読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
櫛木理宇 『寄居虫女 ヤドカリオンナ』

 

 *あらすじ*

平凡な家庭の主婦・留美子は、ある日玄関先で、事故で亡くした息子と同じ名前の少年と出会い、家に入れてしまう。後日、少年を追って現れたのは、白いワンピースに白塗りの厚化粧を施した異様な女。少年の母だという女は、山口葉月と名乗り、やがて家に「寄生」を始める。浸食され壊れ始める家族の姿に、高校生の次女・美海はおののきつつも、葉月への抵抗を始め…。

 

*感想*

気持ち悪い話でした…(>_<)本当に…櫛木さんもかなりのイヤミスをお書きになられるお方なのですね…

どういう“気持ち悪い”かと言うと、ゾンビ・お化け・血みどろなどの視覚的気持ち悪さではなくて、人間が人の心と判断力を失っていく怖さを、じっくり・べっとり・ねっとりと描く“気持ち悪さ”でした。。。もう気持ち悪いを通り越して「恐怖」でしたよ…

 

物語は、山口葉月という女が、とある家庭を自分の支配下に置き、そして家と家庭を乗っ取るという物語でした。これだけ読むと「そんな簡単に家や家庭を乗っ取ることなんてできるの?」と思うかもしれませんが、本書ではその辺の手法もなかなか具体的に描いていて、かなり説得力のある内容だったと思います。

 

そして本書は構成も良かったです!!

 

1章〜4章で「山口葉月という女に家を乗っ取られ始めている家族の話」(現在)

が具体的に描かれ、

それと同時に各章の幕間に「かつて山口葉月に家を乗っ取られた人の話」(過去)

が綴られるのです。

 

なので、このままいくと“章”の部分で葉月に家を乗っ取られかけている皆川家も破滅に向かうのだろうと推測ができてしまうので、「皆川家の皆さんしっかりして(:_;)!!」とハラハラもして、より楽しめました(気持ちわるいけど)

しかも、物語が後半になっていると、過去の葉月と、現在の葉月に何か違和感を感じるようになり… その理由やトリックもラストでは見事に収束されていて、スッキリと終われました(気持ち悪いけど)

 

でも私が一番戦慄したのは、読み終えて巻末の「引用・参考文献」で『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』という文字を読んだときでした(>_<)

そうだ!そうだ!こういう家族をマインドコントロールして、本書中でもあったように互いを監視させて、殺害させて、そして死体処理までさせていた事件が実際に日本であったんだった!!と思い出しました…

 

本書はその実際の事件を参考にしたフィクションですが、実際にこういう悲惨な事件がいつ自分の身に降りかかるかわからないってことですよね…

怖い…怖い… そして気持ち悪い…

 

間違いなく気持ち悪い作品ですけれど、気持ち悪い=面白い という意味なので、是非読んでみてください♪

 



  ├ 櫛木理宇 -
辻村深月 『噛みあわない会話と、ある過去について』

*あらすじ*

2018年本屋大賞受賞後第一作! 美術教師の美穂には、有名人になった教え子がいる。彼の名は高輪佑。国民的アイドルグループの一員だ。しかし、美穂が覚えている小学校時代の彼は、おとなしくて地味な生徒だった――ある特別な思い出を除いて。今日、TV番組の収録で佑が美穂の働く小学校を訪れる。久しぶりの再会が彼女にもたらすものとは。

 

*感想*

「辻村深月さんって…本物の天才だ…きっと文芸の神の子で間違いないわ…」

と心酔した作品でした!!!

こんな私の拙い言葉で感想を書くのが申し訳ないほどに素晴らしい作品でした(´;ω;`)ウゥゥ

 

本書は4編からなる短編集で、あらすじはこちら↓

◆ナベちゃんのヨメ→大学時代の仲間(ナベちゃん)が結婚することになったのだが、そのヨメが私とは違う価値観を持っているみたいで…

◆パッとしない子→かつての教え子が国民的アイドルとなり、偶然訪れた再会の機会に「先生に話したいことがある…」と言われたのだが…

◆ママ・はは→お友達のスミちゃんは「ママ」ととても仲が良さそう。しかし以前は「母」から随分と抑圧的に育てられたみたいで…

◆早穂とゆかり→小学生の時に地味で目立たなかったクラスメート(ゆかり)が大人になってから塾経営で成功した。ライターであり、当時クラスメートであった早穂はゆかりにインタビューを申し込むが…

 

全話に共通しているのが、少ない登場人物で特別な事件などはなく、基本的に「会話」で物語が進んでいくということ。つまり「構成」や「トリック」などで読ませるのではなくて、「言葉の応酬」と「ニュアンス」が物語の中心になります。

しかしその言葉の選び方がとにかく素晴らしいのです!!本当に!!

 

各話に、言葉で明確に表すのは難しいけれど、「どことなく常識や価値観がズレている人」が登場してきます。そういう人たちと言葉で対峙する際、「なんとなく」「なぁなぁ」「暗黙の了解とその距離感」という大人のやり口が通用せずモヤモヤしたりするのですが、辻村さんは見事にそのニュアンスや真意を活字で書き表してくれて驚きました。

 

例えば、知人の知人である芸能人に「子供の頃は〜な子だったんだってね?」と本人に話してしまうのは「知っているという親近感」を出したくなるから。とかね。

 

そんな中、言葉の応酬が一番激しかったのは、最終話の「早穂とゆかり」だったと思います。のでこの話は一番面白くて、一番ゾクゾクしました。たとえ肉体的にいじめていなくても、言葉で人を「軽んじる」という行為がどれ程に残酷なのかを感じ、そして私が過去にされてきたことや、逆に他人にもそういうことをしたことがなかったか振り返ってしまいました。

 

大人になって言葉を少しは狡猾に操れるようになってきたからこそ、本書中で綴られる言葉が身に刺さります。皆さんもきっと言葉の威力に戦慄すると思いますよ!!

是非読んでみてください!

 

 



  ├ 辻村深月 -
こだま 『夫のちんぽが入らない』

 

 

*あらすじ*

同じアパートに暮らす先輩と交際を始めた“私”。だが初めて交わろうとした夜、衝撃が走る。彼の性器が全く入らないのだ。その後も「入らない」一方で、二人は精神的な結びつきを強め、夫婦に。いつか入るという切なる願いの行方は―。「普通」という呪いに苦しみ続けた女性の、いじらしいほど正直な愛と性の物語。

 

*感想*

インパクトのあるタイトルと、2017年「Yahoo! 検索大賞」(小説部門)を受賞した作品とのことで、以前から気になっていてやっと読めました♪

 

読んだ感想は、ずばり「可もなく不可もなく」という具合。といいますのも、本書はプロの作家ではない著者が、自身の半生を綴ったノンフィクション物語なので、文章や構成などが粗く、内容も俗にいう「人は1冊は本を書ける(誰しも自分の人生にドラマがある)」というもので、文芸書として楽しむものとは違う本だったからです。

 

良い点は、シンプルに「ちんぽが入らない」とは一体どういうことなのか?という疑問と興味をストレートに読者へ抱かせることや、著者の波乱万丈な人生が読めるところ。特に著者の夫婦の関係は非常に少数派なスタイルだと思いますし、「夫婦間にセックスがなくなったら、ただの同居人」と常日頃から思っている私には、著者の夫婦の形はとても新しく、そして「夫婦とは、互いの足りないところを補いあいながら生きてゆく」という初心を思い出させてくれました。

 

あまり良くなかった点は、著者が自身を謙遜するときに「ちんぽが入らない私なんか」と卑下したり、自虐を言うくだりが何度か出てきてしまったところかな。本書の最大のテーマがそこなので仕方がないですけど、少々見苦しかったですね(;^ω^)

 

Amazonの紹介コーナーには、本書への熱いコメントが著名な方々から寄せられていますが、それに惑わされて期待過剰で読まなければ、それなりに驚きと切なさに溢れた作品だと思います★是非読んでみてくださいね〜♪

 

 



★か行 - その他の作家 -
小林由香 『罪人が祈るとき』

 

 

*あらすじ*

自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親──。
同じ空を見上げたとき、ふたりはなにを祈るのだろうか。
涙なくしては読めない感動のラスト!

 

*感想*

もうこれは…(´;ω;`)ウゥゥ

ほんとこれは…(´;ω;`)ウゥゥ

非常にこれは…(´;ω;`)ウゥゥ

お、、お、、お、、嗚咽、、が、、と、、止まら、、ない、、作品、、でした、、(´;ω;`)ウゥゥ

 

本書は、いじめによって苦しむ少年少女と、いじめによって子供が自殺してしまった親の物語でした。いじめに苦しんでいる子供たちの描写も読んでいて辛かったけれど、いじめによって自殺に追い込まれてしまい、子を亡くした親の描写が特に辛くて、、辛くて、、(´;ω;`)ウゥゥ 

 

この設定を読んだだけでも、本書が辛く悲しい内容だとおわかりだと思うのですが、本書は1つの作品として、「どこまで詳しく書くか」の塩梅が非常に上手くて、スイスイ読めるのに心を鷲掴みにされる。濃く読まされるのにサッと場面転換して次のステージに進める。文章も構成も素晴らしい作品だったと思います。

表面的には「復讐劇」に読めるのですが、根幹には「親(大人)として、子どもに何がしてあげられるか(してあげられたか)」が書かれているところが特に秀逸で、今後私自身がどうやって子供を守っていくかと考えさせられながら読みました。

 

「死にたくなるほど辛いときはこの指人形を見せて」

これは私も子供に伝えたいと思いました。「もういいよ。殺せよ。」なんて自分の子供に絶対に言わせたくない。子供が何かしらSOSを出せる環境を大人が作っていかないといけない。

 

死刑や私刑には賛否あるでしょう、しかし本中で風見が言っていた

「私を裁けるのは検察官でも、裁判官でもありません。もしも、私を裁ける人間がいるとしたら、それはいじめによって子どもを亡くした遺族だけです」

は本当に重い言葉で、そして私もすごく納得しました。それ程に、子を理不尽に亡くした親の悲しみは深く、他人にはわからないのでしょう。

 

色々ないじめの形を知っておくことで、大人は子供を守る準備ができると思います。本書はエンタメとしてだけでなく、そういう予防として知っておくためにも是非読んでもらいたい作品だと思いました。

 

面白かったです。涙が止まらなかったです。本書を読んだ経験は絶対に後に役に立つと思います!!すごい作品をありがとうございました(´;ω;`)ウゥゥ

 

 



★か行 - その他の作家 -
加藤シゲアキ 『チュベローズで待ってる』

*あらすじ*

就活に惨敗し、自暴自棄になる22歳の光太の前に現れた、関西弁のホスト・雫。翌年のチャンスにかけ、就活浪人を決めた光太は、雫に誘われるままにホストクラブ「チュベローズ」の一員となる。人並み外れた磁力を持つ雫、新入りなのに続々と指名をモノにしている同僚の亜夢、ホストたちから「パパ」と呼ばれる異形のオーナー・水谷。そして光太に深い関心を寄せるアラフォーの女性客・美津子。ひとときも同じ形を留めない人間関係のうねりに翻弄される光太を、思いがけない悲劇が襲う―。

 

*感想*

2019年1作目の感想ですが、辛口でいきますよー!本当に申し訳ないのですが、私には合わない作品でした(>_<) 本書が好きな方はこの感想を読まないでください💦本当に100%私の個人的感想ですのでm(__)m

 

本書は、就職活動に失敗した青年(光太)が家族を養うためにホストになり、その後の出会いにより人生を切り開いていく。しかし好きな人との別れ、妹との不仲、仕事のトラブルが次々と光太を襲う。その悲しみと問題を乗り越えた先にあるものとは…? 

というような物語で

上巻(AGE22)は大学4年生の頃の就職活動時代

下巻(AGE32)は就職した会社での社会人時代

を描いていました。

 

つまり光太の人生の、就職活動〜社会人10年目までを読むことになるのですが、私からすればその人生は、非現実的で夢物語で人生ってそんなにチョロイものだったっけ?と思ってしまう内容だったのです…

就職活動失敗したらホストにならないかとスカウトされ、ホストになってみたらあっという間にナンバーワン。ナンバーワンになれたのは1人の女性客との出会いがあるけれど、その女性のおかげで再就職活動も成功。入社式には金髪・私服で現れて注目を浴び、仕事で見事に成功を収めて会社での地位もある。仕事で大きなトラブル発生したら、ホスト時代のコネを使って裏社会にまで手を回して解決。最終的には愛した女性客の死亡理由の謎も解けてスッキリ!!

 

ってどうなんですか????光太は光太なりに大変なことあったとは思いますが、人生ってこんな簡単にナンバーワンになれたり、会社内で成功を収められるものではないよね?

本書はホストでナンバーワンになるためや、会社で成功を収めるための指南書ではないとわかっていますが、それにしても簡単にトップに昇りつめすぎだと思いました。光太の人物描写は、そんなに勘が良くて、気配りができて、ゲームをクリエイトする才能があるとは1ミリたりとも感じない書き方だったから尚更違和感がありました。しかも入社式に金髪・私服で現れるものの、その後の仕事の成果で周りを黙らせ、それどころか皆の憧れの的になるとか、随分と中二病的な展開ですよね。「自分のスタイルを貫く」と「好き勝手やりたい放題」は別物ですよ。若い子が読んだならば「自分を貫いた結果が成功に繋がっててカッケー!」みたいに感じるのかな?

そしてその中二病的展開に追い打ちをかけるのが、思想家の名前や作品名ちょいちょい入れてくるところ。「マキャヴェッリの君主論」「ドストエフスキーの罪と罰」「ポール・ワイスの思考実験」とかとか、もう何よこれっ?ヽ(`Д´)ノ高輪ゲートウェイとか虎ノ門ヒルズじゃないけれど、そういう小難しいタイトルとか横文字を書いておけば、本書が深みのある文学作品になるとで思ったのかな。

 

光太の人生を読ませないならば、もっと「抗えない運命」を描くべきだし、光太の恋愛物語を読ませたいならば、大阪のやくざのくだりとか闇の部分を省くべきだったと思う。とにかく色々な要素を取り入れすぎたために、全てが浅い内容に思えました。ラストは泣くどころか無表情で読み終えました。

 

本書ファンの方、こんな私の感想文なんて気にしないでくださいね!!あくまで個人の見解なので!!

 

2019年1発目はかなりの不発でしたので、挽回するべく今年も読書を頑張ります!

 

今年もよろしくお願いいたします〜♪

 

 

 

 



  ├ 加藤シゲアキ -
村山由佳『ミルク・アンド・ハニー』

 

*あらすじ*

脚本家・高遠奈津はプライベートから仕事の中身にまで干渉し、支配する夫・省吾との穏やかだが息が詰まるような田舎暮らしを捨て、いまは東京で恋人の舞台役者・大林一也と暮らしている。しかし、時の経過とともに大林は奈津に無関心になっていき、奈津の心と躯は満たされなくなっていく。
省吾との不毛な離婚協議を続けながら、脚本の師匠・志澤一狼太や大学の先輩・岩井良介ら元恋人たちとの逢瀬で心の隙間を埋める日々。
やがて離婚は成立し、正式に大林と籍を入れるが、そんな時に奈津の前に現れたのは、風俗やハプニング・バーなどを取材対象とするライター・加納だった。
またも性の深淵へと分け入ってゆく奈津が、自由と孤独のその果てに見いだしたものは……

 

*感想*

柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞の三冠に輝いた衝撃作『ダブル・ファンタジー』の続編。ということなのですが、ご安心下さい!『ダブル・ファンタジー』を未読の方でも本書は楽しめますよ〜♪ じつのところ、私は続編だと気が付かずに読んでしまいました(;’’) だって『ダブル〜』を読んだのはもう10年近く前のことなので主人公の名前とか忘れちゃうよね…

 

なので、続編だということは触れずに、本書のみの感想を書きたいと思います(*^-^*)

 

本書は、近年の村山さんの作品によく出るテーマの『セックスレス』を根底に『大人の女性の仕事と婚姻生活と性について』が肉付けされた、アラフォー女性の生き方を描いた物語です。そして主人公の奈津は性欲が旺盛で、夫とセックスレスの状態に強いストレスを抱き、外で他の男と関係をバンバン持つので、「セックスレスぐらい我慢しろ派」の人には、奈津の言動は理解し難く、嫌悪感を抱くかもしれない設定かもしれないと思いました。

かく言う私はというと「夫婦間のセックスレスは重大問題派」なので、奈津の苦悩に心を添わせて読むことが多く、切なかったけれどかなりのめり込んで読み込みましたよー!

 

奈津の性欲が本書の展開のカギを握っているので、とにかく性描写が多いです(;’’)。しかも前作『ダブル〜』を超える刺激を描きたいのか、媚薬という名の合法麻薬、乱交するハプニングバーなど、アンダーグラウンドな部分も描かれているので、「Oops!Σ(゚д゚lll)…」と衝撃を受ける場面もありました…

しかしですね、本書の凄いところは生々しい官能シーンだけではなくて、『関係を持つ男によって変わる奈津の生活と、メール文章の変化』だと私は思いました。

最初の旦那の送ってくる詩のようなメール。W不倫関係の風俗ライター加納との、情熱的に互いを煽りまくるけれど決して簡単に腹の底を覗かせないプロ同士のメール。親戚という禁忌と幼少期からの思い出で純粋に愛をぶつけ合うメール。三者三様で本当に面白かったのです。 特に加納とのやりとりは読んでいてゾクゾクしました!!!言葉を操るプロが紡ぐ愛のメッセージはこんなにも重く深く情念が込められていて、にも拘らず笑いを含むことも忘れず、どこか相手を委縮・服従させるようなラブレターを書くものなのかと。

私もあんなメールを書いてみたい。そして私もそんなメールを受け取ってみたいと。

 

 

P165. 一人の男に心も躯も満たされるなど、所詮は幻想に過ぎないのだろう

 

その答えは本当に難しいと思う。

一般人の私に言わせれば『心も躯も、そして経済力も満たされるなど、所詮は幻想に〜』と、『経済力』というワードも入ってきてしまいますしね。

 

夫婦の数だけ、夫婦の形があることでしょう。奈津と奈津に関わる男性たちの関係もそれぞれ。奈津の価値観的に共感できなくても、彼女の情熱と生き様は読んでいて刺激的だったので、是非他人の夫婦の形を覗き見てみたい方には楽しめるのではないかと思う作品ですので読んでみてくださいね〜♪♪

 

 

 



  ├ 村山由佳 -
山田宗樹『きっと誰かが祈ってる』

*あらすじ*

親の病気や生活苦、失踪、虐待や育児放棄など様々な理由で実親と暮らせないゼロ歳から二歳までの子どもたちが生活する乳児院・双葉ハウス。ここでは、赤ちゃん一人ひとりの担当療育者を決めている。赤ちゃんに絶対的な安心感を与える“特別な大人”を、双葉ハウスでは“マザー”と呼び、赤ちゃんとマザーは擬似的な親子関係を築いていく。しかし、赤ちゃんが二歳を迎える前にその親子関係は終わることになる―子どもが物心つく前に。双葉ハウスに勤める島本温子は、保育士歴十二年。最初に担当した多喜が不幸になっているのではと思った温子はある行動に出る…。乳児院で奮闘する保育士を描く、あふれる愛の物語。

 

*感想*

本書のテーマは「乳児期・幼少期に“特別な大人”から愛を注がれて育まれる自己肯定感」と「子供の虐待」についてで、我が子の乳児期を思い出しつつ、涙ぐみながら読みました(:_;)

 

私は「母性ネタ」が好きなので本書の子供と触れ合うシーンに引き込まれたのですが、お若い読者の方や母性に興味がない方でも大丈夫です!主人公の島本温子が以前担当した子供の多喜ちゃんの消息を探し始め、そして多喜の窮地を救えるのか!?というドキドキ展開もあるので楽しめますよ!そして子供を育て守っていくのは親だけではなく、親戚・親族、乳児院の職員、児童相談所の職員、そして時には警察などの社会全体なのかもしれないな…と『きっと誰かが(あなたの幸せを)祈ってる』と強く感じた物語でした。

山田さんといえば『代体』『百年法』などの設定自体に強さがある作風のイメージだったのですが、本書のように身近で不確かで柔らかく温かい『子への愛』がテーマの作品もしっかり読ませてくれて、改めてすごい作家さんだと感動しました(:_;)

 

本書では多喜の窮地を救おうと奮闘してくれる大人たちが出てきますが、実際にはそう上手く話しが進む世の中ではないと思います。でも一人でも多くの子供が明るく正しい社会に大人として羽ばたけるように、私たち大人な努力しないといけないですね。

 

特別な大人に注がれた愛の分だけ、その子供も他者に愛を注げるようになる。

赤ちゃんは、ミルクだけを飲んでいるのではない。いっしょに、やさしい気持ちを飲んでいる。

 

きっと誰もが読後は優しい気持ちになれる作品だと思いますので、是非読んでみてほしいです。

あと、個人的には高校生くらいの読書感想文にも良い作品だと思いました!自分とは生い立ちが違う人がいることや、大人が子供を慈しむ気持ちを読んでどう感じたかを是非原稿用紙に綴ってもらいたいな(*^-^*)



  ├ 山田宗樹 -
染井為人『悪い夏』

 

*あらすじ*
37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞! 迫真の犯罪小説。

26歳の守は地方都市の社会福祉事務所で、生活保護受給者(ケース)のもとを回るケースワーカーとして働いていた。曲者ぞろいのケースを相手に忙殺されていたその夏、守は同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースである22歳の女性に肉体関係を迫っていることを知る。真相を確かめるために守は女性のもとを訪ねるが、やがて脅迫事件は形を変え、社会のドン底で暮らす人々を巻き込んでいく。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出をもくろむ地方ヤクザ。負のスパイラルは加速し、ついには凄絶な悲劇へと突き進む――。

 

*感想*

お・も・し・ろ・かったー!!

ワタクシですね、体調管理のために毎日深夜0時には寝るようにしているのですが、昨夜はもうどうしても本書を読み切りたくて夜中の1時半まで読んでしまいましたよ!眠気も吹っ飛ぶ疾走感と面白さでした!しかも読み終えて本作が著者の初の文芸書になるみたいで、その才能にびっくりしました(((o(*゚▽゚*)o)))

 

本書は「生活保護費の不正受給」を軸に、受給者に肉体関係を強要するケースワーカー、不正受給者から金を巻き上げてシノギにしようとするヤクザ、本当に生活に困窮していて生活保護を必要とする母子たちの群像劇となっています。

物語は序盤から肉体関係を強要するケースワーカーの件とヤクザが絡み始めるので、一気に最高速度で物語が展開され、あっという間に本書の虜になってしまいました!その疾走感たるや、まるでスタートから1.56秒で時速180キロに達するジェットコースター『ドドンパ』の様!しかし本書の凄さは、そんな最高速度で展開していく中にもしっかり生活保護制度の弱点や盲点、そして不正受給やクスリに手を出す人間の弱さなどを詳細に矛盾なく描いているところだと思いました。

 

一番の主人公だと思われる佐々木守が愛美に惚れていく様子、上手くいって自分に自信を持つ様子、そしてその後の壊れていく様子…描写と展開が秀逸すぎて、読んでいて本当に胸が痛かったです… そして守の変化により本当に貧困にあえぐ母子の運命が狂ってしまうという負のスパイラルで、「ここ(守)と、ここ(古川母子)をこう繋げるのかー!!」とただのいち読者である私が頭を抱えて苦悶してしまいました…(:_;)

 

本書はズバリ悲しい物語です。救いのない話が苦手な人には辛い物語かもしれません。しかし我が国の生活保護制度の在り方について考えさせられますし、本書ラストの主要登場人物たちが集結して大乱闘(?)を繰る広げるさまは、新人作家とは思えない筆力で見事なものなので、是非多くの方々に読んでもらいたいです!!

 

染井さん、楽しみながらも考えさせられる物語をありがとうございました!他の作品も絶対に読みますねー!!

 



★さ行 - その他の作家 -
畑野智美 『消えない月』

 

*あらすじ*
出版社に勤務する松原とマッサージ師のさくら、二人は、付き合いはじめ、やがて別れる。それで終わりのはずだった。婚約までした男と女の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない。加害者と被害者、ふたつの視点から「ストーカー」に斬り込んだ、残酷にして無垢な衝撃作!!

 

*感想*

ストーカーによる殺人や事件が起きるたびに、「なんでそんなに執拗に追いかけるのだろうか…」「追いかければ追いかけるほど嫌われるのが判らないのだろうか?」と思っていたのですが、本書を読んで少しストーカーの思考がわかった気がしました。

注:思考はわかったけれど、気持ちはわかりませんからね!←ここ大切。

 

というのも、本書は、『交際している男性の抑圧的な言動に耐えられず別れを切り出したところ、その男性がストーカーになってしまった。』という話で、物語の視点がそれぞれ「ストーキングする側(男性)」「ストーキングされる側(女性)」両視点で描かれるからです。

 

もうその、ストーキングする側の視点が怖い怖い超怖い!別れを切り出した女性(さくら)が、本当に嫌がって距離を置こうとしているのに「さくらは誰かに脅されてそんなことを言わされているんだ」とか、全て自分の都合良いように解釈していて、誰が何を言おうが聞く耳持たずで、ストーキングする人は心の病なのだと戦慄する内容でした。

なので、結局解決方法も皆無に近いのですが、終盤で女性警察官がさくらに言った言葉が印象的でした

 

「相手に会い、自分の怒りをぶつけるために、ストーカーは努力します。警察よりも被害者よりも、努力します。運は平等に、努力する者の味方をします。それが間違った努力だとしても。運だけが彼に味方します。彼以上に努力して、運を河口さん(さくら)の味方にしてください」

 

なんだかこの文章だけを読むと「最後は運頼みかよー!」と捉えてしまいそうですが、そうではなくて、「ストーカーに屈してはいけない」という意味なのですよねきっと。

 

ストーカーする人の気持ちはわからないので、ラストの松原の独白は共感も同情の余地もなくただただ気持ちの悪い文章でしたが、世の中こういう変な人もいるものなのだという勉強になった作品でした。フィクションだとわかっていますが、読書の醍醐味である「自分とは違う人生」を垣間見られた作品でした。

 

是非皆さんも読んでみてくださいね〜〜♪

 

 

 

 

 

 

 



★は行 - その他の作家 -
秋吉理香子 『婚活中毒』

 

*あらすじ*

幸せになりたいすべての男女必読!
婚活にはミステリーがいっぱい!
婚活中の方も、そうでない方もお楽しみいただけます。
――秋吉理香子

 

「理想の男」………崖っぷち女が紹介された運命の相手は連続殺人犯?
「婚活マニュアル」…街コンで出会った美女の暴走に戸惑うマニュアル男は…
「リケジョの婚活」…本命男を絶対に落とす〈婚活ツール〉の中身とは?
「代理婚活」……息子の見合いで相手の母親に恋心を抱いた父親は…

 

*感想*

本書は『婚活』にまつわる、痛快ミステリー本でした☆ 『婚活』と一言で表しても、「結婚相談所」「街コン」「テレビのお見合い番組」「親による代理婚活」とバラエティー豊かな婚活設定になっていたので飽きることなかったですし、何より全話それぞれにトリックというか、“オチ”がある展開だったので非常に読み易く楽しい作品でした☆

 

全話面白かったので、それぞれに具体的な感想を書きたいところなのですが、今回は私が最も気に入った4編目の『代理婚活』についてのみ書かせてもらいますね。

 

何故私が『代理婚活』が良かったのかと言いますと、他の3編の主役は、実際にお見合い→結婚する【当事者】なのですが、代理婚活だけは主役が【結婚する者の親】となり、自分ではまだ味わったことのない状況と気持ちを堪能できたからです(笑)新型のラブストーリーとも言えるかも!

だってですね、35歳独身の息子のために親が代理婚活したはずだったのに、その息子の父親(益男)が、見合い相手の母親(久恵)に恋してしまう物語だったのですよ〜!

本来なら「いい歳したオヤジがっ!」とか「将来息子の義母になるかもしれない相手ですよ!?」と嫌悪感を抱くシチュエーションだと思うのに、益男さんのピュアな部分がなんだか可愛くて、そして息子は縁談を断ると決めているのに、益男が久恵との縁を断ちたくないばっかりに嘘を重ねてゆく姿にハラハラし、かなりドキドキさせられて良かったのです!

そして最後… どうやって「息子は本当は結婚する気がない」と女性側に伝えるかと悩み苦しんだのですが、意外な方法でサクっと解決してしまい… 婚活について詳しくは知らない人にはなかなか「してやられた!」感のあるもので良かったです!

 

ここからネタバレ↓↓

 

なんと女性側の家族は「結納金詐欺」ファミリーだったんです!つまり、結婚相談所側にとって『荒し』というやつですね。なので、益男側から縁談お断り連絡を女性側にすることはなく、物事がまるく収まって(破談になって)しまったという…久恵に惚れていた益男はちょっと可哀そうだったけれど、勉強になって良かったね!ついでにご自身の奥様を大切にしてくださいね!だわw

 

本書はあくまでエンタメ婚活本なので、本当に結婚相談所とかに登録する方への参考やマニュアルにはあまりならないかもしれないですが、息抜きにはなるかと思いますので、婚活に興味がある方もない方も、そして独身の子を持つ親御さんも、是非読んでみてくださいね〜♪

 



  ├ 秋吉理香子 -
1/80PAGES >>
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728  
<< February 2019 >>
Category
Profile
Archives
Comment
Search
Mobile
qrcode
Sponsored Links