読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
葉真中顕 『政治的に正しい警察小説』

 

*あらすじ*

“ポリティカル・コレクトネス”をコンセプトにした警察小説の依頼を受けた、新人作家・ハマナコがたどり着く境地とは……!? 表題作「政治的に正しい警察小説」ほか、偶然通りかかったカレーショップで、生き別れた母の思い出の味に再会した大学生の僕とその“隠し味”をめぐる「カレーの女神様」、25歳の若さで亡くなった“史上最強の棋士”紅藤清司郎の没後20年にあたり、彼の軌跡を取材したライターがたどりつく真相を描く「神を殺した男」など。驚愕と感嘆にあふれた全6編を収録。『ロスト・ケア』『絶叫』など社会派ミステリーの新鋭が放つ、ブラックユーモアミステリー集が文庫オリジナルで登場。

 

*感想*

『ロスト・ケア』『絶叫』『コクーン』など、読み応えのある長編社会派ミステリーを生み出してきた著者、葉真中さんが短編を書くと、こういう作品集になるのねぴかぴかぴかぴかラブ

と、葉真中さんの才能に心酔しながら楽しめた、傑作短編集でしたるんるん

 

本書には6編掲載されていて、全話一筋縄ではいかない叙述トリックや、オチがある話でした。

まず1話目の『秘密の海』では、親に虐待されて育った男女が、夫婦になってからのお話が綴られます。親に虐待された挙句、捨てられた男性がのちに、母親の愛を知ることになる展開に涙が止まりませんでしたポロリ その愛を読者に読ませる構成とトリックが本当に上手だったんですよ!!!! これはきっと誰もが「葉真中さんって本当に凄い作家さんなんだな」と思うはずです!!これこそ活字で勝負している小説の醍醐味だと感じる作品で良かったですぴかぴかぴかぴか

 

その後の作品も、ちょっとお涙頂戴の感動話から一気にどんでん返しありの180度急展開ものや(カレーの女神様、リビング・ウィル)、将棋界の神と崇められていた棋神を殺害した真の理由を突き止める正統派ミステリーもの(神を殺した男)など、バラエティーに富んでいて楽しめましたラブ

 

ただ、私は表題作の『政治的に正しい警察小説』は苦手だったかな…がく〜 主人公の相手役となる編集者の女性がエキセントリックで、よくわからない理屈を捏ね回し、会話口調も狂っていて読み難く、途中で疲れてしまいました。。。 表題作になる程だから、読みこめば面白い作品なのかもしれませんが、ちょっとギブアップです…撃沈

 

傑作を生みだす作家さんというのは、長編でも短編でも良いものを書けるものなのですねぴかぴか

葉真中さんが好きな方は是非読んでみてくださいね〜♪葉真中さんを知らないかたも、是非本書を読んで、そしてその次には是非長編も読んでみてください!葉真中さんの作品は絶対に面白いですからラブラブ桜

 

 

 

 



  ├ 葉真中顕 -
葉真中顕 『コクーン』

 

 

*あらすじ*

 1995320日、カルト教団『シンラ智慧の会』通称「シンラ」の教祖、天堂光翅の命を受け、白装束に身を包んだ6人の信者が、丸の内で無差別乱射事件を起こす。その宗教は、1958年ひとりの女が呪われた子を産む決意をした日に始まる。たとえ今、生きる意味が見出せないとしても、もしかしたらこの子は、私に生きる意味を与えてくれるかもしれないと―。

 

*感想*

毎回、暗くて面白い作品を出してくれる葉真中さんですが、今回も暗くて面白かったです!!ラブ(←そのまんま)

 

本書は、

1941年〜1958年の戦時中〜戦後

2010年〜2013年の現代

この2つの時を交錯させて描いています。

また、登場人物達も交錯し、更には彼らの夢と現実も交錯するので、本書のしくみを理解するまで「何が何だか…汗」という印象を受けるかもしれません。

 

しかし、是非その「何を描いているんだ?この本は?」のパートを読み切ってください!そこを理解すれば絶対に本書は面白いですから!群像劇や交錯モノがお好きな方は絶対にハマります!ラブラブ

 

物語のテーマとしては『この世界の不条理』『宇宙・地球・人間が誕生した仕組みがわかっても、誕生した理由まではわからない』『もしも(IF)の世界はあるのだろうか、もしあるのならあの事件の当事者になっていたのは自分かもしれない』というものかなと思います。

まぁまぁテーマが重めなのと、これらのテーマの根底は『生きる』ということなので、『生』と『性』はやはり切り離せず、(グロテスクな)性描写も少々出てきて、はやり読み手を選ぶ作品になってしまっているのかも。でも、繰り返しになりますが、面白いです!こんな壮大で難しいテーマを、交錯という技術も入れつつ見事にまとめ上げている葉真中さんの意欲作・力作であるのは間違いないですぴかぴかぴかぴかぴかぴかぴかぴか

 

私が一番面白かったのは、最終章『パラダイス・ロスト』の、繭子が段々シンラという宗教にのめり込んでいく所でした。その様子は狂気に満ちていて、しかし繭子の最期に家族を思うエピソードもあり、思わず泣いてしまいましたポロリ

 

それでですね、ここが一番重要なのですが、

最後まで読まれた方は、絶対に本書冒頭のプロローグ『コクーン―2016−』を読み返して下さい!!危険

最初に読んだ時には全く意味の分からなかったその文章が、本書を読み終えてから読み直したら、鳥肌が立ちました唖然 これこそが瑠璃の父親が言っていた

『原因と結果は、常に強力な因果律によって結びついているのだ。』(P239

なのかと…

 

やっぱり葉真中さんは天才だわ…

今回も見事に夢中にさせられました。

次回作も楽しみにしていますラブラブラブ

 

 



  ├ 葉真中顕 -
葉真中顕 『絶叫』


*あらすじ*
期待の大型新人が紡ぐ、ひとりの女の壮絶な物語。

平凡な女、鈴木陽子が死んだ。誰にも知られずに何カ月も経って……。
猫に喰われた死体となって見つかった女は、どんな人生を辿ってきたのだろうか?
社会から棄てられた女が、凶悪な犯罪に手を染め堕ちていく生き地獄、魂の叫びを描く!

*感想*
本当にこれは葉真中顕さんの、たった2作目の作品ですか!?
著者の1作目『ロスト・ケア』も大変骨太で面白い作品だったのですが、本作品は前作を上回る傑作で、どこぞの売れっ子作家が執筆したものなのかと思う出来栄えでしたラブラブぴかぴか

本書はまず下記2件の死体発見について描かれます。
NPO代表理事である神代武が何者かによって刺殺された事件。
単身者向けマンションで鈴木陽子と思われる女性が死亡し、死体を猫によって荒らされていた事件(事故?)。

そして第1章の本編が始まると、
―性の遺体が鈴木陽子で間違いがないか調べる警察の視点【現在】
⇔詭斃杙劼寮犬のちとその人生を描く“わたし”という視点【遠い過去】
神代武殺害事件のあらましが描かれる関係者の証言【近い過去】
これら3視点によって2つの事件の全貌が明らかになってゆくという構成でした。

この3視点から物語が描かれる構成は少々特殊だと思うのですが、著者の筆力がとにかく素晴らしく、特に鈴木陽子の過去を描いている部分では、陽子の過去の苦労が非常によく伝わってきて、のめり込むように読み耽ってしまいました。一言でいえば、陽子の転落人生振りがとても納得のいく、不可抗力的な展開で描かれていて素晴らしかったです桜

そして過去と現在を同時進行で描くというスタイルから、何か所かエピソードが交錯する箇所が出てきます。この交錯に気が付いたときって感動と悦びでアドレナリンが脳内にバーっと出て、「ええで!葉真中ちゃん、ええで!」←P481の6行目参照イヒヒって叫びたくなりました。

なんとなく読み流してしまった方のために、どこが交錯していたのか書いておきますね

↓↓ネタバレ注意↓↓



★その1★
P193 1行目〜【現在】<コスモちゃん事件 我が子を殴り殺した鬼母の異常な生活>
P352 15行目〜【過去】「だから私、個性的な名前を付けてあげようと思うんです。男の子ならたとえば『宇宙』って書いて、『コスモ』とか」

★その2★
P312 1行目〜【現在】陽子 あなたが生まれてきてくれたことに感謝します。
P505 14行目〜【過去】すみれ あなたが生まれてきてくれたことに感謝します。

★その3★
P271 12行目〜【現在】『Café Miss.Violet』という文字を〜〜〜
ここに繋がる【過去】は、ラストまで読んでいたら絶対にわかることなのであえて書かないでおきますねムード

とまぁ、ズラズラと感想と注目ポイントを勝手な見解で書かせて頂きましたが、こうやってアツく感想を書きたくなるほとに本書は面白かったので、是非とも読んでみてくださいラブ
3つの視点が重なり合って初めて事件の全貌がわかるというこのスタイル、一読の価値ありまくりですよチョキ
面白すぎて『絶叫』すること間違いなし!!ラブラブ


  ├ 葉真中顕 -
葉真中顕 『ロスト・ケア』


*あらすじ*
2011年12月。一人の男〈彼〉に極刑判決が下った。しかし被害者遺族の一人である羽田洋子の心は晴れたものではなかった… 洋子は〈彼〉に親族を殺害された他の被害者遺族聞きたかった「あなたたちは〈彼〉に救われたと思ったことはない?」と―。

「日ミス」全選考委員を唸らせた、骨太エンターテインメント!
介護に追い詰められていく人々、正義にしがみつく偽善者、社会の中でもがき苦しむ人々の絶望を抉り出す、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

*感想*
誰しもが他人事とは思えない状況になってきている「介護」を題材にした、ミステリー小説でした。本書を読み、いかに介護保険法に穴があるのか、そして介護の現場がいかに厳しい状況なのかがわかりましたショック。そして家族への介護疲れに心身を壊す人々の多さ… たしかに近年要介護者への虐待報道は多いですよね。以前の私ならば「弱者への虐待なんて酷い!」と憤ったことでしょうが、私自身が育児疲れをしている今、意思疎通がまともに取れない相手をお世話する大変さを実感しているので、要介護者への虐待をしてしまう人の辛さもちょっとわかる気がします…ポロリ

本書はそういう壮絶な介護現場を描き、とある信念を抱いて〈彼〉が要介護者を殺害していく。という内容になっています。そこには人間の尊厳なども深く関わり、それを宗教・哲学・神話の言葉を引用し、見事に読者へ問題提起と何かしらの答えを導いていて、とても読み応えのなる文章でした桜 また個々のエピソードも充実していて「介護」というものが、どれだけ多くの人々を巻き込み成り立つものなのかもよくわかる内容で良かったです! とくに介護士が要介護者から受けるセクハラ問題、そして厳しい現場状況から起きるバーンアウト現象など、介護現場を知らない私には少し衝撃でした。

いつか私が介護疲れから鬱とかに陥った時、私も〈彼〉が現れてくれないだろうか…泣き顔 などと考えてしまうのだろうか。そうならないためにも、今から何か準備できることがあったらやっておきたいなと思わされた作品でした。「ストレスという名の糸が人を操るのだ。」「こういう状況になると以前からわかっていた」とならないためにもね…汗
日本の未来を考えるという意味でも、是非とも皆さんに読んでもらいたいな〜桜


  ├ 葉真中顕 -
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