読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
山崎ナオコーラ 『手』


★★★☆☆


*あらすじ*
寅井サワコ 25歳。職業 配信会社OL。仕事に対してやる気が皆無なので、仕事のミスを注意されても屈辱も何も感じず、何事も諦めるのが一番だと思っている。
現在彼女がデートをしている相手は2人いる。1歳年上の他部署で働く森さんと、直属上司で58歳の大河内さんだ。しかし非常に醒めている彼女は、彼らとの関係が深まることがないのだった。
第140回芥川龍之介賞候補作品


*感想*
芥川賞候補作品だけあって、ご想像通りに派手な事件やエピソードのない物語です。通常こういう純文学的な内容を私は苦手とするのですが、主人公のサワコの言動に興味を惹かれ、飽きることなく読めました。


そのサワコの言動とは、仕事や社会、そして男性関係に対して、とても醒めているところです。その醒め具合と、サワコの女性としての強さを、私はとても“現代的”だと思いました。近年、小学生に「将来の夢は?」と尋ねても「特にない」と答える子供が多いそうです。いろいろと恵まれ、与えられて育った為に、夢や希望を貪欲に追いかけるという姿勢を失ってしまったのでしょう。サワコの何事にも無力な姿勢は、まさしく何不自由なく育てられた現代人の象徴だと感じました。そして男性に対して見下した思考は、「男女平等」を当然の権利として主張している、今どきの女性像を見事に描いていたと思います。


今どきの若者(20代半ば頃)が、何を考えているのか分からず悩んでいるおじさん、本書を読んでみてください。若者全てがサワコの様に、無気力なくせに社会批判だけはネット上で主張しようとしたり、森さんの様に、付き合っている彼女がいるのに、なんとなく雰囲気や流れにまかせて、他の女の子と遊んだりする様な人たちばかりではないけれど、彼らの空気感はなんとなくわかるのではないでしょうか。


文章は緩やかですが、鋭く現代の現実を描いた一冊でした。

 



  ├ 山崎ナオコーラ -
山崎ナオコーラ 『指先からソーダ』
指先からソーダ


★★☆☆☆

*あらすじ*
デビューから2007年までに、朝日新聞土曜「be」で連載されたエッセイと、その他執筆した全エッセイを単行本化した、山崎ナオコーラ初のエッセイ集。

【山崎ナオコーラプロフィール】
1978年福岡県生まれ、埼玉県育ち、東京都在住。國學院大學文学部卒。
2004年に会社員をしながら書いた「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞しデビュー。

≪主な受賞とノミネート作品≫
2004年「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞受賞
2005年「人のセックスを笑うな」で第132回芥川龍之介賞候補
2006年「浮世でランチ」で第28回野間文芸新人賞候補
2008年「カツラ美容室別室」で第138回芥川龍之介賞候補

*感想*
エッセイ集なので、著者が書きたいことを書けば良いとは思うのですが、私には面白くもなく感じることもない本でした。

本書を読んで一番思った事は、「人間の厚みや深みは、生きている年数無くして、出来上がらないものなのだろうか?」という事。ナオコーラさんは私より1歳年下になるのですが、彼女の価値観を稚拙だと感じてしまう箇所がちらほらあったからなんです。。。 たかが1歳年を取っているというだけで、私も偉そうな事は言えないし、しかしここでその箇所を指摘しようとしている事自体が私もまだまだ未熟者という事なのかもしれず、人生の大先輩方からみたら「ナオコーラさんももりんごも同じ穴のむじなよ」位に思われるかも知れないけれど、気になった所をちょっと書かせてもらいますね。

私が気になり嫌悪感を抱いたのは、全編に渡って「私って変わり者だからー」というような雰囲気が漂っていた事です。日常会話でこの雰囲気を表すなら、「ウチってぇ〜○○な人だからさー」と意味のわからない位置づけを自身でしようとする若者と同じに感じたのです。人は集団生活の中で、ナンバーワンやオンリーワンになりたいと願うと思います、それが自分の存在意義に繋がるから。しかし、結局秀でた才能を持つ人間というのは、ほんの一握りしかいないと段々と人は気が付き、一般人という大きな枠の中でも自分らしさやこだわりを持って、一言で言うならば、世間と自分自身の折り合い点を見つけて生きていていると思うのです。ナオコーラさんはまだまだ「自分は一般人とは違う!」という思いが強いのでしょう。作家には独特な世界観とかが要求されるから、自分は特別という意識を持つのは良い事だとは思います、ただそれをどこまで自覚しているかどうかで、「ひとりよがり」か「独特な世界観」と評価が分かれるのでしょう。ナオコーラさんの2作目である「浮世でランチ」は売上げ部数が伸びなかったそうです。本書で『「浮世でランチ」はいまいち売れていない。なんでだ?読者に対してサービスが希薄だったから?』と著者がぼやいているのですが、読者である私から言わせてもらえば「浮世でランチ」は売れなくて当然だと思いました。これこそ「ひとりよがり」の作品だったからです。しかも浮世でランチの主人公の女性のモチーフがナオコーラさん自身だったということがこのエッセイ集で分かり、売れないことに更に強く納得。

しかし2007年に発表された『カツラ美容室別室』は「独特な世界観」は話だったと思います。著者が自身と本との距離のとり方を分かってきた様に感じました。決して読者に媚を売れと言っているわけではないんです、素敵な文章を書く方なので、是非自身とフィクションと、そして読者との距離を上手く保てる作家になることを楽しみに、そして次回のエッセイ集ではもっと私も感じられるのになっている事を期待しています。


  ├ 山崎ナオコーラ -
山崎ナオコーラ 『人のセックスを笑うな』

★★★☆☆

*あらすじ*
19歳のオレと39歳のユリ。生徒と講師という立場を超えた、恋とも愛ともつかぬ思いをオレは抱いた。20歳差と、ユリには夫がいるという二人の危うい恋の行方は。。。
第41回文藝賞受賞作。

*感想*
3,4年前の文藝賞受賞直後に読んでいたのですが、感想を書いていなかったので再読しました♪
(永作博美と松山ケンイチによる映画化記念再読!?笑)

最初にこの題名を見た時は、確かに衝撃的でした。しかし実際の内容は、題名のような激しさはなくて、肩透かしを食らった気がする読者も少なくはないと思います。確かにストーリーは、ただの不倫恋愛物語なのですが、情景描写と比喩表現がとても素敵だったので、私はなかなか好きな作品でした。

  ぽっちゃりとしたお腹。
  あの、へその下の盛り上がった、丸い部分に名前はないのだろうか。
  スカートをはいても、ぷくっと膨らんでいる。若い女の子はそこが平べったい
  ことが多いけれど、ユリくらいの年代の女の人はこういう体型になるのだろうか。
  オレはそこを何度も、撫でたい。


この文章には、オレのユリに対する愛情がとても込められていて、読んでいてユリがうらやましくなりました。女性は子宮という大切な器官を守るために、下腹に脂肪を蓄えようとするそうです。ので中年になると下腹がぷくっと膨らんでしまうのは、ある意味仕方が無いのだけれど、やはり“美しい体型”からは離れてしまうよね、しかしオレはそういうユリの体型も含め、全てを愛しているんだなとすっごく伝わってきました。

ナオコーラの文章はクセになりますねイケテル


  ├ 山崎ナオコーラ -
山崎ナオコーラ 『カツラ美容室別室』



★★★☆☆

*あらすじ*
カツラをかぶる店長=桂孝蔵の美容院で、淳之介とエリは出会った。
二人のちょっぴり距離を置いた微妙な関係の行方は…

*感想*
内容は特別面白いものではなかったけれど、ナオコーラ独特の“ゆるい”文体が心地良くて、サラサラと読んでしまいました。

私が一番気に入った文章は、淳之介がエリと出会い、メールや電話を交わす仲になった頃の一節。

『もう一度会ったら、何かが始まるような気がしている。真っ黒な甕(かめ)の中を覗いているような気持ちだ。水が入っているのか、入っていないのか。目をどれだけ凝らしても、闇しか見えない。』

この恋愛に発展しそうな微妙な時期を、甕(かめ)を覗くという比喩で表した感性に魅了されました。ので、読めど読めど特別なエピソードが出てくるような話ではない本書だったけれど、私としては「もっともっとナオコーラの文章を体で感じたい!」と欲した満足な一冊でしたぴかぴか

あ、あと、「カツラをかぶっている美容師=桂孝蔵」の設定は、私としてはツボにはまりました(笑)


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山崎ナオコーラ 『浮世でランチ』
浮世でランチ


★★☆☆☆

*あらすじ*
25歳の主人公は、会社の同僚に余り馴染む事ができず、猫と一緒にひっそりと公園でランチを食べるのが1番落ち着くという日々を送っていた。この性格は中学生の頃と基本同じで、主人公の「中学生の頃」と「現在」が交互の章立てで綴られる。

*感想*
あらすじと感想、どちらを書くのも辛い程に抽象的な世界を描いた内容でした。
主人公の中学時代の章では友人関係の話をメインに、現在の章では東南アジアに行への一人旅をメインに描いているのですが、その過去と現在に特別接点があるわけでもなく、あえて言えば「主人公のどこか暗い性格は昔からだったのね」と伝えてくれるだけに私は感じました。

会社の元同僚である男性と、旅行先からメール交換をするのですが、そのやり取りはなかなか面白かったです。その男性が綴る一般論には納得だし、その一般論に対して主人公が激怒するのは、その内容が図星だったからだと分かり易かったので。

なんだか私には本当に苦手であり、興味のない世界観だったのでこれ以上感想を綴れないのですが…
人によっては登場人物にシンクロできたりして面白いとも思えるでしょうから、私の感想など忘れて、本書を読んでみてはいかがでしょうか。


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