただ『嘘』というタイトルは、ちょっと私が本書に抱いたイメージとは違かったかな。登場人物たちは、確かに隠し事が多い人たちだったけれど、『嘘』はついていなかったので。基本的には、「知らぬが仏」の優しさからか、色々な事について『隠し通す』ことの方が多い物語だったと思います。

でも『嘘』にしろ『隠し通す』にしろ、自分の全てを曝け出せない苦しみはヒシヒシと伝わってきました。これからの彼らに幸あれ!!そうエールを送りながら読み終えました。

読んでいて辛かったけど、面白かったです。そして自分の平凡な中学生時代が、平凡=幸せだった。と思った作品でした。

間違いなく読み応えあるので皆さんも読んでみてくださいね!!かわいい

 

 

追伸

読書感想とはあまり関係がないのですが、一人でも多くの方に知ってもらえたらいいなと思うことがあるので追記させていただきます。

 

本編で少女が強姦される場面があり、それについて母親が「あなたに隙があったからよ!」と責め立てる箇所がありました。

皆さまはどう思われましたか?

これは先日某タレントが女子高校生に無理やりキスしたとして、芸能界を引退した事件でもあったことなのですが、皆さんもこういう事件が起きてしまったのは、少女たちに隙があったせいだと思いますか?

 

もしも、少しでも女性側にも落ち度があったと感じるようでしたら一度

『公正世界仮説』

という言葉を調べてみて下さい。この言葉の意味を簡単に説明しますと、「善いことは善い人に起こり、悪いことは悪い人に起きる」と心の奥底で願っている心理のことです。

つまり、何も悪いことや落ち度のない人が辛い目に遭うという現実を、人は無意識に拒否してしまうのです。なぜならば、「善い人には善いことがある」と信じている方が社会の秩序が守られるからです。

『公正世界仮説』を信じることは悪いことではありません。しかし、だからといって「被害者側にも隙や落ち度があった」とバッシングするのは絶対に間違っています。それは完全なる『セカンドレイプ』です。

 

これだけの情報化社会なのに、この『公正世界仮説』『セカンドレイプ』という言葉が周知されないのが非常にもどかしくてここに書かせていただきました。

ご一読頂きありがとうございました。<(_ _)>



  ├ 村山由佳 -
村山由佳 『La Vie en Rose ラヴィアンローズ』

 *あらすじ*

薔薇の咲き誇る家で妻思いの優しい夫・道彦と暮らし、予約のとれないフラワーアレンジメント教室の講師、カリスマ主婦として人気を集めている咲季子。平穏な毎日が続いていくはずだった。あの日、年下のデザイナー堂本と出会うまでは。

 

後悔なら、死ぬほどしている。それでもなお、初めて堂本と口づけを交わしたあの瞬間―雷に打たれたようなあの瞬間だけは、人生の宝なのだった。いつまでもきらめく宝石のような一瞬だったのだ。

 

*感想*

エロかったです!切なかったです!そして面白かったです!!ラブラブ

 

本書を一言で表すと、『主婦の不倫小説』で、ストーリー展開は特段変わっているものではないのですが、言葉の駆け引きと心情描写がとても非常にこの上なく(←しつこい)上手で、活字の威力に圧倒されながら読み耽った作品でした。本当に面白かった!素晴らしい文章でしたぴかぴかぴかぴか

 

恋愛は『不安』との闘い

結婚は『不満』との闘い

 

こんな言葉を以前私は耳にしたのですが、本書ではまさしくその状態が描かれていて、いくつかの恋愛を経験し、そして現在婚姻生活を送られている方は、主人公:咲季子の言動にハっとさせられたり、共感したりする場面が多々あるかと思いました。

 

まず、夫である道彦からのモラハラは読んでいて不快に感じる程に度が過ぎたものでしたが、現実にはあそこまで酷いモラハラではなくても、主婦というのはある程度は夫に気を使うし、そして社会から遮断された世界(家の中)で生きている主婦にとっては、自分を評価してくる唯一の存在が夫だけとなり、「自分の価値=夫からの評価」 という危険な判断になってしまうのですよね… なので咲季子が自分の意思を仕舞い込む姿に、その状況と気持ちが理解できて、胸が痛かったです泣き顔

 

そしてそんな自分にもっと違う価値を見出したかったり、自信を持ちたかったり、主婦としてではなく女として求められることの喜びを思い出したかったりしてハマっていく不倫…

その不倫の場面では、不安との闘いと、人を求める情熱と、そしてその恋から醒めた時の悲しさが完膚なきまでに表現されていて、切なかったですポロリ

 

何度も書いてしまいますが、本当に本書の文章は最高でした。最高に良かったです。

『伝えたい気持ちと展開を文字で90%表し、ニュアンスで10%届ける。』という感じだったのです。だって、人っていつでも自分の気持ちを100%言葉にするわけではないですよね、80%とか90%だけ言葉にして、あとはニュアンスと空気感で相手の気持ちを汲み取るのが現実だから、本書はとてもリアルでした。

 

そして最後に本書で一番エロかったと思うところを書かせてください(笑)

それは箱根一泊旅行の夜の

「私のこと……ちょっとは、好き?」

「今さら何言ってんの?そうじゃなかったら、なんでこんなことしてるんだよ。え?」

「好きでもない女に、こういうことする男だと思われてんの、俺」

 

のシーンだったんですけど… あー、是非このシーンを皆さんはどう受け取ったのか語り合いたい(笑)

旦那からのモラハラはストレス以外の何物でもないのに、年下の愛人からの主導権を握られている上から台詞には思わずキュンとしてしまいました 女心は複雑ですねwイヒヒ

 

 

 

 



  ├ 村山由佳 -
村山由佳 『花酔ひ』

*あらすじ*
結城麻子・東京の呉服屋の一人娘「夫婦のつながりは、セックスだけじゃないでしょう?」
桐谷正隆・千桜の夫。婿養子だが野心家「俺は、今すぐにでもあんたを抱きとうてたまらんのや」

桐谷千桜・京都の葬儀社の社長令嬢「もう逃がさへん。あんたはうちの奴隷や」
小野田誠司・麻子の夫。ブライダル会社の営業「お願いだから、もう苛めないでくれ」
共犯関係は緊張を帯び、秘密の濃度は高まり、堕ちていく―身も心も焼き尽くすねじれた快楽の行方。恋ではない、愛ではなおさらないもっと身勝手で、もっと純粋な、何か。夫婦だからこそ言えない秘密がある。

*感想*
村山由佳にしか書けない官能の世界がめまぐるしく綴られていました。官能シーンはもちろんの如くやらしいのですが、女性作家が女性目線で描いているので、男性向けのグラビアや官能小説やらを目にしたときとは全く違う読後感になっています桜 このままいけば『官能の女王・村山由佳』という地位を間違いなく築くでしょうね。いや、もう築いているかな!?
私はこの村山由佳の世界観が好きなので、是非とも女性読者には本書を読んでみてほしいわぴかぴか

今回はW不倫という世界を、性的嗜好を組み込んで上手く書き分けていました。千桜・誠司ペアは「支配と服従」という分かり易い関係が出来上がっていたのですが、麻子・正隆ペアには簡潔な嗜好が示されておらず、惹かれ合うには少し理解し難い部分もあったけれど、なんだか正隆が私好みの男性だったので(あの少し強引でストレートな所がねラブ まぁ利害関係で女を抱くような男ですが…たらーっ)、グイグイ引き込まれてしまいました。

本作は2つの小説誌に同時(パラレル)に連載されていたのですね!巻末を見てわかりました。面白い連載のしかたですね〜上向き 連載当時から読んでいたら、相方たちの動向も同時進行に読めるこの単行本は色々と合点のいく内容で、更に面白く感じたことでしょうね揺れるハート
構成にも仕掛けがあったとは、村山さんなかなかやるな〜グッド と唸ってしまいました
また次作を楽しみいしていまーすラッキー


  ├ 村山由佳 -
村山由佳 『放蕩記』

* あらすじ*
母を持つすべての大人たちへ。
“母”という名の恐怖。“躾”という名の呪縛。逃れようともがいた放蕩の果てに向き合う、家族の歴史。
38歳で離婚歴のある女流作家・夏帆は、自由奔放に暮らす一方で長年抱えこんできた秘密があった・・・。親が老い、娘が大人になった今だから見えてくる、母娘の愛憎と家族の歴史。女とは、血のつながりとは…。
村山由佳、衝撃の半自伝的小説。

*感想*
娘として生まれ、娘を持つ母として、この小説は忘れられない1冊になることでしょう

「娘たちは、皆同じ位に母親に傷つけられている」
という文章を以前何かで読みました。それはつまり、どの母親に育てられようが、些細な事で傷つけられ、そして不満を抱くものだという事なのだろう。現に私自身も、母親に無遠慮に投げかけられた、忘れられない言葉が多々あります。しかし私も年齢を重ね、一女一男の母親となった今、少しずつではありますが、当時の母親の気持ちや立場が理解できるようになってきました。

多くの娘たちは、自身年齢が当時の母親の年に近づくにつれ、母の全てを受け入れる事ができるようになるのでしょうが、本書の主人公:夏帆の場合はそう簡単にいくものではありませんでした。それは母親から受けてきた支配的環境が壮絶だったからでしょう。子供にとっての母という存在の大きさ、しかし親子とはいえ2人は別人格であり、子供には子供の世界がある。というのを本書はありありと書き示し、ただ今育児真っ最中の私の頭と心に響きました。特に、中学に上がってすぐの夏帆が、週末に友達とテニスクラブに行きたくて母親と揉めるシーンは強烈で、まさしく「躾」も行き過ぎると「調教」になってしまうのだということを知りました。(私なら娘に惨めな思いをさせたくなくて、すんなりお金を出してしまうだろうけどね…。 それも良いんだか悪いんだか…)

『親の役目は、何があろうと赦すこと』
確かに、私も色々と親に叱られてきたけれど、赦し愛してもらっているなと思います。
私も母として、この役目を子供たちに繋いでいかなければね



  ├ 村山由佳 -
村山由佳 『アダルト・エデュケーション』

* あらすじ*
誰かと重なり合いたいという、根源的な欲望を抱える12人の女性たち。心の奥底に、それぞれが願望を秘めている。密やかで強烈な性愛のファンタジーが現実になるとき、女たちは新しい自分を知る。純度の高い「もうひとりの自分」に出会った女たちの真の再生の物語。 渇いた体と心に染みいる長編連作小説。


*感想*
2009年発表の『ダブル・ファンタジー』で新境地を開いた村山さん。本作も「成人女性のための性と性愛」を見事に描いています
本書は12編からなる短篇集で、全話主人公は女性。そして性に関する記述が必ず出てきます。それは「セックスレス」「同性愛」「性癖」だったりとバリエーション豊かで、しかしグロテスクにはならない、絶妙なタッチで描写されます。この女性心理をしっかりと描きつつ、官能シーンもキッチリ書き上げる技量は「ダブル・ファンタジー」で見せたレベルの高さと同等のものでしょう。今私の知っている作家で、ここまで女性の胸の内と性愛を、バランス良く、かつリアルに書ける人は村山さんしかいないと思います

著者によるあとがきに「いったいどうしてなのだろう。どうしてこの時代においてすら、女性側から性愛を欲することはタブー視されてしまうのだろう」という記述があります。確かにその通りだと思います。しかし本書にその答えは載っていません。ただ、その欲望に悩み、苦しみ、そして忠実になった女性達が描かれるだけ。それでも多くの女性が本書から勇気や共感をもらえると私は確信します。

女性目線で本書は描かれているので、どこまで男性の支持を得られるのかわからないけれど、世界でトップクラスの「セックスレス国」として、性別を問わず本書を読んでみると良いのではないかと思います。
そして女性諸君!欲望に素直になるのだ!!なんてね





  ├ 村山由佳 -
村山由佳 『ダブル・ファンタジー』


★★★☆☆


*あらすじ*
田舎に暮らし、家事とマネージャー業をこなす夫を持つ脚本家、奈津35歳。夫に対して不満はある、しかし夫は決して悪い人ではない… そうやって本来の自分を押し殺して結婚生活を続けてきた。しかしある日、尊敬する男と浮気をしたのをきっかけに、奈津は家を飛び出し“外の世界”を知ってしまう。男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。何所へ向かっているのかは分からない。でも、もう後戻りはしない『結果はすべて自分で引き受けてみせる』と誓う奈津だった。


*感想*
村山由佳といえば、「おいしいコーヒーのいれ方シリーズ」や「天使の卵」などの純愛系を思い浮かべる方、予備知識なく本書を読むと
「これは、本当にあの村山由佳が書いたの!!?? 同性同名の別の人じゃないの??」
と疑いたくなると思います。
それ程に、本書は著者にとって一皮剥けた作品になっていると思います。


今までの村山作品と全然違った作風になった要素は2点、細やかな主人公の思考・心理描写と、濃密な官能シーンではないでしょうか。
まず細やかな思考・心理描写について。相手の男性によって、奈津の思考が盲目になっていたり、どこか醒めた目で見ていたりという、書き分けが非常に上手だったと思う。今まで10代〜20代の純な恋愛イメージが強かった著者ですが、今回奈津の細かい思考・心理を丁寧に描いたことで、これこそ『場数を踏んできたけれど、まだ恋愛に対してどこか諦めきれていない30代女性の恋』というのを見事に描いていたと思いました。


そして濃密な官能シーンについて。今回かなり鮮明な描写になるため、人によっては「ただのエロ小説じゃん」と思うかもしれません。しかし、私には「よくぞここまで書いた!」と賞賛したいし、今までピュア路線だった村山由佳だからこそ、ここまで書くべきだったとも思いました。


総評としては、かつてない官能シーンも然ることながら、「表現者達による言葉の絡み合い」が巧みで、大変面白かったです。特に前半の奈津と志澤のメールのやりとりは、奈津の悩みに対して、志澤の的を得た簡潔な返信が素晴らしい。そのメールのやりとりだけで、奈津が志澤に惹かれる理由がわかる気がしてきます。他にも、脚本家として成長している奈津を抑圧する旦那の事を
<お前が離乳食をまずく感じるようになったのはお前に歯が生えたからだ!>
と表現したりと、いい文章が沢山あり、村山さんの文才がとても羨ましくなりました。


女性視点の話なので、男性には不向きな作品かもしれませんが、女性の心理と体のしくみについては良い勉強になると思います。



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