読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
三浦綾子 『氷点』



★★★★☆

*あらすじ*
辻口病院長婦人の夏枝が、青年医師村井の思慕の言葉に耳を傾けている間に、三歳になったばかりの娘ルリ子は殺害された。
夏枝への屈折した憎しみと、「汝の敵を愛せよ」という教えへの挑戦とで、辻口は殺人犯の娘を養女に迎える。事情を知らない夏枝と長男徹は養女陽子に暖かく接し、陽子も明るく素直な少女に育っていく。だが辻口自身は無心に陽子に接することが出来ない。やがて夏枝は、陽子が殺人犯の娘である経緯を知り、辻口と陽子への激しい憎悪をこめて、陽子の白い喉に手をかける…
人間にとって原罪とは何か、そして人間存在の根源を問う不朽の名作。

*感想*
2008年の初読書はどの本にするか悩んだ末、やはり年始一冊目は『名作』と呼ばれるものにしようと決め、本書を手に取りました。本作品は何度か映画化・ドラマ化されているのですが、私は映像化されたものよりも、原作である文章を先に読む方が好きなので、今回本書のあらすじすら知らず読み始めこれが私にとっての「氷点デビュー」となりました。

読後感想は、期待&想像通りの重い内容で大満足でした。いやしかし、私自身がまだ「原罪とは何か?」を熱く語れるような深みのある人間ではないが故、自分の意見を本書に問いかけるような深い向き合い方ができず、自分のモノにできた読書ではありませんでした。

あと何度本書を読み返せば、著者が本当に伝えたいことを読み取れたり、そして自分なりの原罪や人間存在の根源を語れるようになるのか全く分からないけれど、現時点で私が思うそれらは、「人間は存在しているだけで罪なのかもしれない。更に己の自己中心さに気が付かないのはもっと罪なのかもしれない」と思いました。
登場人物達は皆何かしらの背徳行為をしてしまいます。しかし人間はそんなに強い生き物ではないし、実際のこの世の中で本当に純真無垢な人間などいないのだから、私達は登場人物の誰にも「お前は罪深いやつだ!」などと責められないでしょう。ただ、その先に「この自己中心こそが罪というものではないのか?」と振り返る事ができないのは、罪なのかもしれない。それは終盤で啓造が「つくづく自分を罪ぶかいと、思った。そうは思ってもまた、どこのだれよりもやはり自分がかわいいのが不思議だった」という一文で再認識させられました。

「氷点」という題名すら、重く深く考え甲斐があった。水が氷に突然形を変える凝固点があるように、心の形が突然姿を変える“点”も人生のあちらこちらにあるのだろう。

とにかく、ここで一言に感想を述べる事ができないくらいに本書は重く深い。きっとここを突き詰めようとすると、やはり宗教なくしては語れない世界になってくるのかもしれない。そして、明確な答えを誰も持ち合わせていなからこそ、本書が不朽の名作とも言われるのだろう。

もう少しこの世界を理解して自分なりの答えを見つけ出すために、是非「続・氷点」も読んでみたいと思うけれど、今は私の頭と心がパンク寸前なので、この読後の重みが自分なりにもっと消化できたらにしたいと思います。


  ├ 三浦綾子 -
三浦綾子 『塩狩峠』



★★★★★

*あらすじ*
「母はお前を産んですぐに死んだのだよ」と言い聞かされ、祖母に育てられた永野信夫だったが、祖母の死を機に「信夫の母」と名乗る女性が家へ戻ってくる。父に事情を聞いたところ、母はキリスト教徒の為に祖母に永野家を追い出されたという事だった。
信夫は自分を捨ててまでもキリスト教徒であり続けた母と、そのキリスト教を激しく嫌うのだが、次第にキリスト教へ興味を持ち始めてゆく。
信夫の生涯を通じて、「愛」「許し」「信仰」「人間存在」の意味を問う長編小説。

*感想*
あらすじを知らずに読み始めたところ、キリスト教が深く関わってくる話だったので、1968年という時代に刊行された本にもこのような内容があったのかと正直驚きました。
しかし内容はキリスト教徒ではない私でも読み易いし、そして何よりも心に響く言葉や人生について考えさせられる言葉が多く多々感銘を受けました。

沢山心に残る文章があったのだけれど、そのうちの数個を抜粋すると
「自分は必然的存在なのか、偶然的存在なのか」
信夫が自分の存在や生死について考え悩んでいた時の文章。
結局結論は出なかったけれど、自分の存在意義について悩んでいた十代の頃の私に是非読ませたかった一文。

「人よりも自分が偉いものであるかのように思い上がる。これほど神の前に大きな罪はない」
いろいろな努力を重ねてきた信夫だったが、母に「信夫も含め、この世の中には正しい人間など一人もいない」と戒められたときの文章。
信夫同様に自信過剰になり、謙虚さを欠いていた二十歳の頃の私に是非読ませたかった一文。

「病人や、不具者は、人間の心に優しい思いを育てるために、特別の使命を負ってこの世に生まれて来ているのではないだろうか」
信夫の親友の妹が抱える病と障害は「かわいそうな事なのか?」と問われ、信夫の親友が出した一つの答え。
親族の介護問題や、自身・配偶者が障害を持った時の不安を考える最近の私に少し勇気をくれた一文。

久し振りにずっしりと心に沁みる本に出会えました。信夫の様な君子には決して私はなれないだろうけど、これからはもっと心を広く豊かにもって生活していきたいとつくづく思わされました。
キリストを信仰していない人にもお勧めな傑作です。


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