読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
岩木一麻 『がん消滅の罠 完全寛解の謎』

 

*あらすじ*

日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。
夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金3千万円を受け取った後も生存しており、
それどころか、その後に病巣が綺麗に消え去っているというのだ。同様の保険支払いが4例立て続けに起きている。
不審を抱いた夏目は、変わり者の友人で、同じくがんセンター勤務の羽島とともに、調査を始める。
一方、がんを患った有力者たちから支持を受けていたのは、夏目の恩師・西條が理事長を務める湾岸医療センター病院だった。
その病院は、がんの早期発見・治療を得意とし、もし再発した場合もがんを完全寛解に導くという病院。
がんが完全に消失完治するのか? いったい、がん治療の世界で何が起こっているのだろうか―。

 

*感想*

かんかい【寛解】がんの症状が軽減した状態。がんが縮小し、症状が改善された状態を部分寛解、がんが消失し、検査値も正常を示す状態を完全寛解という。

 

今は、日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡すると言われています。そんな身近になってしまった病気を題材に、しかもそのがんが寛解するらしい!?という触れ込み?の小説である本書、読まないわけにいきません!!2017年の『このミステリーがすごい!』大賞受賞作でもあるので、早速読んでみましたよ〜桜

 

巻末の『このミス』選評や、Amazonなどのレビューでは賛否両論あった様子ですが、私は本書がとっても面白かったですラブラブラブ

 

医療ミステリーはどうしても専門用語や専門知識が必要になってきてしまうので、それを読者に簡単に説明する役割を担う、医療素人の登場人物がいて(夏目の彼女)、スリーリーに軽いタッチを入れるために少々変人を登場させる(羽島)などは、「お決まり」感が否めなかったのですが、確かにそのおかげでグッと読みやすくなっていたので目を瞑るとしましょう…イヒヒ

 

まず本書の素晴らしいところは構成だと思いましたぴかぴかぴかぴか

本書のメインディッシュとなる「がん寛解の謎」が展開される前に、小振りで前菜的な「がん寛解の謎」が1つ披露されるのです。この前菜寛解は、医療素人の私たちでも解ける簡単なトリックが使われていて、このおかげでメインの寛解の謎に挑むウォームアップが自然とできました。このウォームアップのおかげで医療ミステリーへの食べず嫌いがかなり減ったのではないでしょうかラッキー

そしてメインの寛解トリックはそれなりに深い理由とトリックが含まれているもので読み応えがあり、そのままデザートで〆なのかと思いきや… 主人公の夏目に振舞われることのなかった真相という料理が、まだ厨房では料理されていたのですよ!!まるで料理のフルコース+αの様な流れの素晴らしいストーリーじゃありませんか!!

 

この+αの部分は、俗に言う「どんでん返し」部分なので伏せておきたいとも思ったのですが、後々自分でこのブログを読み返した時に、「はて?どんな結末だったのだっけ?」と思うことが近年多いことに気が付いたので、備忘録といことでネタバレを書いておきたいと思います。

 

 

↓ここからネタバレ↓

 

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がん寛解の謎は、他人のがん細胞をターゲットの体内に注入し(この時に他人の細胞が体内に入ってくることへの拒否反応を起こさない様に免疫制御剤を使用)がんを発症させ、のちに免疫制御剤の使用を停止することによって、自身の拒否反応によってがん細胞を攻撃、死滅させていた。

 

本書の黒幕である西條先生は、亡くなった妻と娘の仇討ちのために動いていた。

妻は不貞をはたらき、西條との子どもではない娘を出産。本書ラストで西條が殺害されたと思われたが、じつは娘と西條は血が繋がっていなかったので、その遺体は妻の浮気相手のものだった。そして娘が死亡するきっかけになった妊娠の相手は羽島だった。

一連の西條の計画を傍でサポートしている宇垣医師は、西條が若い頃に精子を他人に提供して生まれた子どもだった。

 

なので、ラストで宇垣医師が西條のことを「お父さん」と呼んだのですね〜〜猫2

 

うーん なんてよく出来ているお話てれちゃうラブ

 

 

医療という素人には分かり難い専門的トリックだけでなく、人間ドラマのトリックも並行して描いているので、かなりお勧めのミステリーだと思いますムード

 

是非是非、がんに興味がなくても読んでみてもらいたいですラッキー

そして、いつか本当にがんが寛解する病気になってくれますようにぴかぴかぴかぴか

 

 



★あ行 - その他の作家 -
冲方丁 『十二人の死にたい子どもたち』

 

*あらすじ*

廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫をあけると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にとり、「集いの場」へおもむく決まりだった。
初対面同士の子どもたちの目的は、みなで安楽死をすること。十二人が集まり、すんなり「実行」できるはずだった。しかし、「集いの場」に用意されていたベッドには、すでに一人の少年が横たわっていた――
彼は一体誰なのか。自殺か、他殺か。このまま「実行」してもよいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、子どもたちは多数決を取る。不測の事態を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理していく。彼らが辿り着く結論は。そして、この集いの本当の目的は――

 

*感想*

なんておどろおどろしい素敵なタイトルラブラブぴかぴか!

重くて暗い小説が大好きな私にはこれはピッタリな小説なのでは!?

と非常に期待して読み始めたのですが…

うーん… 残念ながら星★は3つで…泣き顔汗

 

内容は、タイトルとあらすじにある通り、廃業した病院に自殺志願の少年少女12名が集まり、集団自殺をしようというものなのですが、そこで予定外の13人目が登場したために計画が狂っていき… 果たして12人の子どもたちは予定通り自殺を決行するのだろうか?

というものでした。

 

まず12人もの子どもが登場するので、彼らの名前・個性・入館した順序・多目的室に入室した順序・そこでの席順、などの情報整理に頭がパンクしそうでした唖然。おかげで、3分の1まで読んだところで、筆記用具を片手に最初から読み返すことになってしまいました(最初からメモして読めば良かった…あせあせ

 

そのメモのおかげでなんとか頭は整理され、最後まで読み切ることはできたのですが、12人の子どもたちの話し合いの論点が、どんどんズレてくるばかりか、決定的な証拠がない推理ばかりが綴られ、結局何を話し合いたいのかが明確ではなくなり、読んでいてかなり疲れました。

 

で、結局ラストは… 想定内の結末だったので、これまたガッカリ…がく〜

 

途中でリタイアされた方のために結末を書いておきますね

 

↓↓↓ここからネタバレ↓↓↓

 

↓↓↓ここからネタバレ↓↓↓

 

↓↓↓ここからネタバレ↓↓↓

 

 

0番と名付けられた死体は12番のユキの兄だった。

・ユキが自分のせいで兄を事故に遭わせて植物状態にさせてしまったので、償い?のため車椅子に乗せて連れてきた。

・しかし建物の入り口となる裏口には段差があって車椅子では入れなかったため、ユキは兄を裏口に残し、正面の自動ドアを解除にしに行く。

・アンリとノブオは、その車椅子のユキの兄を、体の不自由の参加者だと勘違い。しかも、ユキの兄はもう自殺を実行したかのような状態だったため、「全員一致の集団自殺」が実行されなくなると焦り、2人で協力してユキの兄を誰にも気が付かれないように多目的室に運び込んだ。

 

細かい動線は割愛しますが、これが0番の正体と、多目的室に移動させられた理由です。

そして、これらが判明した後は12人で「自殺の動機」に話は戻り、「生まれてこなければ良かったと思ったことがあるかどうか」などの口論になった挙句、参加者同士で助け合うような流れになり、結局集団自殺は実行されずに解散となりました。それは主催者であるサトシの思惑通りに―。

つまり、サトシは自殺を考えている人たちに考え直してもらいたくて、こういう会を開いていたのです。今回は13人目が出てきてしまうという不測の事態が発生しましたが、なんとか今回も成功して良かったね。という具合のエンディングでした。

 

なんだか没頭できない物語で、読み進めるのがちょっと辛かったりもしたのですが、せめてラストが救いのないものではなくて良かったです。

とりあえず、今から本書を読もうかなと考えている方は、最初からメモを取られることをお勧めします鉛筆。でもメモを取ったところで、ものすっごいトリックに気付き暴けるわけでもなんでもないですよ〜たらーっ あくまで頭の中の整理用ってことで

 

本作品は私には合わなかったけれど、天地明察は絶対にいつか読もうと思います!!

 

 

 



★あ行 - その他の作家 -
五十嵐貴久 『贖い』


※あらすじ※
月1日東京・杉並。小学校の校門に男児の切断された頭部が置かれていた。
2日埼玉・和光。林で、中学生の少女の刺殺死体が発見された。
3日愛知・名古屋。ス-パーで幼児が行方不明になる。
これら 3つの「点」が繋がったとき、真実の「形」が浮かび上がる!

事件を追う捜査員の姿を丹念に描き、事件の背景、犯人の動機を重層的に炙り出す五十嵐ミステリーの新たな金字塔。


※感想※
469ページの2段構え小説でなかなか読み応えがありました!

が!

展開が遅くて、中盤は読むのがちょっと辛かった〜〜(。>ω<。)

あらすじにもあります通り、本書では3つの殺人事件が発生します。しかし登場してくる人物は、被害者、被害者遺族、警察、そして稲葉秋雄(59歳,会社員)だけなんです(^_^;) 

いくら読んでも読んでも、それ以上登場人物は増えず、捜査も進展しないので、本書中盤の200ページ位読んだ所で、「もう犯人は稲葉秋雄で決定なのだろうな。そして本書の楽しみ方は犯人探しではなくて、タイトルにある『贖い』の意味を探ることなのですね。」と悟りました。(ネタバレですみません(>_<))

で、じゃあ、結局殺人の動機と『贖い』の意味は何だったのかというと、これまた想定内の結末だったなかぁ〜… 辛口ですが…

現実に行われている本当の捜査は、きっと本書で描かれている様に、根気よく地取りローラー作戦や、繰り返し防犯カメラを確認したりとかの地味な作業が多いのだろうと思います。にしても、そういう何も捜査に進展がない状況を長々と本で綴られるのは、私には楽しめなかったわー(o;ω;o)

でも、個人的に凄く良かったと思う場面ももちろんありました。それは名古屋の幼児殺害事件で、坪川刑事が被害者の父親に「息子さんが殺害されたのに随分と落ち着いていますよね。」と感情論をぶつけたことにより、妻の幼児虐待の真実を突き止めることになった展開です!これは凄くハラハラドキドキさせられました。
春馬山の捜査にあたってる由紀がレイプ魔を執拗に痛めつけたこともそうですが、こういう感情的な部分を入れてくれることにより、それまで真っ白な顔色をしていた登場人物に血液が流れだして、肌に温度のある人間らしさを感じられるようになって良かったです。

本作はそんなに私の好みではなかったのですが、著者の作品で他にも気になっているものがあるので、これからちょくちょく読んでいきたいと思ってますo(^▽^)o


そうそう、星野警部は著者の別本『誘拐』という作品にも出ているそうで、是非ともそれも読んでみたいな♪


★あ行 - その他の作家 -
赤川次郎 『東京零年』


*あらすじ*
脳出血で倒れ介護施設に入所している永沢浩介が、TV番組に一瞬だけ映った男を見て発作を起こした。 呼び出された娘の亜紀は、たどたどしく喋る父の口から衝撃の一言を聞く。
「ゆあさ」――それは昔殺されたはずの男・湯浅道男のことだった。
元検察官の父・重治が湯浅の死に関与していた事を知った健司は、真相を解明すべく亜紀とともに動き出す。 時は遡り数年前、エリート検察官の重治、反権力ジャーナリストの浩介、その補佐を務める湯浅。
圧倒的な権力を武器に時代から人を消した男と消された男がいた――。

*感想*
赤川次郎氏といえば『三毛猫ホームズ』シリーズを代表に、読み易いミステリー小説のイメージが強いのですが、本書のカバーは全く“緩さ”を感じさせない硬派な印象&500ページという長編で、骨太エンタメが読めるのではないかという期待を胸に興奮しながら読み始めましたかわいい

しかし読み進めるごとに、そのワクワクと興奮は萎んでいってしまったのが正直な感想でして…ムニョムニョ

出だしは、有力者の息子(健司)が電車のホームに落下して死にかけたり、その彼の命を救った女性が偶然にも健司の父親と因縁の関係にあったらしいなど、その後の展開に興味を抱くハラハラドキドキラブ思わせぶりな内容で面白いのですが、結局本書の大前提であり舞台は

検察・警察が絶対的権力を持ち、彼らが『法律』であり、マスメディアも言論の自由・報道の自由を持たなくなった『零年』。

というフィクション色が強い設定だったので、私の持つ『常識』とは違う感覚で物語が進行していき、物語に没頭できませんでした汗
なんだか無駄に登場人物も多かった気がするんですよね…あせあせ
健司の大学の友達のジュリアがハーフで明るく父親が弁護士だとか、健司の母親がデパートでVIP扱いをされているとか… なんだか正直その辺りは「どーでもええわどんっ」的に読んでました。

結局本書の面白さや怖さは『検察・警察の横暴さ』『権力に都合の良い“正義”』を描いているところだと思うので、その辺りをもっと深く力強く描いて欲しかったです。近未来的な話を描いている割には、恋愛シーンも昭和臭が強かったし(赤川さんが御年69歳なので仕方ないかとも思いますが…)そのアンバランスさで私には楽しめない作品でした。

完全なるフィクション、もしくは「こういう未来になったら怖いな」という心で読めば面白い作品かな〜とも思うので、興味ある方は読んでみてくださいね〜るんるん


★あ行 - その他の作家 -
岩城けい 『さようなら、オレンジ』


*あらすじ*
オーストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の子どもを育てている。
母語の読み書きすらままならない彼女は、職業訓練学校で英語を学びはじめる。
そこには、自分の夢をなかばあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。
第8回大江健三郎賞受賞 2014年本屋大賞4位 第150回芥川賞候補 第29回太宰治賞受賞

*感想*
各所から絶賛の嵐!
「言葉とは何かという問いをたどってゆくと、その先に必ず物語が隠れている」 ―小川洋子
「読んでいて何度も強く心を揺さぶられ、こみあげるものがあった」 ―三浦しをん

という売り込み文句に惹かれて読んでみましたが… 私には心を揺さぶられたり、こみあげるものがない作品でした…がく〜

アフリカ難民の子連れ主婦のサリマが、オーストラリアの田舎町で差別や言語のわからないハンディキャップに向き合いながら、仕事と子育てをしていく。という話なのですが、全体的に言葉数が少なく、登場人物達の心情を読者が丁寧に汲み取り、咀嚼する力が試されている作品だと私は思いました。

描かれているテーマやエピソードは確かに現実的で、悲しいこと、美しいことがバランスよく組み込まれていたと思います。アフリカの過酷な状況、差別という壁、子を持つ悦びと失った時の悲しさ、徐々に人と人とが心を開きあい、通じていく美しさ…などなど。でもどんなに良い事が書かれているとわかっていても、読んでいてつまらなかった。私も学生時代に3年半海外で生活していたので、差別や言葉の壁はわかるし、現在は2児の母でもあるので、2人の女性主人公の気持ちがわかる気もするのですが、全然私の心の中に浸透してこなかったんですあせあせ

映画『風と共に去りぬ』みたいな女性の強さを描いた物語が好きな人には合う作品なのかな?166ページしかない短い小説なので、とりあえず気になった方は読んでみてねかわいい


★あ行 - その他の作家 -
朝比奈あすか 『憧れの女の子』


*あらすじ*
「次は女の子を産むわ」。そう宣言して産み分けに躍起になる妻。 そんな妻の決断に淡い違和感を抱く夫。
新たに宿した子供の性別は…? 互いに心揺れる日々を経て、その果てに得たのは揺るぎない愛情と信頼だった(表題作)。
男と女の日常に生じたさざ波を通して、人間の普遍的な愛しさやつよさを描きだした傑作短編集。

*感想*
装丁の絵を見て「学校の話でクラスに“憧れの女の子”がいる」という作品かな?となんとなく連想していたのですが、実際は2男児を持つ母が「次は女の子を産むわ!」と宣言をする“憧れの女の子”の話でした(笑)イヒヒ
その「女の子を産む!」と宣言するのは表題作で、その他にも男女の性別にまつわる短編が4編収録され、全5編の短編集になっています。

他の4編のあらすじを紹介しますと
かわいい『ある男女をとりまく風景』仕事に忙しいジュンと、ジュンを支えてセンギョウシュフとして毎日頑張るマスミの話。
かわいい『弟の婚約者』母と姉が大切に育ててきた弟が連れてきた婚約者は、母と姉にとって受け入れがたい女性だった。
かわいい『リボン』カフェの経営者のタケルは性同一性障害だった。
かわいい『わたくしたちの境目は』妻を亡くした勇造は息子夫婦に誘われて行った温泉の混浴風呂で、妻との思い出と生きているという事をかみしめる。

最初の2編は展開がはっきりしていてわかりやすい話なのですが、『弟の婚約者』から徐々に精神的な面を深く描く物語へとなっていっています。
なので『憧れの女の子』で単純に「やっぱり女児は男児とは違ったかわいさがあるしね〜」「ピンクゼリーを使ったセックスで産み分け!?」なんてただ楽しむ読書だったのが、後半の『リボン』で「自分には、空気を読むのが生きていくための術だった頃が、たしかにあった」という行で、この本はただ面白いだけでなく、深く考えさせられるものを持っている。やっぱり小説家というのは思慮深く、単純な物語が書けるだけではなれない職業なんだな…と思わされた作品でした。

ちなみに『ある男女をとりまく風景』はガッツリとミスリードさせらる作品になっていますので、騙されたい方や男女の役割について是非とも考えてみたい方は是非読んでみてねラブぴかぴか


★あ行 - その他の作家 -
越智月子 『モンスターU子の嘘』

*あらすじ*
男も女も、なぜ、この女に騙されるのか―
昭和63年。ゲーム機賭博で数億円の荒稼ぎをしていた赤坂の喫茶店経営・石山詩子が、常習賭博の現行犯で逮捕された。
フリーライターの蒲田は、旧友で亡くなった刑事の寺本から「あの人のことを頼む」と懇願され詩子と拘置所で面会する。それから蒲田は詩子を取り巻いていた世界を垣間見ることとなり、不思議な世界を目の当たりにしてゆくのだった。
そして年号が改まった平成元年。獄中にいた詩子は、ある計画を実行に移し――。

*感想*
久々に「ええ!?これで終わり!?びっくり」と叫んでしまった、消化不良な作品でした。

獄中にいる詩子の様子と、詩子の過去を探る記者のインタビューが交互に綴られる構成になっています。しかしどちらの視点でも共通していえるのが「詩子の悪女としての魅力が描写しきれていない」「どのエピソードにもリアリティと信憑性がなく、素直に読みいることができない」ということです爆弾

具体例を挙げると、獄中の詩子が看守をも手玉にとるのだけれども、どのようなやり取りや駆け引きがあってそういう力関係に発展したのかというのを、しっかりと読ませてほしかったです。単に他の囚人たちの噂話で「詩子のバックには暴力団がついてるから、看守といえども詩子には厳しくできないんだ」とか「詩子にはなんともいえない魅力があるんだ」と綴られても、読者側としては「又聞き」状態でなにも共感できませんでした。

もっと「裏付け」がしっかりした内容で、そして例えば東野圭吾の「白夜行」の様に「抗えない力が加わっている」ことを客観的&論理的に読ませる作品だったら楽しめたのでしょうが、本当に残念な作品でしたどんっ さー次の本を読もーっとギザギザ


★あ行 - その他の作家 -
上田早夕里 『ブラック・アゲート』

*あらすじ*
日本各地で猛威を振るう未知種のアゲート蜂。人間に寄生し、羽化する際に命を奪うことで人々に恐れられていた。瀬戸内海の小島でもアゲート蜂が発見され、病院で働く事務長の暁生は、娘・陽菜の体内にこの寄生蜂の幼虫が棲息していることを知る。幼虫を確実に殺す薬はない。未認可の新薬を扱っている本土の病院を教えられた暁生は、娘とともに新薬を求めて島を出ようとするが、目の前に大きな壁が立ちはだかる…。暁生親子の運命はいかに。

*感想*
昆虫(蜂)を題材に小説を書いたのが、女性作家さんだということにまず驚きました! 女性で昆虫に興味がある人って多分少ないと思うのでね… まぁ昆虫に興味があるかどうかは別として、本書はインセクトホラー(←勝手に名付けましたイヒヒ)として楽しめました。

人間に寄生し、羽化する際に人の命を奪う、未知種のアゲート蜂。一度刺されてしまえば、治療薬もなくただ死を待つのみ。そんな蜂症患者が日本各地で続出し、社会機能も医療現場も、そして政治も全てが混乱してしまっている描写は、日々平凡に生きている私に大きな恐怖を与えました泣き顔 本書では蜂の生態が変化したという設定でしたが、現実社会でもいつどんな生物が突然変異を起こして、このアゲート蜂の如く、人間に寄生したり攻撃するようになるかわかりませんからね…汗 もしかしたら数年後は本書のような世界になっているかもしれないし… おお怖っ!!

文章が全体的に平坦な感じなので、蜂症患者を介護する家族の苦しみや、愛娘が蜂症に感染してしまった主人公(暁生)の心痛が、あまり伝わってこなかったのが唯一残念だったのですが、アイディアも構成もグッドなエンタメ作品でしたよ〜ぴかぴか


★あ行 - その他の作家 -
乾緑郎 『完全なる首長竜の日』

*あらすじ*
植物状態になった患者と、コミュニケートするための医療器具「SCインターフェース」が開発された日本。少女漫画家の淳美は、自殺未遂を起こして数年間意識不明に陥っている弟の浩市と対話を続けている。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いかけに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。そんなある日、謎の女性からかかってきた電話によって、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こりはじめる…。
『このミステリーがすごい!』大賞第9回(2011年)大賞受賞作。

*感想*
確かに “このミステリーは凄かった” です
現実と虚構が交錯する話なので、映画でいうところの『マトリックス』や『インセプション』が好きな人には、大変面白く感じる作品だと思います。特に本書では「昏睡状態に陥った患者と、夢(虚構の世界)の中でコミュニケートする」という内容と、「虚構の世界を終わらせるためには自殺が有効」という点で、『インセプション』と類似していました。ただ、本書は『インセプション』が発表される以前に書かれた作品だということをお忘れなく

著者の想像力と構想力は本当に素晴らしく、そして近未来的な医療器具(SCインターフェース)の説明もしっかりされ、更には少女漫画家の仕事風景までも想像しやすく描かれているという、文章力の高さにも私は驚きました。結末に至っては、読了した時に体が震える程でした。

「人の死とは、その人を覚えている人が誰もいなくなった時に完成する」
本書のメインストーリーを総括するかのこの一文。こういう簡潔で深い文章を書ける作家さんは、いるようでいない気がします。
虚構世界が苦手ではない人は是非読んでください!活字でもこういう世界を表現できるものなのだと、きっと感動しますよ〜




★あ行 - その他の作家 -
伊吹有喜 『四十九日のレシピ』


*あらすじ*
熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。


*感想*
読後に「生きる力が湧く」、そして「愛する家族を亡くした時」「愛する家族を置いて逝く時」を考えさせられた1冊でした。


熱田家の母・乙美が亡くなり、その家族(家事が一切できない「父」、離婚問題に悩む「娘」)を四十九日までの間、乙美の教え子だったという井本というギャルがサポートするという話です。
私はこのあらすじを読んだ時に、具体的な家事のレシピや、四十九日に向けての事務的処理的な事が、ゴロゴロと書かれている「マニュアル本」的な想像をしてしまったのですが、実際は“新生活”を歩みだそうとする人々を描いた優しい物語でした。文芸書として出版されている事を考えれば、すぐにわかったようなものですが… いやぁ〜早とちり


本書には“自分勝手”な人が多く登場する事ため、物語の中盤までは正直イライラしました。しかしそれこそが「それぞれの愛の形」に繋がっていることが後半にわかり、ラストには全てが丸く収まったから、あら不思議。イライラした分、爽快感を感じました


私の一番印象に残ったシーン、そして本書が素晴らしいと感じたのは、四十九日のイベントで模造紙に「乙美の年表」を作り、最後には空白が全て埋まっていた所です。私は平凡な主婦で、それこそ年表を作っても空白だらけのものになってしまうだろうけれど、そこにメッセージを寄せてくれる家族と友人が、自分の亡き後に居てくれたらどれだけ幸せな人生だったかと、具体的にイメージできました。こういう形で、自分の境遇や周囲の人々への敬意を思い出させてくれた本書は、本当に素敵な本だと思います。


少しでも年表が埋まるように、そして世の中が無数のテイクオフ・ボードで成り立っていることを忘れず、日々を過ごしたいなと思います。



★あ行 - その他の作家 -
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