読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
中村文則 『迷宮』

*あらすじ*
この迷宮事件に、強く惹かれるのはなぜか。彼女が好きだから? それとも─ ─。
「僕」がある理由で知りあった女性は、一家殺人事件の遺児だった。密室状 態の家で両親と兄が殺され、小学生だった彼女だけが生き残った。「僕」は事件 のことを調べてゆく。「折鶴事件」と呼ばれる事件の現場の写真を見る。そして ……。
巧みな謎解きを組み込み、圧倒的な筆力で描かれた最現代の文学。

*感想*
文学系作品だけれども、エンターテインメント性を軸に「狂気」「人生の意義」などを問い掛けてくる、読みやすい作品でしたかわいい 文学系作品というと、“読み手側”が能動的に“書き手側”の意図を読み取ろうと努力するイメージが私の中にあるのですが、中村さんの作品は“書き手側”が能動的に“読み手側”にある種の世界観と思考を考えるよう課題を与えてくるような印象なんですよね。

幼い頃に新見は自分の中の陰鬱を「R」という別人格に託し追いやった。その後は周りの人間とも上手く生きてきたが、ある日「折鶴事件」の遺児である女に出会い、事件に興味を深く持ち始め… という内容なのだが、途中に新見が務める弁護士事務所の様子と、「女」の昔の男の話が展開され、殺人事件などを起こさなくても、人間にはそれぞれ疾しいことが何かしらあるというような事を示していて興味深かったわ。

自分の思考が正しいものなのかどうか、私にもまだわからないものだけれど、本書を読んで「とりあえず色々な可能性を考えてみる」しかし「結局あらゆる迷宮の出口を見つけたところで、『この世界は誰にとっても平等なのだ。』」ということだけはなんとなく解かった気がしました。
中村ワールドなかなか良かったですぴかぴか


  ├ 中村文則 -
中村文則 『何もかも憂鬱な夜に』

*あらすじ*
施設で育った刑務官の「僕」は、夫婦を刺殺した二十歳の未決囚・山井を担当している。一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑が確定するが、山井はまだ語らない何かを隠している―。どこか自分に似た山井と接する中で、「僕」が抱える、自殺した友人の記憶、大切な恩師とのやりとり、自分の中の混沌が描き出される。芥川賞作家が重大犯罪と死刑制度、生と死、そして希望と真摯に向き合った長編小説。

*感想*
芥川賞作家らしい、文学的な作品でした。つまり私には苦手な分野ということですたらーっ あはは。

主人公は、親に捨てられ施設で育ち、拘置所の刑務官となった男。彼は控訴期限が切れれば死刑が確定する若い死刑囚を担当することになり、自分の中の混沌とした過去の記憶や思いを呼び起こしてゆく…というような話でした。
施設で育った「僕」やその仲間たち、そして囚人たちの姿を通して、救いのない世の中を感じました。特に真下の手記には、自分で自分をコントロールできなくなってきている様子が描かれ、破滅する寸前のあやうさが大変よく描かれているのですが、文学心がない私にはのめり込むことができない世界観だったわ爆弾

唯一理解できたのは
「自殺と犯罪は、世界に負けることだから」
というセリフかな。
しかし私的には「世界と自分に負けること」と言いたいところだわ。

ピースの又吉さん推薦本ですし、芥川系が好きな方は是非トライしてみてね〜ぴかぴか


  ├ 中村文則 -
中村文則 『掏摸』



★★★☆☆


 あらすじ*
お前は、運命を信じるか?
東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。


*感想*
サラっと読めてしまうのですが、中身は「運命の支配者」という内容を描いた深い作品でした。


前半は掏摸を生業とする男と、母親に万引きを強要されている少年との交流がメインになり、ちょっとしたハートフルドラマみたい雰囲気も漂います、しかし後半に“木崎”という最悪な男と再会してからは、一気にどす黒いオーラに包み込まれ、緊張と恐怖心を読者に与える重い話になりました。そして、最後まで読んで分かる、前半に登場する少年の存在意義。全ては「運命の支配者」というところに繋がっていたんですよね。面白かったです。


特に木崎のセリフは面白かった。裏社会で生きる男なので、元々私とは考えている事の内容や次元が違うのでしょうが、あの凡人離れした思考と、残酷ながらもフランスの貴族の話は興味深かった。木崎を主人公に小説が書かれたら、きっと大変面白い交錯や、最後のドンデン返し話が綴られることだろうと思いました。


内容も文章の質も大変良い作品ですが、あえて突っ込みどころを探すとすると、佐江子とのエピソードは本当に必要だったのかな?という所かな。これだけは本線に深く影響をもたらしている様には思えなかったのでー。



  ├ 中村文則 -
中村文則 『遮光』


★★★☆☆


*あらすじ*
愛する者を失った「私」は、他人が知れば驚愕するような、ある物を持ち歩いている。しかし、それは狂気なのか―新世代作家の鋭利な意識が陰影濃く描き上げた喪失と愛の物語。芥川賞候補作。


*感想*
今回の主人公は、愛する者の死体から盗み取った“小指”を持ち歩く青年です。彼は周りの人間に、あらゆる嘘をつき、そして自分の言動をまるで「演技」のように振舞います。そんな彼は一見狂っている様に見えるかもしれない、しかしどこか共感というか、誰にでも彼の様な部分って持っている様な気がしてくる、不思議な作品でした。先日読んだ「銃」と同様に、個人的趣味としては「面白い!」とは言えないけれど、青年の心理・思考の描写は今回も素晴らしく、文学的には良作だと思います。


本書の凄いところは、主人公の青年が尋常ではないのに、そこに「ナルシシズム」を感じない所だと私は思いました。こういう人間の闇を描く場合、やりすぎると著者の「自分はこんなに人間の裏側や闇を描けるんだぞー」という、イヤラシイ雰囲気を文章から感じるんですよね。


暗い話ですが、登場人物達が一癖ある人々なので、いろいろ感じる作品でした。惜しくも受賞を逃しましたが、芥川賞受賞作となってもおかしくはない傑作だと思います。

 



  ├ 中村文則 -
中村文則 『銃』


★★★☆☆


*あらすじ*
昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らない-。銃に魅せられてゆく青年の心象と運命を、サスペンスあふれる文体で描く。第34回新潮新人賞受賞作、第128回芥川賞候補作。 


*感想*
偶然にも拳銃を手に入れたある青年の、銃を中心とした生活模様と、心理描写を描いた作品。


個人的趣味の都合上、★星3つ★と私は評価したのですが、文学としては、拳銃の描写も、人間の闇も、非常に上手に描かれ、非の打ち所がない作品といえると思います。


まず、拳銃の描写が素晴らしかった。物質としてだけではなく、その存在全てが青年を魅了しているという空気感が、非常に良く読み手に伝えられていたと思います。その空気感の出し方が、さすが芥川賞候補作と言える文章力。即物的な文章は一切なく、確実に読者に伝えていました。


そして、青年の心理描写も素晴らしかった。銃という“宝物”を手に入れた事によって、生活に少しは楽しみや、やる気が出てきた様や、友人や性欲に適当に流されながら生きている様など、すごく人間味があったと思います(あんまり良い生き方ではないけれどね)。あと、彼の日常が描かれ始めてすぐの段階で、青年の肩にぶつかって去った男を、青年が「走って追いかけ、彼を殴り倒してみようという考えが浮かんだ」と綴られる所など、人間の闇と、青年の『無い様で、有る個性』が、絶妙に伝えられ、しかもそれはラストまで生きてくる行(クダリ)だったので、大変良かった。


他にも、後半の青年の思考が崩れていく所や、青年の行く末を先触れした刑事の登場など、良い所が多々あったのですが、感想文が長くなるのでここまでにします。
エンターテイメント的な「おもしろい!」を感じる作品ではないですが、本書は傑作だと思います。



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