読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
本多孝好 『君の隣に』


*あらすじ*
それは愛する人からかけられた冷たい「魔法」――

横浜・伊勢佐木町で風俗店『ピーチドロップス』を営む大学生・早瀬俊。彼は進藤翼という少女と二人で暮らしていた。深い翳を宿す青年・早瀬と、非の打ち所がない少女・翼。店の常連客、翼の担任教師、老いた元警官など周囲の人物たちから、少しずつ早瀬と翼の秘密が明かされていく―。埋めることのできない「喪失」。「生と死」を描いてきた著者が投げかける新たな傑作!この物語の行く末は?驚嘆のミステリー!!

*感想*
横浜にあるデリヘル『ピーチドロップス』を舞台にしたミステリー小説でした。

6編からなる連作短編集で6人6色の人生が各章で綴られるのですが、それらの各主人公は何かしら『ピーチドロップス』に関わりがあることから、彼らの人生を読むのと同時に、ピーチドロップスの経営者である早瀬の謎も、読者に読ませていくという面白い構成でしたグッド

各章の主人公たちの悩みやトラブルもなかなかクレイジーというか刺激的というか(エロ描写も多いですし…たらーっ)なものなので、短編としても面白いのですが、やはり読ませどことは、章が進むごとにちゃんと時系列も進み、「渚の失踪」についての謎が解き明かされるところでしょう!!
本書序盤は、デリヘルとその経営者の美青年:早瀬に注目しがちになってしまって、軽薄な本なのかな?とも思ったのですが、中盤からはシングルマザーになってしまった娘を心配する元警察官の視点を通して、女性が『女』を売りにするしかなくなってしまった社会のしくみや現状について考えさせられたり、デリヘル嬢を狙った連続殺人鬼の歪んだ思考を読み怖くなったりと、どんどん深くなっていく物語に気が付けば夢中になっていました。

そしてラストの章に綴られている本書の総決算『渚の失踪』の真相を知った時、あらすじに使われている文言『冷たい魔法』の意味がわかるし、その『魔法』の恐ろしさに正直慄きましたひやひや。はっきりいってこれが『人を征服する』ということなんでしょうね。腕力でもお金でも人を長い時間支配することはできない。でもその渚の方法だったら確かにできる気がする… 

この結末はきっと誰も想像できないと思います。是非読んでみて下さいぴかぴか
あ!でも、この物語に夢中になっても、デリヘルの世界にはくれぐれも踏み込まないようにね(笑)


  ├ 本多孝好 -
本多孝好 『チェーン・ポイズン』


★★★★★


*あらすじ*
あと1年。死ぬ日を待ち続ける。それだけが私の希望――。


誰からも求められず、愛されない日々の中、死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。
「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか? 1年頑張ったご褒美を差し上げます」
それは決して悪い取り引きではないように思われた――。
不思議な自殺の連鎖を調べる記者。そこに至るただひとつの繋がり。
「生」の意味を現代に投げかける、文句なしの最高傑作驚愕ミステリー。


*感想*
自殺の連鎖に関するミステリーと、「生きること」の意味を問いかける、傑作ミステリーでした。
物語は、『不思議な自殺の連鎖を調べる記者の視点』と、『自殺を志願している女性の視点』の2点から描かれます。そこにはどんな繋がりがあって、記者はどこまで真相を追究できるのか、巧みな構成と展開で魅了させられました。そして見事に著者の罠にはまりました。


この展開を読めた人はいるでしょうか?私は全く想像もしていなかった展開だったので、読後意味が理解できずに、再読してしまいました(^▽^;) 私の理解力が低いだけなのかもしれませんが、同様にいまいち結末の意味が分からなかった方の為に、下記に物語のおさらいとネタバレを書いておきますね。未読の方は読まない事をおすすめします!


ネタバレ注意↓


ネタバレ注意↓


ネタバレ注意↓





とある本の著者と、『私』は同じ名前を持っているらしい。
P7  その本の著者名は「高野悦子」と判明。
    ⇒ということは、『私』の名前は「高野悦子」?
P13 『私』は公園で、“スーツ姿”の人に「1年後に楽に死ねる手段を差し上げます」
    と言われる。
P19 新聞記者の元に、不審な自殺情報がもたらされる。
    自殺した女性の名前は「高野章子」⇒どうやら『私』の名前は「高野悦子」ではなくて
    「高野章子」だったらしい?そして『私』は見事に1年後に楽に死ねる手段を手に入れた?


この時点で、既に読者は騙されているのですね…。そしてこのトリックが暴かれるのが


P312 『私』の名前は「高野章子」ではなくて「槇村悦子」と判明
    ⇒新聞記者が追っている「高野章子」と『私』は別人だった。
P316 あの日公園に現れたのは“スーツ姿の女性”だと断定。

つまり、読者は『私』イコール=『高野章子』という先入観を持って読み進めているものの、結局『私』=『槇村悦子』だった。 毒物のセールスマンは『高野章子』で、『私』は高野章子から「1年後に死ねる手段をあげる」と言われた人の1人だった。ということですね。
詳しくはP323からを読み返せば全てが理解できると思います。


こう書き出せば、至って簡単な仕掛けなのですが、没頭して読んでいる時には、「私=高野章子」と完全に思い込んでしまっているので、最後かなり混乱してしまいました(^▽^;)。




「生きること」について問いかける内容面も刺激的で、いろいろ考えさせられて面白かったです。
緩和ケアセンターの院長が「絶望とは“贅沢なフィクション”」と言い切るところなど、辛辣にも思えなくもなけれど、それだけ著者が年間3万人以上の人が自殺しているという現状に疑問を感じている事が伝わってきて、私は共感を持ちました。「誰もがいつかは死ぬ」という院長の言葉通り、わざわざ死を急いで自らの命を自らで絶つ人が少しでも減ればいいのに。


ドンデン返しのミステリーを楽しみたい人、生き続けることに少しでも疑問を感じている人に、是非読んで頂きたい、最高の一冊です。読んで絶対に損しません!

 



  ├ 本多孝好 -
本多孝好 『真夜中の五分前 side - A』『真夜中の五分前 side - B』


★★★☆☆

*あらすじ*(「BOOK」データベースより引用)
小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく―。

*感想*
一言でいえば、不思議な本でした。主人公とその他登場人物が同じで、ページ数もそう多くはない話なのに、わざわざ『side-A』『side-B』と巻を分けているのも不思議だし、恋愛小説の様でも結局恋愛小説でなかったのも不思議だし、私の好みの本ではないと何度も感じつつも最後まで結構集中して読めてしまったのも不思議でした。
これが“本多ワールド”というものなのかしら?

主人公を筆頭に、登場人物達の言動が私には思いもつかない視点で動いていて、幾度となく良い意味で意表をつかれました。かすみが登場した時には、これからベタな恋愛小説が描かれるのかな?と思わせ、しかしそんなベタで陳腐な恋愛には発展せず。会社内の人間関係に翻弄されていくのかな?と思わせ、side-Bでは、あっさり転職しているし 笑。

特別好きな内容ではなかったけれど、飽きることなく最後まで読めたのは、きっと文章力があるからなんだろうな。時々出てくるクドイ文章が心に引っかかり、心の中で反芻させる箇所がいくつかありました。
「人はその人のことを好きだと思うからその人の顔を見るのか、それとも、人はその人の顔を見ているとその人のことを好きになっちゃうのか」という分かりやすい文章から始まり、
「今、彼の前にいるのは僕であって、僕ではない。僕自身はそのことに殊更気を使っているわけではない。けれども、僕のままに発した、だから僕らしいはずの僕の言葉は、彼らの中で僕ではない誰かの、その誰からしい言葉に翻訳されていた。それで、結局、僕は何なんだ?」と超クドい文章まで。

久し振りにクドイ文章を書く男性作家に出会った気がします。こういうスタイルもたまには読み応えがあるので、是非著者の他の本も読んでみたいと思いました。


  ├ 本多孝好 -
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