読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
荻原浩 『家族写真』

 

 

*あらすじ*

ちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。もはや見ないふりできない肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。笑って泣ける7つの家族の物語。

 

*感想*

以前、東野圭吾さんが『黒笑小説』か『歪笑小説』という笑える短編集を発表された時に、「泣ける小説を書くよりも、笑える小説を書く方が断然に難しいのです」と語っていたのですが、この『家族小説』は、そんな「難しいのです」という巨匠の言葉をぶち破り、笑いを極めていると言っても過言ではない面白さでしたラブラブラブ

 

本書は7編からなる短編集で、全話「家族」がテーマでした。ストーリー展開としては、ホロリときたり、ちょっとジーンポロリとくるような切なさを含んでいるものの、そのラストに辿り着くまでの文章にユーモアが込められていて、本当に笑ってしまうんですよ(笑)サラリと面白い文章を混ぜ込んでくるので、本当に不意を突いて笑わされます!!絶対に公共の場では読まない方がいいですてれちゃうラブ

 

全話面白かったのですが、私が特に一番笑いながら読んだ作品は、6話目の『しりとりの、り』ですイヒヒ

家族旅行中の車中での物語で、運転手である父親が「会話が足りなくないか」と怒ったところから始まる物語でした。一人で盛り上がろうと息巻く父親と、それに対して冷たく対応する家族の温度差と言葉のラリーが、とにかくシュールで面白かったです。しかも「しりとり」を利用して家族の状況を描写していくという高度な技(!?)も組み込まれていて素晴らしかった!!この笑いは天才だと思いますラブラブ

 

その他の物語でも必ず笑える箇所があって、私のツボにはまった文章を書き留めておきますね

 

・(54歳の主人公が)ステッキ買おうかな、などと考えながら。まぁ、ステッキ、という親父ギャグを思いついたことを、恥じることもなく。(『磯野波平を探して』より)

・蔓薔薇を這わせたフェンスも鉄柵で、高さはあまりない。低くて中が覗ける塀は、巨乳女の襟ぐりと一緒。自信の現れだ。(『住宅見学会』より)

 

荻原さんの作品といえば、『二千七百の夏と冬』が壮大な物語で、本当に大好きな作品なのですが、それとはまた違った面白さの本書もお勧めです!

 

是非是非読んでみてくださいね〜〜ぴかぴかぴかぴかぴかぴか

 

 



  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『金魚姫』


*あらすじ*
勤め先の仏壇仏具販売会社はブラック企業。同棲していた彼女は出て行った。うつうつと暮らす潤は、日曜日、明日からの地獄の日々を思い、憂鬱なまま、近所の夏祭りに立ち寄った。目に留まった金魚の琉金を持ち帰り、入手した『金魚傳』で飼育法を学んでいると、ふいに濡れ髪から水を滴らせた妖しい美女が目の前に現れた。幽霊、それとも金魚の化身!?漆黒の髪、黒目がちの目。えびせんをほしがり、テレビで覚えた日本語を喋るヘンな奴。素性を忘れた女をリュウと名付けると、なぜか死んだ人の姿が見えるようになり、そして潤のもとに次々と大口契約が舞い込み始める―。だがリュウの記憶の底には、遠き時代の、深く鋭い悲しみが横たわっていた。

*感想*
主人公(潤)の前に、金魚の化身らしい赤い服を纏った美女(リュウ)が突如現れて、潤の生活が変わっていくのだが…というお話でした。

一言で表すと「ファンタジー」というジャンルに分類されるのかもしれませんが、ファンタジー作品が苦手な私にも本書はとってもとっても面白かったですラブラブラブ

その理由は大きく3つありまして、
1つめはファンタジーであると同時に、ミステリーの要素も非常に強かったからです。 なぜリュウが金魚になってしまったのか?金魚の化身として潤の前に現れた意味はあるのか?現代の物語の途中に度々差し込まれる、中国での古い物語は一体どこに繋がるのか?などなど。。。 非常にその後の展開が気になるエピソード満載で、ぐんぐん読めましたぴかぴかラッキー

もう1つの理由は、金魚の化身のリュウが本当にいいキャラをしていたからですラブ 中国出身らしいリュウは日本のテレビを見て日本語を覚えていくので、その番組やCMに多大なる影響を受けているのが本当に可愛かったですぴかぴか 何時頃からリュウがテレビを観ていたのかを疑問に思っていた潤がふとリュウに「教えてくれるかな」と声をかけたら「いいとも〜」という返事がリュウから返ってきたくだりとか(このくだり、本当に最高なのですけど、あと数年もすればこの意味を理解できない若者が増えていくんですよね…あぁ切ない…泣き顔)、新麦というビール(オリジナルは金麦と思わるw)のCMをやたら真似するリュウも同性ながらほんと愛しくて、潤とリュウの掛け合いは何度出てきても飽きる事ありませんでしたポッ

そして最後の1つは、「生と死」の意味と、「死」というものがどれだけ悲しいものなのかという事を、切なさと深みのあるエピソードで潤の心の成長とともに読者にうまく投げかけてきていたことです。本書の最初で自殺したがっていた潤が、物語の終盤には自ら
「生きろ。
寿命が尽きるまでは、しっかりと生きろ。
しっかりと生きるために、僕は変わらなくては。」
と語るようになり、潤の成長に感動しましたし、私も自身の生き方に反省をしましたポロリ
石のスコーンではなく、本物のスコーンを大切な人に贈れる喜びを忘れないでいたいと思います。

「ただのファンタジー」「ただのミステリー」「ただの金魚の化身物語」では終わらせない荻原さんの手腕、さすがですね。とても面白かったし、我が家で飼っている金魚ちゃんに話しかけたくなった1冊でしたラブラブ 荻原さん、素敵なお話ありがとうございましたぴかぴかラブ


  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『二千七百の夏と冬』


*あらすじ*
ダム建設工事の作業中に、縄文人男性と弥生人女性の人骨が発見された。二体はしっかりと手を重ね、互いに顔を向け合った姿であった。三千年近く前、この男女にいったいどんなドラマがあったのか?新聞記者の佐藤香椰は次第にこの謎にのめりこんでいく。縄文から弥生へ、時代のうねりに翻弄された悠久の愛の物語。

*感想*
皆さんはタイムマシーンがあったら未来と過去どちらに行ってみたいですか?
私は本書を読むまでは完全に『未来派』と断言し、世界がドラえもんで描かれているような超近代化になっているのかを見たいと思っていました。
しかし、縄文時代〜弥生時代の人々の暮らしと恋を描いた本書を読んでから、私は一気に『過去派』に変わりましたぴかぴか
その位に、本書は魅力的で興味深く、そして感動した作品だったからですポロリ

本書は古人骨が発見された現代と、その古人骨が生きていた頃の縄文〜弥生時代を交錯させて物語が進んでいきます。メインは縄文〜弥生時代の方で、ウルクという縄文男性を主人公に、当時の生活様式、狩りの様子、そして弥生人との出会いが事細かに描かれ、教科書には載っていなかったことを沢山知れて興味深かったです桜

しかしこれは「文芸書!ただの「教科書よりも詳しい歴史書」などでは終わらせませんパンチそう、徐々にウルクの恋が描かれるようになるのですラブ
現代(古人骨)のカットバックが入ることにより、ウルクとその恋の相手カヒィは若くして命を落とす事になると読者は知っているのですが、そこに至るにはどの様なドラマがあったのか…是非とも読んでみて下さいぴかぴか ウルクとカヒィの純粋に人を愛するという言動に感動すること間違いなしです。好きになった相手を抱きしめたい、ひとつになりたいという原始的・本能的な描写には私も涙が溢れましたポロリ

そして、過去のウルクとカヒィの恋、現代の香梛の恋愛を通して「人種問題」「国籍問題」「税金の使い方(ハコモノ問題)」にも言及している内容の深さは圧巻でした。

何の努力もせずに手に入れられる国籍を誇ったって、自分自身は1センチも前に進めない。


はぁ〜是非ともタイムマシーンに乗って、当時のウルクとカヒィに会いたいよ〜汗
↑あまりの感動にいまだ夢想中…

皆さんも是非読んでみてくださいラブラブ


  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『砂の王国』

*あらすじ*
全財産は3円。転落はほんの少しのきっかけで起きた。
大手証券会社勤務からホームレスになり、寒さと飢えと人々の侮蔑の中で、怪しい辻占い師と若い美形のホームレスに出会ったことから『宗教を興す』ことを俺は閃いた。

驚愕のリアリティで描かれる極貧の日々と宗教創設計画。それは世間の端に追いやられた者にとっての、究極の逆襲劇だった--

『明日の記憶』から6年。人間の業(ごう)を描き出す新たなる代表作の誕生!


*感想*
ボリュームも内容もとても充実した、読み応えのある秀作でした
「宗教」が絡む内容というだけで、もしも本書を嫌悪(読まず嫌い)する人がいるのならば、是非そんな概念を捨てて、本書を読んでもらいたいです本書はフィクションとして非常に面白いので

あらすじは、
「不運な巡り合わせでホームレス生活となった男(山崎遼一)が、再起を賭けて『宗教を興す』」
というもの。
その「ホームレス生活」の内容も「宗教を興す」過程も「宗教を運営する」内容も、とにかく描写が詳細で、著者が実際にその様な生活をおくったことがあるのかと思う程で、グイグイ物語の世界に引き込まれました
ホームレス生活中の描写では、防寒対策の技もそうですが、「ファーストフード店の残飯に(ゴミ漁り対策として)、水や吸殻を同梱させる」といった内容があり「なるほど!」と思う箇所が多々あったし、行政の対応も「ありがち」と思える現実的な記述で、説得力がありました。

しかし、著者の文才の凄さは、第二章の宗教(大地の会)を興してからが本領発揮でした
信者を虜にしてゆく戦術は、ビジネス書の如く分かりやすかったし、特に大地の会発行の啓発本の文章は、著者の元コピーライターという職業を生かしてのことなのか、とても宗教色がプンプン臭う魅力的()な、非常に「宗教らしい」文章で、惚れ惚れしてしまいました。

自然が好きだと人間は言うが、果たして自然は人間を好きだろうか。(第二章 大地への帰還)
宇宙は二つ存在する。ひとつは地上の十万メートル先、大気圏のはるか彼方に。もうひとつは我々から一センチも一ミリも離れていない、我々の体の内に。(第五章 内なる宇宙より)

私は今のところ宗教を必要としていないのですが、↑この大地の会の啓発本の文章は、純粋に文章として「上手いな〜」と思いました。やるなぁ、荻原浩。この勢いで、本当に宗教関連の書物が書けるのではないでしょうか!?

結末も「信じることの強さ」「信じることの恐ろしさ」を上手く利用していて、大変良かったと思いますよ〜
宗教に興味がある人もない人も、是非読んでみてください






  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『千年樹』


*あらすじ*
木はすべてを見ていた。
ある町に、千年の時を生き続ける一本のくすの巨樹があった。千年という長い時間を生き続ける一本の巨樹の生と、その脇で繰り返される人間達の生と死のドラマが、時代を超えて交錯する切ない連作短編集。


*感想*
樹齢およそ千年の巨大なくすの木。その萌芽から伐採されるまでの千年間、くすの木が見てきた人間達を描いた連作短編集です。


1編の中に2つの時代の話が綴られ、その2つの時代の話がリンクしている面白い短編集でした。
このくすの木の始まり『萌芽』は平安時代の出来事と思われます。(「国司」という単語があったので)そして最後伐採されるところは現代なのでしょう。その間には明治以前の話や戦争時代の話などもあり、バリエーション豊かな時代背景で、各時代で人々の様子が変化し、読んでいて飽きることがありませんでした。また、大昔の話と現代近くの話のリンクの仕方も絶妙だったと思います。


全8編、どれも悲劇的なのですが、比較的心が温まる話だった『瓶詰の約束』と『バァバの石段』が私は気に入りました。
『瓶詰の約束』は空襲で避難する際、宝物をくすの木の根に植えた少年の話なのですが、その宝物の瓶が時を経て辿り着いた先にグッときました。誠次に伝えたい「約束は果たされたよ」と。
『バァバの石段』は亡くなった祖母の初恋を知る孫娘の話で、祖父祖母の出会い方と彼らの真摯で誠実な恋文に私も心をときめかせました。孫娘に伝えたい「あなたの恋も成就するといいね」と。


千年樹の一生に比べたら、人間の生きられる約80年なんて、本当に短いものですね〜。



  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『押入れのちよ』


★★★★☆


*あらすじ*
幽霊(川上ちよちゃん。明治39年生まれ。14歳)とサラリーマンの奇妙な同居を描いた「押入れのちよ」(表題作)ほか、お互いを殺害しあおうとする夫婦の食卓を描いた「殺意のレシピ」など。
背筋がぞくりときたり、切ない気持ちになる傑作短編集(9話収録)。


*感想*
夏の怪談というと「あなたの知らない世界」と「稲川淳二」を思い出します。
う〜ん、世代がバレますね(^▽^;) プロフィール欄に生年月日を記載しているので、今更ですが…。


本書は「あなたの知らない世界」というよりかは、「世にも奇妙な物語」に近い“背筋がぞくり話集”になっているので、多くの人が楽しめると思います♪ 内容も毎回幽霊が登場するわけではなく、奇妙な老猫や憎み合う夫婦などが登場し、いろいろな種類の『恐怖』が描かれ、各話それぞれ楽しめました。


私が一番印象に残った話は「コール」という、ある若くして亡くなった男性が、幽霊となった自分の存在を妻と友人に伝えようとしたり、二人の行く末を案じる話です。
この「コール」を読み終えた後、私も夫と「もしも幽霊となってこの世に戻ってきた場合のサイン」を決めておきたいと思っちゃいました。


夏の夜にピッタリな1冊です。是非この夏中にお読みください♪



  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『噂』


★★★★☆


*あらすじ*
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。


*感想*
文庫本の帯に
『衝撃のラスト一行に瞠目!』
と書かれているのですが、まさにこの最後の一行で、本書のミステリーが完結し、真の面白さが発揮されました。素晴らしいラストだったと思います。やるなぁ、荻原浩。面白かった!


今まで読んだ荻原浩作品は、「明日の記憶」「神様からひと言」「ちょいな人々」と、サラリーマンが必ず登場する話だったので、リーマン路線の話ばかり書く方なのかと思い始めていたのですが、本書は主人公が刑事だし、女子高校生(しかも渋谷をホームグランドにしているギャル達!)も大勢登場し、著者の作品の幅の広さに驚きました。


ストーリー展開も良く、中だるみをさせない絶妙なタイミングで、次の被害者が登場したり、登場人物達の不審な行動をちらつかせたりと、読者を飽きさせる事がなかったと思います。終盤に主人公(小暮刑事)の恋愛模様が入ってきた時には、「恋愛ネタは入れないでぇ〜〜!話が陳腐になるぅ〜〜!」と思ったのですが、読み終えてみると、この恋愛ネタは不可欠だということがわかりました。ネタバレになるので詳しくは書きませんが『知らぬが仏』というやつですね。


本書の面白さもWOMで広がればいいのに♪

 



  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『ちょいな人々』


★★★★☆


*あらすじ*
「ちょいな人々」女性部下の褒め言葉に有頂天になる中年課長。
「犬猫語完全翻訳機」愛するペット(犬猫)の本音を知り、複雑な心境の飼い主達。
「くたばれ、タイガース」阪神ファンの彼(婚約者)と巨人ファンの父を持ち翻弄される女の子。
など、全7編を収録した、おっちょこちょいだけど愛すべき人々を描いた、ユーモア溢れる破天荒な話。


*感想*
軽くて楽しい短編集でした。表題作「ちょいな人々」は、久し振りに声を出して笑いましたよー。女性部下が自分に興味があると勘違いをし、妄想を繰り広げる課長ったら、哀愁を感じさせるじゃないですか〜。面白かった。
特に爆笑した箇所は、
遅刻をした女性部下(瑠里)を叱った時

「今度から気をつけるんだぞ」俺にもな。

と妄想していた所。きゃうーん、この面白さは実際に読んでもらわないと、きっと伝わらないわぁ。この『俺にもな』って言うテンポが絶妙。課長のアホ丸出し具合が、すっごく伝わってきて、本当に良かった。


その他の話も、ほのぼのと笑えます。
時間がなくて読書を敬遠されている方、本書なら短編だしサラっと読めるのでお勧めですよ!

 

 



  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『神様からひとこと』


★★☆☆☆


*あらすじ*
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。


*感想*
3年前に会社員を辞めて専業主婦をしている私には、会社組織というものを懐かしく感じる話でした。物語のジャンルとしては「痛快サラリーマン小説」とでも言えば良いのでしょうか…? そんなジャンルが世の中に存在するのかわかりませんが、ミステリーではないのは確実だし、コメディというには笑えなかったので、サラリーマン小説としておきましょう。まぁ、ジャンルは何にしろ、私には面白くない話だったわ…残念。


主人公、涼平が「お客様相談室」に異動になるまでの経緯がクドイ!販売会議でのトラブルが原因で異動させられる事になるのですが、著者に広告制作会社勤務経験があるために、広告関係の会議の模様が詳細に描かれすぎていて話のテンポを落としていたと思います。私には広告戦略についてのノウハウを自慢したいかの様にすら思えて、鼻につきました。
その後「お客様相談室」での涼平の言動にも共感や感情移入できるところは一切なく、考えさせられたり、心にグッとくるような場面は私にはありませんでした。涼平が“熱血野郎”なら、もっと熱血らしく振舞わせればいいのに、なんかストーリーもキャラも中途半端にしか思えなかった。


しかしAmazon.co.jpのレビューでは、結構高評価なんですよね!
男性サラリーマンには受ける話なのかしら?

目指すは「おでん鍋」の中のちくわぶか!? たまごか!? いやいや、じゃがいもになって「じゃがバタ」になるか!?
↑この意味を知りたい方は、是非本書をお読みくださ〜い。


 



  ├ 荻原浩 -
荻原浩 『明日の記憶』


★★★★★


*あらすじ*
広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう!山本周五郎賞受賞の感動長編。


*感想*
アルツハイマー(認知症)は、単に記憶がそこなわれていくだけではなく、人格も失わせてしまう病気である。そして今まで築き上げてきた人間関係をも壊してゆくという、本当に悲しい病気だとつくづく感じました。読後とても切なかったです。


病気の進行だけでも立派な物語になるであろうに、主人公の佐伯の人物像がしっかりしていて、更に良い話になっていたと思います。会社の部下や娘に慕われ、そして慕われる理由もキッチリとエピソードを踏まえて読者に伝えられてました。全体を通して、過剰な「お涙頂戴」的な描き方もないので、素直に泣けます。これは自然に思えて、実は著者による考えつくされた読者との距離感なんだろうね。上手いな、荻原浩!


私が一番印象的だったシーンは、焼成代の支払いをめぐる陶芸の木崎先生とのやりとりです。発病後も唯一の趣味として楽しんでいた陶芸だったのに、大金とはいえない些細な金額の焼成代をめぐり結局陶芸教室を辞めることになってしまい、とても残念でした…。 木崎先生も悪い人ではないはずなんです、ただちょっと汚い下心が出てしまったというか、生活が苦しかったのでしょうね。でも人の弱み(病気)に付け込むのは最低な事ですよね。しかしその現実を知った時の佐伯の態度は立派でした。木崎先生を罵倒するわけでもなく、ただ淡々と教室を去る旨を伝え、お金の清算返金も求めず。佐伯もこの時に、人間関係をも壊すアルツハイマーという病気の恐ろしさを再実感していたのかもしれませんね。


家族のあり方を見直す、良いキッカケの本にもなると思います。
私も読後に夫に言いました「もしも私が認知症になったら、いろいろ大変な思いをさせると思うけど、よろしくねm(_ _)m」と(笑)



  ├ 荻原浩 -
1/1PAGES
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
Category
Profile
Archives
Comment
Search
Mobile
qrcode
Sponsored Links