読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
金原ひとみ 『マザーズ』

*あらすじ*
同じ保育園に子どもを預ける三人の若い母親たち―。家を出た夫と週末婚をつづけ、クスリに手を出しながらあやういバランスを保っている“作家のユカ”。密室育児に疲れ果て、乳児を虐待するようになる“主婦の涼子”。夫に心を残しながら、恋人の子を妊娠する“モデルの五月”。現代の母親が抱える孤独と焦燥、母であることの幸福を、作家がそのすべてを注いで描きだす、最高傑作長篇。

*感想*
金原ひとみさんは、やはり芥川賞受賞作家で『書ける人』なのだという事を、まざまざと見せつけられました。芥川賞受賞作である『蛇にピアス』と同様に、本書もドラッグやセックスなど過激な内容を含み、決して美しい文章と世界観ではないのだけれど、主人公達の思考を中心に綴られていく長い長い文章は圧巻だったわ

3人の母親達が主人公となる事から、本書前半はそれぞれの母親のキャラクターとその子供たちの結びつきが覚えられず、何度か戻って読み直したりしてしまいました (しかも「ミカ」という男性が登場するのがヤヤコシイ!) しかし中盤から終盤には、登場人物たちの個性がしっかりインプットされるし、それぞれが悩ましい状況に置かれてゆくことから、どっぷりと本の世界に入っていけました
母としての幸福と孤独。大変な育児の中で、一番の頼れる存在であるはずの夫に頼れない状況。そして母という役割だけでは満たされない女としての心…。3人の女性達の心情が凄く伝わってきて、読んでいて私も苦しかった。。。 特に涼子の章は胸が張り裂けそうな程に読んでいて辛かった。 金原さんも2児の母だから、赤ちゃんが苦しむシーンなんて書いていて絶対に辛いはずだと思うのですが、きっと“仕事”として書くことができるのでしょうね。凄いな、これがプロなのでしょうね。

育児経験がない人には読みにくい話かもしれないけれど、作家であり母でもある金原さんのこの力作を是非読んでみてほしいと思います






  ├ 金原ひとみ -
金原ひとみ 『TRIP TRAP トリップトラップ』


*あらすじ*
女友達とぶらりと向かった伊豆、恋人と行くハワイ、結婚して訪れたパリ、子育ての中逃げるように辿り着いた湘南――。旅の中に見つかる男女の交情。旅とは、女を大人にさせ、そして男を子供にさせる。著者の成長を感じさせる、新境地の短編集。


*感想*
「女は旅で大人になり 男は旅で子供になる」
素敵なコピーだなと思い、本書を手に取りました。


題名や、本書発売に向けての著者のインタビューを見て、本書を「旅行記風小説」と勝手に想像していた私。しかし実際は、完全なる旅行記風小説でもなければ、一人の少女の人生を追った連作短編集とも言い難い、不思議な1冊でした。


6話からなる本書には、マユという15歳の少女が登場します。年上の男性と同棲をし、中学校には通わずに専業主婦的生活を送るマユ。そんなマユの世界と交友関係は、アパート近辺と隣室の住人だけだった。2話目で17歳となったマユが友人と沼津に行き、3話目で結婚相手とパリへ、そして最終話では、仕事と育児の合間に訪れた湘南での話が描かれます。
全編を通して、どんどん世界が広がり、思考回路に我儘で幼稚な部分を残しつつも、成長をしていくマユの姿に、とても惹かれました。しかし4話目のハワイの話では、主人公がマユなのかどうかが、はっきりとは書かれてなく、今までのマユに比べると、気性が穏やかになっているので、ちょっと混乱しました。


18歳以上の女性をおばさん扱いするところ、家事とは終わりのない苦行みたいものだと言うところ、そして“女”が“母”へと変化する様子を巧みな文章で綴っていることから、本書はとても女性向な本だと思います。特に子連れで海外旅行をした事がある人には、一層深く共感できる場面があると思います。


「蛇にピアス」で見られた過激な暴力と性描写が、本書では描かれない事から、著者の純文章での成長がとても感じられ、彼女の作品をもう少し読んでみたいと思いました



  ├ 金原ひとみ -
金原ひとみ 『蛇にピアス』


★★★☆☆


*あらすじ*
“スプリットタン”(二股に分かれた舌)を持つ男、アマと知り合った19歳のルイ。ルイは、アマの影響で自身の舌にもピアスと、そして背中に刺青を入れ、身体改造へとのめり込んでゆく。自身の体を痛めることでしか、自分の存在を確認できない若者達を描いた衝撃作。
第130回芥川賞受賞、第27回すばる文学賞作品。


*感想*
2004年に発表された、第130回芥川賞の結果は、誰もが驚き、そして忘れられない作品になっている事と思います。綿矢りさ(当時19歳)「インストール」と、金原ひとみ(当時20歳)「蛇にピアス」でしたね。二者によるダブル受賞、芥川賞受賞者の最年少記録を更新、そして著者達の作風とその風貌のコントラストに、マスコミが大騒ぎしたものでした。
私もなんだかんだ「話題作は押さえておきたい派」なので、受賞直後に両作品を読んだものです。
しかし当時はまだブログを開設しておらず、本書の感想を書いていなかったので、再読してみました。


本書が「面白い」か「面白くない」か、と尋ねられたら、「面白くない」と私は答えます。しかしそれは、好みの違いなだけであって、著者への才能と可能性は確かに感じました。主人公のルイや、本書執筆時の著者の年齢って、「何か面白いことない?」「何かムカツク」と、漠然とした感情が渦巻いている時だと思います。それらの単純には表現できない世界感を、ピアッシングや刺青などの身体改造をキイとして、一生懸命読者に伝えようとしていると、私には感じました。


本書に結論はなく、そして暴力と性描写が多い為、未成年には絶対に勧められないし、読後に嫌悪感を抱く読者もいると思います。しかし「こういう生き方しかできない人たちもいる」という程度の気持ちで読んでみるのも悪くないと思いました。ただ今後、著者には“過激な文章がウリ”な作家にならない事だけを、私は望みます。



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