読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
桜庭一樹 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet』


* あらすじ*
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。



*感想*
<好きって絶望だよね>


こんな大人びた台詞が13歳の中学生から出るとは… いや、思春期真っ盛りで感受性の強い頃だからこそ言える言葉なのか。


父親を亡くし働く母親に代わって家事とひきこもりの兄の世話をする山田なぎさと、父親が有名人の都会からの転校生海野藻屑。二人は辛い現実から抜け出すために、なぎさは一刻も早い自立を企て、藻屑は現実逃避することで身を守っていた。
二人の所詮未成年者で親の庇護の下でしか生活できない弱さを突きつけられる度に胸が痛くなります。しかも冒頭にて藻屑ちゃんの行く末がわかってしまっているので、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
砂糖菓子でできた弾丸では、世界と対峙することは不可能だから。。。


最後の最後に、今まで影が薄く頼りなかった担任教師が、じつはただのお調子者ではなかったという事が分かり、それがせめてもの救いでした。なぎさの母を怒鳴り、「生き抜けば大人になれたのに」と苦しそうにうめいた時には、私も涙がこぼれました。


桜庭一樹の文章は本当にセンスが良いですね。ストーリーとしては好き嫌いがあるかもしれませんが、凡人には思いつくことが出来ないような文章(今回でいう藻屑の妄想の世界)は一読の価値ありだと思います!!



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桜庭一樹 『私の男』
私の男

★★★★☆

*あらすじ*
淳悟は「私の養父」であり「私の男」である。
花と淳悟は15年もの間、与え合い、奪い合い、2人暮らしてきた。
禁忌を破る二人の絶対的な愛が築かれた過去が、時間を遡り描かれてゆく暗黒の長編小説。

*感想*
ご存知の通り、第138回直木賞受賞作品です。
エンターテイメントとしては面白い作品でした。しかし、この作品が直木賞を受賞するとは、正直な感想驚きです。駄作という意味ではありません、インモラルが前面に書かれているこの作品では、世間の評価は賛否両論だと思うからです。
皆さんは近親相姦について描かれている話をどう受け止めますか?
私は、「別世界の事」「非現実的」として割り切って読めたので、特別な不快感を感じなかったのですが、きっと実際に娘さんがいるお父さん世代の人などには、気持ち悪く、知りたくも考えたくもない世界で、嫌悪感を感じた方もいるのではないでしょうか。ちなみに、直木賞の選考委員は、阿刀田高・五木寛之・井上ひさし・北方謙三・黒岩重吾・田辺聖子・津本陽・林真理子・平岩弓枝・宮城谷昌光・渡辺淳一の11作家達です。娘と父親の近親相姦について拒否反応をがなく、大賞に選んだ審査員は一体誰なのだろうか?と興味が沸いたので調べてみました。阿刀田高(1935年生) 北方謙三(1947年生)などと、全体的に年齢層の高い審査委員軍団なのに、本書をエンターテイメントとして評価できるのは、さすがプロってかんじですね。

内容についての感想ですが、構成が斬新で(私にとっては)、どんどん次の章を読みたくなるワクワク感のある面白い作りで非常に良かったです。本書は6章から成り立ち、章を追うごとに時系列が遡っていきます。

第一章 2008年6月 『花と、ふるいカメラ』
第二章 2005年11月 『美郎と、ふるい死体』
第三章 2000年7月 『淳悟と、あたらしい死体』
第四章 2000年1月 『花と、あたらしいカメラ』
第五章 1996年3月 『小町と、凪』
第六章 1993年7月 『花と、嵐』

一章で花(娘)と淳悟(父)の絆の強さが切々と綴られ、非常に強い違和感を感じるのですが、読み進めて過去の話に遡る毎に、二人の絆が強くなっていった背景と当時の二人の感情が見えてきます。まるで第一章で感じた主人公達(娘と父)の奇妙な言動の裏付け捜査が、第二章から六章にかけて行われている、という具合でしょうか。本書を楽しめるかどうかの岐路は、第一章で「何故主人公(娘と父)は、そんなに互いを求め合っているのだろうか?どんな過去を乗り越えてきたのだろうか?」と興味を持てるかどうかかもしれません。間違っても感情移入や共感という面ではないでしょう。二章と五章には、第三者の視点(美郎と小町)の話が入るというのも、二人を取り巻く世界が客観的に描かれ面白さが増したとも思います。
全体的に、暗くてドンヨリした文章と内容で、読んでいて決して明るい気持ちにはならないけれど、いろいろフィクションとして割り切って、是非この構成をいろんな人に楽しんでもらえたら良いと思いました。

読後、六章から一章に向かって時系列通りの再読をしたのですが、これはこれで面白かったです。しかしこの時系列通りの構成で一章が最終結末になるとなると、「で?それで?」とツッコミを入れたくなってしまうような終わり方なので、やはり時間が遡っていく構成あっての「私の男」ですね。面白かったです♪


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