読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
黒澤いづみ 『人間に向いてない』

 

 *あらすじ*

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!

 

*感想*

グロテスクな装丁に引いてしまい、自分の感性では選ばない本だとは思ったのですが、『未来屋書店小説大賞1位』という宣伝に惹かれて読んでみました!

 

読んでみたら、お・も・し・ろ・かったー!!「面白い」だけだと語弊があるのだけれど、とにかく「親・大人として考えさせられた」作品でした。

 

物語は、あらすじに書いてある通り、人間を異形の姿へと変貌させる病が現れ、自分の息子(22歳)が虫の異形へと変貌してしまった、親子、いや、親と虫、の物語でした。

最初の設定として、この異形を発症するのが「ニートを中心に」というのが素晴らしいと思いました。近年「ニート」という言葉自体が一般化し、その人数も決して極少とはいえないのではないかという状況で、この「ニートが異形になりやすい」というのは、まるで昔の童話のようではありませんか!因果応報的なね!日本に在住して、日本国民としての権利や福利厚生などをたっぷりと享受しながらも「働きたくない」「納税したくない」「自分は自分の決めたやり方で生きる」なんて言っている人は「自由の裏側には責任が伴う」を理解してないみたいですし、それならもう「そんなんじゃ異形になっちゃうよっ!」って言ってやりたいくらいですわ(;^ω^)

 

と… 思わずアツくなってしまいましたが、とにかくその社会問題を冒頭にちらつかせつつ、そこからは異形となった息子と向き合う親の苦悩が綴られていき、家庭を持つことと子供を持つことの意義というか在り方を色々考えさせてもらえました。

 

本署は「異形」というかなり過激な設定で描いていたけれど、子供がたとえ異形にならなくてもやはり育児は大変だし、それについて夫婦間で考え方も違くて、根底に『結婚や出産というのは、相手の人生を背負う覚悟が必要だ』ということを本書を通して再確認できる本だと思います。

異形となった息子とその親がラストでどうなるのか、是非読んでみてください!怖いけれど、読み応えありますよ〜★

 

 

 



★か行 - その他の作家 -
美輪和音 『ウェンディのあやまち』

 

 

*あらすじ*

客として出会った男にのめり込んでいくキャバクラで働く女。

DV気質のある男と付き合いながら、女優としてドラマに出るチャンスを得た女。

まるで自分を痛めつけるかのようにラブホテルの清掃の仕事に打ち込む女。

三人の女を繋ぐ、幼児置き去り餓死事件の真実とは?

 

*感想*

『三歳男児、餓死 六歳の姉も意識不明の重体 自宅アパートに置き去りか』

の見出しで始まる本書、まず思い出したのは2010年に大阪で実際にあった2児餓死事件でした。多分皆さんも記憶に残っているだろうあの酷い事件です…23歳の母親が、自宅リビングに目張りまでして子供たちを監禁し、自分は交際相手と遊び歩いていたという…

 

本書はその事件とは別のフィクションだとわかっていましたが、登場してくる3人の女の誰が餓死した幼児の母親なのか?幼児たちを放置するようになった経緯は何なのか?などと気になりグイグイ読んでしまいました。その中にはラブホテルの使用方法を例に「大人になりきれない大人」と「実年齢よりも早く大人にならざるを得なかった子供」の描写なども出てきて、本当の「大人になるということ」を考えさせられました。

 

が、しかし… その後は圧倒的に「大人になりきれない大人」と「心は子供なのに、体は大人だかららヤることはヤる」という展開と描写が続き、胸糞悪くて読めなくなってしまいました… 本書前半は「社会派」的な面もあったのに、なぜ芸能界を絡ませてしまったかな…芸能界の実情は私にはわからないけれど、トントン拍子に芸能界が絡む物語になってしまって、ただの下衆な物語になってしまった気がします… 子供を置き去りにする時点で下衆なんですけどね… でももう少しなんというか…本書に登場する女たちには芸能界ではなく、もっと一般人にとって身近な生活をしている女でいてほしかったんですよね。

 

そして結局何度か出てきた「ウェンディ・テスト」というやつも、いくら母性の強めなウェンディだと判定されても、結局子供を守り抜けなかったという結果で、このテストの必要性と正確性に疑問しかありませんでした。フィクションだとわかっていますけどね…

 

実際にあった事件をモチーフにしているのだろうから、もう少々骨太な内容にしてほしかったな… そして二度とこういう非道で惨忍な事件がおきませんように!

 



★ま行 - その他の作家 -
下村敦史 『黙過』

 

 

*あらすじ*

“生命"の現場を舞台にしたミステリー。

 

『優先順位』——意識不明の患者が病室から消えた! ?
『詐病』——なぜ父はパーキンソン病を演じているのか
『命の天秤』——母豚の胎内から全ての子豚が消えた謎
『不正疑惑』——真面目な学術調査官が犯した罪
『究極の選択』——この手術は希望か、それとも絶望か――

あなたは必ず4回騙される――

 

*感想*

下村さんは初めて読んだ作家さんなのですが、内容と文章が「ザ!男性作家!」って感じですね〜。筋肉隆々、無駄な脂肪なし、遠回しな表現なし、女々しい態度なし!という男性像をそのまま文章にした具合の作品だったと思います。

 

本書は5編からなる短編集で、全話“生命”にまつわるストーリーになっています。臓器移植提供者となりえそうな患者が忽然と病室から消えたり、家畜として飼われていた母豚の胎内から子豚が消えたり、妻と娘を亡くした男が意味深な言葉を残して自殺したりと…

それらは短編物語として、一応その話の中で謎は完結するのですが…、なんだかスッキリしない終わり方で、読んでいて非常にモヤモヤイライラしました。そしてそんな調子で4編を読み終え、最終話の『究極の選択』を半ば仕方なしに読むかとページを捲ったところ

 

―前知識が必要なので必ず他の四篇の読了後にお読みくださいー

 

との文言があるではありませんかーー!!!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

まさかこういう構成になっているとは1ミリたりとも考えなかったので、この文言を読んだ瞬間、一気に脳内にアドレナリンが出ました!!私もみんなも大好きな散らばったピースが最終話でピタリとハマる系ミステリーだよこれーー!!って(*^_^*)

 

そして実際に読んでみると、この最終話は本当に素晴らしかったです。それまでの四篇が全てしっかりと生かされている内容で、各話では明かされなかった事実や裏のストーリーがきれいにまとめ上げられていて圧巻でした。そして何よりも”人が生きることの意味“”臓器移植の在り方“について深―く深―く考えさせられました…

 

 

***ここからちょっとネタバレ***

本書の真のテーマは「異種移植」でした。つまり豚など動物の臓器等を人間に移植するということ。そこには色々な倫理や価値観が付きまといます。しかしもし将来、人間の臓器を使わずに移植手術ができる時代が来たら、誰か他の“人間”の死を待ち望む必要がなくなる… だが豚の心臓をまるっと移植して生きることになった人は「自分を動かす心臓は人間のものではない…」という罪悪感や苦しみが出てくるだろう… では心臓まるっとではなく生体弁だけを動物の物を利用するのではどうなのだろうか?それには罪悪感なないのか?部分的に利用なら良いのか?

 

正直私には答えが出せません… しかしこうやって答えが出せずに悩んでいる瞬間にも、移植が間に合わずに命を亡くしている人々がいる… 医学が日々進み、技術的に異種移植ができるようになる日が来ることでしょう。だからこそ、私たち人間は考えなくてはいけない問題ですよね。

 

自分たちの将来のためにも、是非本書を読んで移植について考えてみてはいかがでしょうか?ミステリー調なのでスイスイ読めると思いますよー!

 

 



★さ行 - その他の作家 -
櫛木理宇 『寄居虫女 ヤドカリオンナ』

 

 *あらすじ*

平凡な家庭の主婦・留美子は、ある日玄関先で、事故で亡くした息子と同じ名前の少年と出会い、家に入れてしまう。後日、少年を追って現れたのは、白いワンピースに白塗りの厚化粧を施した異様な女。少年の母だという女は、山口葉月と名乗り、やがて家に「寄生」を始める。浸食され壊れ始める家族の姿に、高校生の次女・美海はおののきつつも、葉月への抵抗を始め…。

 

*感想*

気持ち悪い話でした…(>_<)本当に…櫛木さんもかなりのイヤミスをお書きになられるお方なのですね…

どういう“気持ち悪い”かと言うと、ゾンビ・お化け・血みどろなどの視覚的気持ち悪さではなくて、人間が人の心と判断力を失っていく怖さを、じっくり・べっとり・ねっとりと描く“気持ち悪さ”でした。。。もう気持ち悪いを通り越して「恐怖」でしたよ…

 

物語は、山口葉月という女が、とある家庭を自分の支配下に置き、そして家と家庭を乗っ取るという物語でした。これだけ読むと「そんな簡単に家や家庭を乗っ取ることなんてできるの?」と思うかもしれませんが、本書ではその辺の手法もなかなか具体的に描いていて、かなり説得力のある内容だったと思います。

 

そして本書は構成も良かったです!!

 

1章〜4章で「山口葉月という女に家を乗っ取られ始めている家族の話」(現在)

が具体的に描かれ、

それと同時に各章の幕間に「かつて山口葉月に家を乗っ取られた人の話」(過去)

が綴られるのです。

 

なので、このままいくと“章”の部分で葉月に家を乗っ取られかけている皆川家も破滅に向かうのだろうと推測ができてしまうので、「皆川家の皆さんしっかりして(:_;)!!」とハラハラもして、より楽しめました(気持ちわるいけど)

しかも、物語が後半になっていると、過去の葉月と、現在の葉月に何か違和感を感じるようになり… その理由やトリックもラストでは見事に収束されていて、スッキリと終われました(気持ち悪いけど)

 

でも私が一番戦慄したのは、読み終えて巻末の「引用・参考文献」で『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』という文字を読んだときでした(>_<)

そうだ!そうだ!こういう家族をマインドコントロールして、本書中でもあったように互いを監視させて、殺害させて、そして死体処理までさせていた事件が実際に日本であったんだった!!と思い出しました…

 

本書はその実際の事件を参考にしたフィクションですが、実際にこういう悲惨な事件がいつ自分の身に降りかかるかわからないってことですよね…

怖い…怖い… そして気持ち悪い…

 

間違いなく気持ち悪い作品ですけれど、気持ち悪い=面白い という意味なので、是非読んでみてください♪

 



  ├ 櫛木理宇 -
辻村深月 『噛みあわない会話と、ある過去について』

*あらすじ*

2018年本屋大賞受賞後第一作! 美術教師の美穂には、有名人になった教え子がいる。彼の名は高輪佑。国民的アイドルグループの一員だ。しかし、美穂が覚えている小学校時代の彼は、おとなしくて地味な生徒だった――ある特別な思い出を除いて。今日、TV番組の収録で佑が美穂の働く小学校を訪れる。久しぶりの再会が彼女にもたらすものとは。

 

*感想*

「辻村深月さんって…本物の天才だ…きっと文芸の神の子で間違いないわ…」

と心酔した作品でした!!!

こんな私の拙い言葉で感想を書くのが申し訳ないほどに素晴らしい作品でした(´;ω;`)ウゥゥ

 

本書は4編からなる短編集で、あらすじはこちら↓

◆ナベちゃんのヨメ→大学時代の仲間(ナベちゃん)が結婚することになったのだが、そのヨメが私とは違う価値観を持っているみたいで…

◆パッとしない子→かつての教え子が国民的アイドルとなり、偶然訪れた再会の機会に「先生に話したいことがある…」と言われたのだが…

◆ママ・はは→お友達のスミちゃんは「ママ」ととても仲が良さそう。しかし以前は「母」から随分と抑圧的に育てられたみたいで…

◆早穂とゆかり→小学生の時に地味で目立たなかったクラスメート(ゆかり)が大人になってから塾経営で成功した。ライターであり、当時クラスメートであった早穂はゆかりにインタビューを申し込むが…

 

全話に共通しているのが、少ない登場人物で特別な事件などはなく、基本的に「会話」で物語が進んでいくということ。つまり「構成」や「トリック」などで読ませるのではなくて、「言葉の応酬」と「ニュアンス」が物語の中心になります。

しかしその言葉の選び方がとにかく素晴らしいのです!!本当に!!

 

各話に、言葉で明確に表すのは難しいけれど、「どことなく常識や価値観がズレている人」が登場してきます。そういう人たちと言葉で対峙する際、「なんとなく」「なぁなぁ」「暗黙の了解とその距離感」という大人のやり口が通用せずモヤモヤしたりするのですが、辻村さんは見事にそのニュアンスや真意を活字で書き表してくれて驚きました。

 

例えば、知人の知人である芸能人に「子供の頃は〜な子だったんだってね?」と本人に話してしまうのは「知っているという親近感」を出したくなるから。とかね。

 

そんな中、言葉の応酬が一番激しかったのは、最終話の「早穂とゆかり」だったと思います。のでこの話は一番面白くて、一番ゾクゾクしました。たとえ肉体的にいじめていなくても、言葉で人を「軽んじる」という行為がどれ程に残酷なのかを感じ、そして私が過去にされてきたことや、逆に他人にもそういうことをしたことがなかったか振り返ってしまいました。

 

大人になって言葉を少しは狡猾に操れるようになってきたからこそ、本書中で綴られる言葉が身に刺さります。皆さんもきっと言葉の威力に戦慄すると思いますよ!!

是非読んでみてください!

 

 



  ├ 辻村深月 -
こだま 『夫のちんぽが入らない』

 

 

*あらすじ*

同じアパートに暮らす先輩と交際を始めた“私”。だが初めて交わろうとした夜、衝撃が走る。彼の性器が全く入らないのだ。その後も「入らない」一方で、二人は精神的な結びつきを強め、夫婦に。いつか入るという切なる願いの行方は―。「普通」という呪いに苦しみ続けた女性の、いじらしいほど正直な愛と性の物語。

 

*感想*

インパクトのあるタイトルと、2017年「Yahoo! 検索大賞」(小説部門)を受賞した作品とのことで、以前から気になっていてやっと読めました♪

 

読んだ感想は、ずばり「可もなく不可もなく」という具合。といいますのも、本書はプロの作家ではない著者が、自身の半生を綴ったノンフィクション物語なので、文章や構成などが粗く、内容も俗にいう「人は1冊は本を書ける(誰しも自分の人生にドラマがある)」というもので、文芸書として楽しむものとは違う本だったからです。

 

良い点は、シンプルに「ちんぽが入らない」とは一体どういうことなのか?という疑問と興味をストレートに読者へ抱かせることや、著者の波乱万丈な人生が読めるところ。特に著者の夫婦の関係は非常に少数派なスタイルだと思いますし、「夫婦間にセックスがなくなったら、ただの同居人」と常日頃から思っている私には、著者の夫婦の形はとても新しく、そして「夫婦とは、互いの足りないところを補いあいながら生きてゆく」という初心を思い出させてくれました。

 

あまり良くなかった点は、著者が自身を謙遜するときに「ちんぽが入らない私なんか」と卑下したり、自虐を言うくだりが何度か出てきてしまったところかな。本書の最大のテーマがそこなので仕方がないですけど、少々見苦しかったですね(;^ω^)

 

Amazonの紹介コーナーには、本書への熱いコメントが著名な方々から寄せられていますが、それに惑わされて期待過剰で読まなければ、それなりに驚きと切なさに溢れた作品だと思います★是非読んでみてくださいね〜♪

 

 



★か行 - その他の作家 -
小林由香 『罪人が祈るとき』

 

 

*あらすじ*

自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親──。
同じ空を見上げたとき、ふたりはなにを祈るのだろうか。
涙なくしては読めない感動のラスト!

 

*感想*

もうこれは…(´;ω;`)ウゥゥ

ほんとこれは…(´;ω;`)ウゥゥ

非常にこれは…(´;ω;`)ウゥゥ

お、、お、、お、、嗚咽、、が、、と、、止まら、、ない、、作品、、でした、、(´;ω;`)ウゥゥ

 

本書は、いじめによって苦しむ少年少女と、いじめによって子供が自殺してしまった親の物語でした。いじめに苦しんでいる子供たちの描写も読んでいて辛かったけれど、いじめによって自殺に追い込まれてしまい、子を亡くした親の描写が特に辛くて、、辛くて、、(´;ω;`)ウゥゥ 

 

この設定を読んだだけでも、本書が辛く悲しい内容だとおわかりだと思うのですが、本書は1つの作品として、「どこまで詳しく書くか」の塩梅が非常に上手くて、スイスイ読めるのに心を鷲掴みにされる。濃く読まされるのにサッと場面転換して次のステージに進める。文章も構成も素晴らしい作品だったと思います。

表面的には「復讐劇」に読めるのですが、根幹には「親(大人)として、子どもに何がしてあげられるか(してあげられたか)」が書かれているところが特に秀逸で、今後私自身がどうやって子供を守っていくかと考えさせられながら読みました。

 

「死にたくなるほど辛いときはこの指人形を見せて」

これは私も子供に伝えたいと思いました。「もういいよ。殺せよ。」なんて自分の子供に絶対に言わせたくない。子供が何かしらSOSを出せる環境を大人が作っていかないといけない。

 

死刑や私刑には賛否あるでしょう、しかし本中で風見が言っていた

「私を裁けるのは検察官でも、裁判官でもありません。もしも、私を裁ける人間がいるとしたら、それはいじめによって子どもを亡くした遺族だけです」

は本当に重い言葉で、そして私もすごく納得しました。それ程に、子を理不尽に亡くした親の悲しみは深く、他人にはわからないのでしょう。

 

色々ないじめの形を知っておくことで、大人は子供を守る準備ができると思います。本書はエンタメとしてだけでなく、そういう予防として知っておくためにも是非読んでもらいたい作品だと思いました。

 

面白かったです。涙が止まらなかったです。本書を読んだ経験は絶対に後に役に立つと思います!!すごい作品をありがとうございました(´;ω;`)ウゥゥ

 

 



★か行 - その他の作家 -
加藤シゲアキ 『チュベローズで待ってる』

*あらすじ*

就活に惨敗し、自暴自棄になる22歳の光太の前に現れた、関西弁のホスト・雫。翌年のチャンスにかけ、就活浪人を決めた光太は、雫に誘われるままにホストクラブ「チュベローズ」の一員となる。人並み外れた磁力を持つ雫、新入りなのに続々と指名をモノにしている同僚の亜夢、ホストたちから「パパ」と呼ばれる異形のオーナー・水谷。そして光太に深い関心を寄せるアラフォーの女性客・美津子。ひとときも同じ形を留めない人間関係のうねりに翻弄される光太を、思いがけない悲劇が襲う―。

 

*感想*

2019年1作目の感想ですが、辛口でいきますよー!本当に申し訳ないのですが、私には合わない作品でした(>_<) 本書が好きな方はこの感想を読まないでください💦本当に100%私の個人的感想ですのでm(__)m

 

本書は、就職活動に失敗した青年(光太)が家族を養うためにホストになり、その後の出会いにより人生を切り開いていく。しかし好きな人との別れ、妹との不仲、仕事のトラブルが次々と光太を襲う。その悲しみと問題を乗り越えた先にあるものとは…? 

というような物語で

上巻(AGE22)は大学4年生の頃の就職活動時代

下巻(AGE32)は就職した会社での社会人時代

を描いていました。

 

つまり光太の人生の、就職活動〜社会人10年目までを読むことになるのですが、私からすればその人生は、非現実的で夢物語で人生ってそんなにチョロイものだったっけ?と思ってしまう内容だったのです…

就職活動失敗したらホストにならないかとスカウトされ、ホストになってみたらあっという間にナンバーワン。ナンバーワンになれたのは1人の女性客との出会いがあるけれど、その女性のおかげで再就職活動も成功。入社式には金髪・私服で現れて注目を浴び、仕事で見事に成功を収めて会社での地位もある。仕事で大きなトラブル発生したら、ホスト時代のコネを使って裏社会にまで手を回して解決。最終的には愛した女性客の死亡理由の謎も解けてスッキリ!!

 

ってどうなんですか????光太は光太なりに大変なことあったとは思いますが、人生ってこんな簡単にナンバーワンになれたり、会社内で成功を収められるものではないよね?

本書はホストでナンバーワンになるためや、会社で成功を収めるための指南書ではないとわかっていますが、それにしても簡単にトップに昇りつめすぎだと思いました。光太の人物描写は、そんなに勘が良くて、気配りができて、ゲームをクリエイトする才能があるとは1ミリたりとも感じない書き方だったから尚更違和感がありました。しかも入社式に金髪・私服で現れるものの、その後の仕事の成果で周りを黙らせ、それどころか皆の憧れの的になるとか、随分と中二病的な展開ですよね。「自分のスタイルを貫く」と「好き勝手やりたい放題」は別物ですよ。若い子が読んだならば「自分を貫いた結果が成功に繋がっててカッケー!」みたいに感じるのかな?

そしてその中二病的展開に追い打ちをかけるのが、思想家の名前や作品名ちょいちょい入れてくるところ。「マキャヴェッリの君主論」「ドストエフスキーの罪と罰」「ポール・ワイスの思考実験」とかとか、もう何よこれっ?ヽ(`Д´)ノ高輪ゲートウェイとか虎ノ門ヒルズじゃないけれど、そういう小難しいタイトルとか横文字を書いておけば、本書が深みのある文学作品になるとで思ったのかな。

 

光太の人生を読ませないならば、もっと「抗えない運命」を描くべきだし、光太の恋愛物語を読ませたいならば、大阪のやくざのくだりとか闇の部分を省くべきだったと思う。とにかく色々な要素を取り入れすぎたために、全てが浅い内容に思えました。ラストは泣くどころか無表情で読み終えました。

 

本書ファンの方、こんな私の感想文なんて気にしないでくださいね!!あくまで個人の見解なので!!

 

2019年1発目はかなりの不発でしたので、挽回するべく今年も読書を頑張ります!

 

今年もよろしくお願いいたします〜♪

 

 

 

 



  ├ 加藤シゲアキ -
村山由佳『ミルク・アンド・ハニー』

 

*あらすじ*

脚本家・高遠奈津はプライベートから仕事の中身にまで干渉し、支配する夫・省吾との穏やかだが息が詰まるような田舎暮らしを捨て、いまは東京で恋人の舞台役者・大林一也と暮らしている。しかし、時の経過とともに大林は奈津に無関心になっていき、奈津の心と躯は満たされなくなっていく。
省吾との不毛な離婚協議を続けながら、脚本の師匠・志澤一狼太や大学の先輩・岩井良介ら元恋人たちとの逢瀬で心の隙間を埋める日々。
やがて離婚は成立し、正式に大林と籍を入れるが、そんな時に奈津の前に現れたのは、風俗やハプニング・バーなどを取材対象とするライター・加納だった。
またも性の深淵へと分け入ってゆく奈津が、自由と孤独のその果てに見いだしたものは……

 

*感想*

柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞の三冠に輝いた衝撃作『ダブル・ファンタジー』の続編。ということなのですが、ご安心下さい!『ダブル・ファンタジー』を未読の方でも本書は楽しめますよ〜♪ じつのところ、私は続編だと気が付かずに読んでしまいました(;’’) だって『ダブル〜』を読んだのはもう10年近く前のことなので主人公の名前とか忘れちゃうよね…

 

なので、続編だということは触れずに、本書のみの感想を書きたいと思います(*^-^*)

 

本書は、近年の村山さんの作品によく出るテーマの『セックスレス』を根底に『大人の女性の仕事と婚姻生活と性について』が肉付けされた、アラフォー女性の生き方を描いた物語です。そして主人公の奈津は性欲が旺盛で、夫とセックスレスの状態に強いストレスを抱き、外で他の男と関係をバンバン持つので、「セックスレスぐらい我慢しろ派」の人には、奈津の言動は理解し難く、嫌悪感を抱くかもしれない設定かもしれないと思いました。

かく言う私はというと「夫婦間のセックスレスは重大問題派」なので、奈津の苦悩に心を添わせて読むことが多く、切なかったけれどかなりのめり込んで読み込みましたよー!

 

奈津の性欲が本書の展開のカギを握っているので、とにかく性描写が多いです(;’’)。しかも前作『ダブル〜』を超える刺激を描きたいのか、媚薬という名の合法麻薬、乱交するハプニングバーなど、アンダーグラウンドな部分も描かれているので、「Oops!Σ(゚д゚lll)…」と衝撃を受ける場面もありました…

しかしですね、本書の凄いところは生々しい官能シーンだけではなくて、『関係を持つ男によって変わる奈津の生活と、メール文章の変化』だと私は思いました。

最初の旦那の送ってくる詩のようなメール。W不倫関係の風俗ライター加納との、情熱的に互いを煽りまくるけれど決して簡単に腹の底を覗かせないプロ同士のメール。親戚という禁忌と幼少期からの思い出で純粋に愛をぶつけ合うメール。三者三様で本当に面白かったのです。 特に加納とのやりとりは読んでいてゾクゾクしました!!!言葉を操るプロが紡ぐ愛のメッセージはこんなにも重く深く情念が込められていて、にも拘らず笑いを含むことも忘れず、どこか相手を委縮・服従させるようなラブレターを書くものなのかと。

私もあんなメールを書いてみたい。そして私もそんなメールを受け取ってみたいと。

 

 

P165. 一人の男に心も躯も満たされるなど、所詮は幻想に過ぎないのだろう

 

その答えは本当に難しいと思う。

一般人の私に言わせれば『心も躯も、そして経済力も満たされるなど、所詮は幻想に〜』と、『経済力』というワードも入ってきてしまいますしね。

 

夫婦の数だけ、夫婦の形があることでしょう。奈津と奈津に関わる男性たちの関係もそれぞれ。奈津の価値観的に共感できなくても、彼女の情熱と生き様は読んでいて刺激的だったので、是非他人の夫婦の形を覗き見てみたい方には楽しめるのではないかと思う作品ですので読んでみてくださいね〜♪♪

 

 

 



  ├ 村山由佳 -
山田宗樹『きっと誰かが祈ってる』

*あらすじ*

親の病気や生活苦、失踪、虐待や育児放棄など様々な理由で実親と暮らせないゼロ歳から二歳までの子どもたちが生活する乳児院・双葉ハウス。ここでは、赤ちゃん一人ひとりの担当療育者を決めている。赤ちゃんに絶対的な安心感を与える“特別な大人”を、双葉ハウスでは“マザー”と呼び、赤ちゃんとマザーは擬似的な親子関係を築いていく。しかし、赤ちゃんが二歳を迎える前にその親子関係は終わることになる―子どもが物心つく前に。双葉ハウスに勤める島本温子は、保育士歴十二年。最初に担当した多喜が不幸になっているのではと思った温子はある行動に出る…。乳児院で奮闘する保育士を描く、あふれる愛の物語。

 

*感想*

本書のテーマは「乳児期・幼少期に“特別な大人”から愛を注がれて育まれる自己肯定感」と「子供の虐待」についてで、我が子の乳児期を思い出しつつ、涙ぐみながら読みました(:_;)

 

私は「母性ネタ」が好きなので本書の子供と触れ合うシーンに引き込まれたのですが、お若い読者の方や母性に興味がない方でも大丈夫です!主人公の島本温子が以前担当した子供の多喜ちゃんの消息を探し始め、そして多喜の窮地を救えるのか!?というドキドキ展開もあるので楽しめますよ!そして子供を育て守っていくのは親だけではなく、親戚・親族、乳児院の職員、児童相談所の職員、そして時には警察などの社会全体なのかもしれないな…と『きっと誰かが(あなたの幸せを)祈ってる』と強く感じた物語でした。

山田さんといえば『代体』『百年法』などの設定自体に強さがある作風のイメージだったのですが、本書のように身近で不確かで柔らかく温かい『子への愛』がテーマの作品もしっかり読ませてくれて、改めてすごい作家さんだと感動しました(:_;)

 

本書では多喜の窮地を救おうと奮闘してくれる大人たちが出てきますが、実際にはそう上手く話しが進む世の中ではないと思います。でも一人でも多くの子供が明るく正しい社会に大人として羽ばたけるように、私たち大人な努力しないといけないですね。

 

特別な大人に注がれた愛の分だけ、その子供も他者に愛を注げるようになる。

赤ちゃんは、ミルクだけを飲んでいるのではない。いっしょに、やさしい気持ちを飲んでいる。

 

きっと誰もが読後は優しい気持ちになれる作品だと思いますので、是非読んでみてほしいです。

あと、個人的には高校生くらいの読書感想文にも良い作品だと思いました!自分とは生い立ちが違う人がいることや、大人が子供を慈しむ気持ちを読んでどう感じたかを是非原稿用紙に綴ってもらいたいな(*^-^*)



  ├ 山田宗樹 -
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