SexyZoneの中島健人くんと読書が大好きな主婦の読書記録です☆
年間100作品読破を目指して日々読書に明け暮れ、本を通して感じた事や感動を忘れたくないので、記録として綴っています(*^。^*)
薬丸岳 『刑事の怒り』

*あらすじ*

被害者と加害者、その家族たちのやむにやまれぬ“想い”をみつめてきた刑事・夏目信人が出会った4つの事件。
年金不正受給、性犯罪、外国人労働、介護。
社会の歪みが生み出す不平等や、やり場のない虚しさを抱えつつも懸命に前を向く人々。彼らを理不尽に踏みにじる凶悪な犯人を前に、常に温かみに満ちていた彼のまなざしが悲しき“怒り”に燃えたとき、胸をこみ上げる激情に我々は思わず言葉を失う――。
刑事・夏目信人シリーズ最新作!

 

*感想*

『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』と続く、刑事・夏目信人シリーズ最新刊です♪

シリーズものなので、夏目の娘が意識障害を患っているなどの基本情報は知っていた方が良いとは思いますが、そうでなくても楽しめる短編集だったと思います!

 

本書に収録されている作品はこちら

『黄昏』 母親の死亡後、その母の遺体を暮らし続けた娘の話

『生贄』 強姦された女性たちの話

『異邦人』 海外からの留学生たちの過酷な生活状況の話

『刑事の怒り』 意識障害の患者とその家族の話

 

どの話も、自分の実生活ではなくとも、ニュースで見聞きしたことのあるような設定だったので、すんなりと読めました。特に1話目の「遺体と共に生活をしていた」なんていうのは、近年よく報道される内容ですよね…(>_<)

ただ、設定は「見聞きしたことある」だけれど、本書の面白いところは「ではなぜそういう行動に出たのか?」という「動機」を探っていくところにありました!

結局は罪を犯している時点で、そこにどんな理由や動機があろうが「自己の正当化」というただの犯人の「ひとりよがり」なものになってしまうのだけれど、人の数だけそこには人生という物語があるので、そこの辿り着くまでの経緯は、他人の人生を垣間見ている様で興味深く読みました。2話目の強姦の話は読んでいて辛すぎましたが…(:_;)

 

本書は今までの作品よりも強く「生きる尊厳」を感じました。無駄な命などこの世にはないし、邪険にして良い人間などいないのだと。

ただの犯人捜しの警察小説ではなく、人が生きていく上で何を大切にしていくべきかもヒントをくれるこの夏目シリーズは本当に凄いなと思います。

 

是非是非読んでみてくださいね〜〜♪



  ├ 薬丸岳 -
近藤史恵 『インフルエンス』

*あらすじ*

大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨(ゆり)はある時、かつての親友・里子(さとこ)が無邪気に語っていた言葉の意味に気付き、衝撃を受ける。胸に重いものを抱えたまま中学生になった友梨。憧れの存在だった真帆(まほ)と友達になれて喜んだのも束の間、暴漢に襲われそうになった真帆を助けようとして男をナイフで刺してしまう。だが、翌日、警察に逮捕されたのは何故か里子だった――
幼い頃のわずかな違和感が、次第に人生を侵食し、かたちを決めていく。深い孤独に陥らざるをえなかった女性が、二十年後に決断したこととは何だったのか?

 

 

*感想*

同じ団地で育ったという運命から、お互いを守りあう為に犯罪に手を染めてゆく女性3人の物語でした。

 

物語の序盤は、自宅が近いという理由だけで友達関係になれた小学生時代、そして見た目の垢抜け度や性格の派手さでグループ分けがされてゆく中学生時代という、残酷でリアルないわゆる「スクールカースト」も上手く盛り込まれていてグイグイ話に引き込まれました。

 

そのスクールカーストで考えれば、友人関係になることのなかったであろう友梨と里子なのに、14歳の時に友梨は親友の真帆を痴漢から守るために殺人を犯し友梨は逃亡、しかし警察に逮捕されたのは、その場にいなかった里子だったというところから、3人の切れない運命の糸が絡まり始め、胸を苦しめながら読み進めました。

 

特に30歳を越えてからの、友梨が真帆を助けるために行う殺人は、中高生時代の殺人とは違い、その罪の大きさや、その後の影響とかもわかっているだろうに決断するしかなくて、「借りはつくるものではないな…」とか「タダより高いものはない…」などと思いながら読みました。

こういう「逃れられない運命」、もしくはタイトルの和訳を使用するならば「影響。感化。勢力。威信」という物語だからこそ、もっともっと深い心情描写を読みたかったな〜〜(>_<) 262ページでは少なすぎてちょっと勿体無かったです。もっとそれぞれが殺人という切り札を使うしかなかった苦悩を読ませて欲しかったな。

 

何にしても、やはり近藤史恵さんの作品は面白い!ちょっと終盤物語がドライに感じた箇所もあったけれど(友梨と夏目の関係があっさり終わるところ)、文章が簡潔で美しいのでサラサラと読んでしまいました!

登場人物たちのドロドロ濃い運命を描いた長編群像劇を読むには時間が足りない方には、丁度良い長さと濃さの物語だと思うので、是非読んでみてくださいね〜〜♪

 



  ├ 近藤史恵 -
近藤史恵 『わたしの本の空白は』

 

 

*あらすじ*

気づいたら病院のベッドに横たわっていたわたし・三笠南。目は覚めたけれど、自分の名前も年齢も、家族のこともわからない。現実の生活環境にも、夫だという人にも違和感が拭えないまま、毎日が過ぎていく。何のために嘘をつかれているの?過去に絶望がないことだけを祈るなか、胸が痛くなるほどに好きだと思える人と出会う…。何も思い出せないのに、自分の心だけは真実だった。

 

 

*感想*

人間は忘却の生き物だからこそ、長い人生を生きていけるのだと思う。恥ずかしい失敗、腹が立つトラブル、悔しい結果など、全てを鮮明に覚えていたら身が持たないですからね(^_^;)

そして本書を読んだら、その「忘れたい過去」の中には「好きになるべき相手ではなかった人との恋愛」も入るのかも… と思いました。

 

本書の主人公は記憶喪失になってしまった三笠南という女性です。病院で目覚め、「夫」だと名乗る男性がやってきてもいまいちピンとこなくて、「好きという感情の記憶」すらも喪失してしまったのかと思っていたのに、夢に出てくる一人の美しい男性に心惹かれ、そして胸が締め付けられるように痛み、触れたい衝動に駆られてしまう… 

一体彼は誰なのか?実在する人なのか?一体なぜ南の記憶は無くなり、そして記憶は戻るのか?

という、南の苦悩を描いた物語でした。

 

↓ここからネタバレ↓

↓ここからネタバレ↓

↓ここからネタバレ↓

 

 

南と慎也の関係などに色々違和感があったのですが、結論は言われてみれば結構簡単というか、「ほほー!なるほど!」という納得できるものでスッキリしました。

その結論とは…

南は本当は慎也の弟である晴哉と交際していたのだが、南は晴哉に結婚詐欺行為をされてしまい、お金を奪われ、そして南が戸籍上入籍したのは晴哉とではなくて、慎也とだった(晴哉が自分のことを”慎也“だと名乗っていた)。

からだったのですね〜〜

 

このあらすじだけ読むと、ただの結婚詐欺物語なのですが、記憶のない南が晴哉に会いたくて胸を痛めたり、晴哉が深夜に南に会いに家の前まで来て、南がコートを羽織って飛び出すシーンなどが、とてもロマンティックで、気が付いたら没頭して読んでいました。

これが純粋に「好き」ってことなのですよね。

記憶がない分、南が晴哉に恋しているのは、晴哉の美しい外見もあるかもしれないけれど、地位や財力や性格すらも関係ないDNAレベルで惹かれてるということなのかと感じたのです。

しかしその後、徐々に南は記憶を取り戻し、そして晴哉は「好きになるべきではない相手」と認識し、距離を置くことを決めるのですよね…

その「純粋な恋愛」と「大人の分別のある恋愛」という振り幅に切なくなりました(´;ω;`)ウゥ…

 

幸せになるためには条件を選ばなければならない。

 

そんな大人の恋愛小説でした。

切なかったけれど面白かったー!でも本物の慎也が可哀想だったよ〜(´;ω;`)ウゥゥ

 



  ├ 近藤史恵 -
湊かなえ 『未来』

*あらすじ*

「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」ある日、突然届いた一通の手紙。
送り主は未来の自分だという……。

父親を亡くし、自分の世界に籠りがちな母親と2人で暮らす章子は、未来の章子からの手紙通り、悲しみを乗り越え、そして明るい未来が待っているのだろうか…

 

 

*感想*

私の周りには「湊さんの作品は、読後辛くなるので読めない」という人がいるのですが、今回も「間違いなく辛くなります!」と断言できる作品でした。

 

いじめ、自殺、他殺、性的虐待、売春強要、親の離婚、親の失踪、親の早死、DVなどなど… 不幸エピソードのフルコース過ぎて、逆に現実味が減ってしまっていたとすら思える、ドロドロした作品でしたので…。

『未来』というタイトルから、“明るい未来や希望”を思い描いて読み始めた人はきっとショックを受けると思います、ご注意下さい

 

物語は、主人公の章子(10歳)が父親を亡くし、そして学校生活でも上手くいっていない時に、20年後の章子(30歳)から「20年後のあなたは、むねをはって幸せだと言える人生を歩んでいます。がんばれ、章子!」という応援のお手紙をもらうところから始まります。

ただの応援手紙だと、誰かの悪戯なのかとも思ってしまうのですが、そこには章子自身ではないと知らないエピソードなども書かれていて、この手紙は本当に未来から届いたのではないかと思わされました!

そして、本当に未来から届いた手紙だと信じた10歳の章子が、30歳の章子へお返事を綴る形式で物語が進行していきます。つまり、湊さんの十八番の「独白形式」でね。

 

で、そこから10歳の章子の人生と、章子に関わる人々の人生がそれぞれ綴られていくのですが… もうそれが酷い、酷い、酷いのですよっ!!冒頭でも述べた通り、不幸エピのオンパレード

ここでは誰が具体的にどういう被害にあったのかは書きませんが、その不幸エピのオンパレードについては一言物申させてください!

 

よく自分の生み出した作品は”子供みたいもの“というような言葉を聞くことがあるけれど、湊さんは自分の生み出した登場人物たちをこんなに不幸にさせて辛くないのかな?例えば戦時中の小説とかで、登場人物たちが辛い思いをするのは「現実に起きてしまった歴史」として読者に伝えたいという著者の思いを感じることができるのだけれど、今回のような、ただただ登場人物たちがいじめられ、蹂躙され、絶望を感じさせられることにどんな意味があるのだろうか?と思いました。確かに現実にいじめや性的虐待などはあるでしょう、しかし本書では、複数の少年少女たちが同じような性的虐待を受けていたり、親を亡くしていたりする重複した設定で、ただただ物語をよりグロテスクにして、少年少女たちをより不幸に貶めるために与えた設定としか感じられず、私には気持ちの良くない小説だったのです。

 

本書で著者自身も書いているじゃないですか

 

言葉には人を慰める力がある。心を強くする力がある。勇気を与える力がある。癒し、励まし、愛を伝える事もできる。

だけど、口から出た言葉は目に見えない。すぐに消えてしまう。耳の奥に、頭の芯に、焼き付けておきたい言葉でさえも、時が過ぎれば曖昧な姿に変わり果ててしまう。

だからこそ、人は昔から、大切な事は書いて残す。言葉を形あるものにするために。永遠のものにするために。

P15.から抜粋)

 

そう書いているのにーーー!

何故湊さんは登場人物達をそんなに苦しめるの(;_:)

 

ううう… 章子の未来が気になってほぼ一気読みだったけれど、読んでいて辛く苦しく、そして私には納得のできない作品でした… 



  ├ 湊かなえ -
久坂部羊 『祝葬』

*あらすじ*

「もし、君が僕の葬式に来てくれるようなことになったら、そのときは僕を祝福してくれ」自分の死を暗示するような謎の言葉を遺し、37歳の若さで死んだ医師・土岐佑介。代々信州を地盤とする医師家系に生まれた佑介は、生前に不思議なことを語っていた。医師である自分たち一族には「早死にの呪い」がかけられているという―。簡単に死ねなくなる時代につきつけられる、私たちの物語。

 

*感想*

現役医師作家である著者:久坂部さんは近年、終末医療についての問題提起が多く(昨年読んだ『いつか、あなたも』『老乱』など)、本書もまた最期の迎え方について考えさせられる作品でした。

 

本書は5編からなる連作短編集で、主人公というか、軸となる登場人物は、信州で病院を経営する短命医師家系(土岐ファミリー)でした。

各話で、曾祖父から曾孫まで、どういう医療方針のもと医師として働き、どういうプライベートを過ごし、そして最期を迎えたのかが綴られていくのですが、時代の違いと個人の見解の相違から、それぞれ人物たちに濃厚な物語があり、とても面白かったです!!

 

私が一番ドキドキしながら読んだのは、2話目の『真令子』でした。この話は、今までの久坂部さんからは想像できないほどの「愛憎劇」で、久坂部さんの作家としての実力に驚ろかされました!

簡単にあらすじを紹介しますと、土岐伊織と妻の真令子、伊織の従姉(芳美)の三角関係がベースで、そこから真令子と伊織がそれぞれ不貞をはたらく… という物語でした。

このあらすじだけ読むと、全く医療が関係ないですね(笑)

しかし、その愛憎劇から伊織の真っ直ぐ(愚直)な考え方が読み取れ、しかも患者に対しても真っ直ぐ向き合おうとしてしまったばっかりに不幸を招いたりと物語が繋がるので、是非是非読んでみてください。

とにかく、医療が絡んでいない場面での心情描写も秀逸なので読み応えありますよ!

 

そして一通り土岐ファミリーの短命の運命について綴られたのち、最終章の舞台はかなり先の未来へと移ります。

それは現代以上に「死ねない世界」になっていて、ここでまたも「終末医療」について深く深く考えさせられました。

医療のおかげで、早すぎる死を免れた人がいるのは間違いない。しかし忌まわしい長寿を作り出しているのも事実なのでしょう。

では人は一体何歳で死ぬべきなのだろうか。

自身が望む最期を迎えるにはどうしたら良いのか…

 

人の一生の最期については、哲学的、倫理的、感情的に色々複雑な意見があるでしょう。でも本書を読むと、自分がどういう最期を迎えたいのかなんとなく見えてくると思います。

 

少子高齢化社会と、自分の老後に医療を選択するためにも、本書は読んでおくと良いと思います!

もし最期について興味なくても、愛憎劇がチラホラ絡んでくるので、昼トラ的内容としても楽しめるとも思いますので、是非読んでみてくださいね〜〜♪

 

 



  ├ 久坂部羊 -
辻村深月 『かがみの孤城』

 

*あらすじ*!

あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

 

*感想*

今、売れに売れている作品『かがみの孤城』を読んでみましたよ〜〜ヾ(*´∀`*)

 

近年、本屋大賞の選考に疑問があがることもあったようですが… 本書は純粋に良い作品で、そして面白く、読後に多くの方に読まれると良いなと願った作品なので、本屋大賞受賞をうなずけました♪♪

 

本書は、中学校に通えていない7人の生徒が、かがみの世界の孤城で共に過ごす… という物語でした。

なぜその7人が孤城に集められたのか?学校に行けないままでこの7人はどうなるのか?孤城の主と思われる、オオカミのマスクを被った少女の正体は誰なのか?と色々な疑問が湧き、主人公のこころの行く末も気になって仕方がなかったので、かなり一気読みで読み終えました。

 

物語のクライマックスに入るまでは、主人公のこころがどういう風に学校でいじめられたのかと、孤城内での7人間での人間関係トラブルなどが綴られるので、結局この物語はどこへ向かっているのか(いじめは可哀想ですよの小説なのか?)と、行く先をちょっと心配してしまいました。でもそれを飽きずに読めたのは、ふとした瞬間に「いじめられている中学生の心情」を上手く読者に伝えてくる辻村さんの筆力や技のおかげだったと思います。

例えば、こころの所にフリースクールの喜多嶋先生が来てくれて、こころは洗いざらい自分がされた事を話してしまいたいはずなのに、話せない場面で

 

P210より抜粋

そんなに知ってほしいなら口にすればいいと思うのに、それでもなお、言葉は続きが出てこなかった。この先生なら、きっとちゃんと聞いてくれる、と思えるのに。

大人だからだ、と思う。

だから、言えない。

 

この数行に、現実の世界でも自死を選んでしまう若者たちの気持ちを垣間見た気がしたし、著者が完全に主人公たちの視点でこの物語を綴っているのがわかって、このページ以降はさらに本書への信頼感が増して、この世界に浸りながら読み進めることができました。

 

そしてラストには、オオカミのマスクを被った少女の正体もわかるのですが… これはファンタジー作品が苦手な私でも感動するラストでした(;_:)

なんというか、ただの「なんでもアリの世界」のファンタジーではなくて、「ファンタジーという手法を使ってでも、読者に伝えたい事がある」と感じたのですよね。

その最もなる一文が最後の

『大丈夫だから、大人になって』

でした。

本書では終始一貫して『もっと強くなって』という言葉は使われず、それどころか、『これまで充分闘ってきたように見えるし、今も、がんばって闘ってるように見えるよ』と言ってくれるのです

この言葉こそ、今この瞬間に悩みを抱えている人にかけてあげる言葉なんでしょうね

 

子どもにとっては「学校が世界の全て」になりがちで、そこでのトラブルは深刻だと思います。でも社会人になったらもっと人間関係も選べるようになるから、とにかく『大人になって!大丈夫だから!』と子供たち全員に伝えたいですね。本書を読んで強くそう思うようになりました。

 

本書は忘れてしまっていた中学生の感覚を良い意味で思い出させてくれ、そうやって悩む学生がいたときに大人がしてあげられる事も教えてくれたと思います。

 

はぁ〜〜 本当に良い作品でした!!

生きたいのに生きれなかったオオカミ少女のような子の存在も私たちは胸に留めて、生きれる人はその寿命を全うしようね!!

 



  ├ 辻村深月 -
村山由佳 『嘘 Love Lies』

*あらすじ*

どんな地獄だろうと構わない。でも、この秘密だけは、絶対に守り通す。刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。中学2年の夏にあの事件が起こるまでは――恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちとトラウマを抱えたまま、各々の人生を歩んでいた4人。求め合う体と秘めたる想いが、さらなる苦悩を呼び、暴力の行き着く果てに究極の愛が生まれる。著者渾身の恋愛長編!

 

*感想*

村山由佳さんは、年々作品に厚みと深みが増して、本当に凄い作家さんだなと思いますぴかぴかぴかぴかぴかぴか

本書も期待をはるかに上回る内容で、心が揺さぶられ続け、あっという間に読み終えてしまいましたラブラブ

 

最初、装丁のエロティックさから、村山さんの『ダブル・ファンタジー』的な性愛恋愛小説をイメージして読み始めたのですが、本書はそれよりもさらに奥深い、「親・兄弟・幼馴染・恋人・夫婦」を越えた人と人の繋がりを根底に、その上にある人間ドラマを描いていて、内容が濃く、面白かったですぴかぴか とにかく描かれるエピソードがどれも濃厚なので、登場人物たちと一緒になって「忘れたいのに忘れられない過去」「消せない過去」「この秘密が露呈すれば、自身はもちろん、大切なあの人にも危害が及ぶ」という苦しみに、読者である私も終始向き合わさざるおえなくて、その度に胸が痛み、そして泣きながら読みましたポロリ

 

本書の主人公は、中学生時代の同級生4人(秀俊、美月、亮介、陽菜乃)なのですが、中2の夏にその中の1人が見知らぬ男に強姦されてしまうのです。そして仲間をそんな目に合わせた犯人を許せず報復に動く3人… しかし結果としてその事が4人の人生をその後も支配してゆくこととなり、4人は見えない鎖で縛られているかの如くそれぞれ寄り添い生きてゆく…それが正解なのかどうかは分からず…ポロリ という物語なので、それぞれの愛情、もしくは情愛の表現の仕方が、普通の恋愛小説にはないもので、「人と人を何よりも強く結びつけるものは、秘密を共有した時なのかもしれない」と感じたし、深く考えさせられました。

 

ただ『嘘』というタイトルは、ちょっと私が本書に抱いたイメージとは違かったかな。登場人物たちは、確かに隠し事が多い人たちだったけれど、『嘘』はついていなかったので。基本的には、「知らぬが仏」の優しさからか、色々な事について『隠し通す』ことの方が多い物語だったと思います。

でも『嘘』にしろ『隠し通す』にしろ、自分の全てを曝け出せない苦しみはヒシヒシと伝わってきました。これからの彼らに幸あれ!!そうエールを送りながら読み終えました。

読んでいて辛かったけど、面白かったです。そして自分の平凡な中学生時代が、平凡=幸せだった。と思った作品でした。

間違いなく読み応えあるので皆さんも読んでみてくださいね!!かわいい

 

 

追伸

読書感想とはあまり関係がないのですが、一人でも多くの方に知ってもらえたらいいなと思うことがあるので追記させていただきます。

 

本編で少女が強姦される場面があり、それについて母親が「あなたに隙があったからよ!」と責め立てる箇所がありました。

皆さまはどう思われましたか?

これは先日某タレントが女子高校生に無理やりキスしたとして、芸能界を引退した事件でもあったことなのですが、皆さんもこういう事件が起きてしまったのは、少女たちに隙があったせいだと思いますか?

 

もしも、少しでも女性側にも落ち度があったと感じるようでしたら一度

『公正世界仮説』

という言葉を調べてみて下さい。この言葉の意味を簡単に説明しますと、「善いことは善い人に起こり、悪いことは悪い人に起きる」と心の奥底で願っている心理のことです。

つまり、何も悪いことや落ち度のない人が辛い目に遭うという現実を、人は無意識に拒否してしまうのです。なぜならば、「善い人には善いことがある」と信じている方が社会の秩序が守られるからです。

『公正世界仮説』を信じることは悪いことではありません。しかし、だからといって「被害者側にも隙や落ち度があった」とバッシングするのは絶対に間違っています。それは完全なる『セカンドレイプ』です。

 

これだけの情報化社会なのに、この『公正世界仮説』『セカンドレイプ』という言葉が周知されないのが非常にもどかしくてここに書かせていただきました。

ご一読頂きありがとうございました。<(_ _)>



  ├ 村山由佳 -
東野圭吾 『魔力の胎動』

 

*あらすじ*

映画化『ラプラスの魔女』前日譚
自然現象を見事に言い当てる、彼女の不思議な“力”はいったい何なのか――。彼女によって、悩める人たちが救われて行く……。東野圭吾が価値観を覆した衝撃のミステリ『ラプラスの魔女』の前日譚。

 

*感想*

『ラプラスの魔女』の映画化&公開おめでとうございま〜す桜ぴかぴかぴかぴか

その公開に合わせて、前日譚といわれる本書を発売するなんて、ニクイですね〜〜イヒヒ よ!商売上手!!

 

ということで、ミーハー活字中毒者の私は読んでみましたよ〜〜るんるん

 

本書は、前日譚と触れ込みの通り『ラプラスの魔女』の事件が起こる少し前の頃、羽原円華は何をしていたのか?(どんな事件を解決していたのか)というのを連作短編で読ませていくものでした。さすがに円華が主役だと物語が整理し難くなるのか、工藤ナユタという鍼灸師を主人公に物語が進んでいくのですが、どの話も東野さんお得意の人情ものと、ラプラスらしい科学の謎を融合させていて、面白かったですラッキーラッキー

 

しかし、私は本書を「面白かった」と感じるのですが、羽原円華の能力を“非現実的”と受け取る方には、ちょっと本書は楽しめないかもしれないですねあせあせ

『ラプラスの魔女』に引き続き、今回も円華が色々な自然の力を感じ取り予言したり、物理的実験をするのですが、「なぜそういう力が働いたのか?」という説明は一切ないので、結局円華の特殊能力は、“超能力”に近いものとして受け止められても仕方のない展開なんです。なのでその能力についての整合性や実証可能か云々を気にする方には、少々本書は不満かもしれないです困惑

 

私は科学についてほぼ無知みたいものなので、深く考えずに円華の能力を受け止め本書を読んだのですが、私には1話目の『あの風に向かって翔べ』が面白かったです。引退を考えているスキージャンパーを円華の能力でもう一度最高の飛行をさせてあげる物語だったのですが、比較的シンプルな“風よ読む力”と、”家族愛“と、”最後は自分を信じる力“が混ざり合っていて良い話だと思いました。

 

そして最終章では、まさにラプラス〜の前日譚らしく、青江教授も出てきますし、甘粕才生や水城義郎の名前も出てきて、物語が繋がる瞬間にドキドキしました ただ残念だったのは、もう私の手元には『ラプラス〜』がなくって、「あれ?この人はラプラス〜では何をした人だっけ?」とちょくちょく分からなくなってしまったところです。

 

なので、是非最近『ラプラス〜』を読んだよ!という方や、映画を観られた方は、間を開けずに本書を読まれることをお勧めします

あまり深く考えず、シンプルに楽しんでくださいわーい

 

 



  ├ 東野圭吾 -
秋吉理香子 『自殺予定日』

*あらすじ*

美しく逞しい継母が父を殺した。女子高生の瑠璃はそう確信していたが、証拠はなく警察も信じてくれない。あんな女と一緒に暮らすなんて耐えられない、わたしはお父さんの元に行く。瑠璃は自殺の名所として知られる森に出向くが、“幽霊"の裕章と出会う。彼は瑠璃に自殺を思いとどまらせ、継母が殺した証拠を見つけようと提案する。見つからなければその時死ねばいいと。今日から一週間後。それが瑠璃の自殺予定日となった――。疑念と嘘で絡み合う母娘が迎える結末は?! 大ヒット『暗黒女子』の作者が放つ、一気読み必至の傑作ミステリ!

 

*感想*

これは是非ともティーンエイジャーに読んでもらいたいと思った本でしたぴかぴかぴかぴか

うん十年前にティーンエイジャーを卒業してしまった私でも楽しめましたけどね(笑)イヒヒ

 

本書は「自分の死をもって、継母の犯罪を露呈させようとする少女の話」なのですが、「何故、どうやって実父は死んだのか?」というミステリー要素と、「少女が自殺を決意するまで、そして自殺に失敗してからの心情」という精神的な悩み、その両方がとてもバランスよく綴られていて、飽きることなど全くなく、何よりも少女の弱さに自然と寄り添いながら読み進めることができて良かったですぴかぴか

 

じつは私は初めて本書の装丁を見た時、若い子たち特有の「死への憧れ唖然」みたいのを描いた作品なのかな?と、ネガティブな感情を抱いたのですね。しかし読んでみたら、確かに「自殺希望少女」は登場してきますが、その「自殺」がどれほど残された人たちを悲しませるのかを分かり易く書いてくれていて、そしてその後の立ち直っていく様子もしっかり描かれていて、人生は本書のようにスムーズに上手く展開はしていかないかもしれないけれど、「人と揉めてしまった時は、一度その人とその問題にちゃんと向かい合う。時にはしっかり謝る」ことの大切さを教えてくれる作品でした。

 

また恋愛がちょっと絡んでくるのも、キュンキュンして良かったですラブ

主人公の瑠璃の自殺を阻止し、自殺を止めるように説得する幽霊青年の裕章との終盤のラブシーンは、触れたくても触れられない二人ならではのチューの仕方で(ガラス越しのチューね!ラブラブ)切なくて良かったです ここのシーンを是非実写で見たいから、どなたか映像化してくれないかな(笑)

 

ということで、是非若い子には本書を読んでもらいたいな。

そして

『自殺は自分だけの問題ではない。周囲の人の心も殺す』

という裕章の言葉を知ってもらいたいと思いました。

 

軽い気持ちで読み始めても、本書には収穫が色々あるので、是非是非読んでみてくださいね!!るんるん

 



  ├ 秋吉理香子 -
知念実希人 『崩れる脳を抱きしめて』

 

 *あらすじ*

圧巻のラスト20ページ! 驚愕し、感動する!!!
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。
外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を
通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。
彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか?
ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?
どんでん返しの伝道師が描く、究極の恋愛×ミステリー!!

 

*感想*

先日読んだ知念さんの『あなたのための誘拐』が衝撃的に面白かったので、早速他の作品も読んでいこうと本書を手に取りましたるんるん

 

本書を読んでみた感想は…

「フムフムニコニコ 知念さんはどんでん返しがお好き&お得意なのですね。今回もまぁまぁ面白かったわ。やはり今後も知念作品は読んでいかないとですね!

という感じでしたモグモグ

 

『あなたのための誘拐』がドラマティックに面白かったので、本書への感想は少々テンション低めになってしいますが、でも本書も良かったと思いますぴかぴか

ただ、本書中盤までの第一章は、主人公の研修医(碓氷蒼馬)と、その患者(ユカリさん)の距離が縮まっていく様子が丁寧に描かれすぎていて、途中少し飽きてしまいましたモゴモゴ

なんというか… 余命短い若く美しい儚げなお嬢さんと、そこの病院にやってきた若い研修医って、選択の余地なく恋に堕ちるシチュエーションじゃないですか!? しかもお互い他に頼れる存在がない生活を送っていたのだし… なのでその安易な相手選びに、ちょっとだけ非現実感というか、イラっとしてしまったのですよねたらーっ

また、第一章のメインストーリーは碓氷先生とユカリさんのイチャイチャなのに、碓氷先生が誰かに監視されている様子や、他の患者のカルテを碓氷先生が見ようとした時に院長に強く拒否される謎などがあり、本書はラブストーリ―なのか、ミステリーなのか、はたまたその他のジャンルなのかも見えなくなり、読んでいて不安になってしまいました。

 

が!しかし!!第二章からはミステリーを紐解く展開に様変わりして、一気に面白くなりました!!

もしも私と同じく、第一章を読み進めるのが辛い方がいらっしゃいましたら、是非頑張って第一章を乗り越えてください!とお伝えしたいですラッキー

 

第二章では、そもそもユカリさんは実在していたのか?という謎や、もし本当に実在していたのならば、ユカリさんはどのように亡くなったのか?などのミステリー全開で物語が進んでゆき、『あなたの〜』の時にも感じた、「これが知念さんの筆力なのだろうな」という力を感じられ、とても楽しめましたラブ

 

そして、先ほどは『安易な恋愛』と思っていた2人の恋にも、物語終盤で碓氷先生が、人生のレールを切り替えてでもユカリさんを選ぶシーンが出てくるため、おままごと的恋愛から、生涯の愛への移り変わりが読み取れて感激しちゃいましたポロリ

碓氷先生がユカリさんへ愛の告白をしようとして「環さん…」と呼んだ時に、なぜ「ユカリと呼んで」と言われたのか。。。 これは素敵なトリックだったし、

ユカリさんは、本当はカフェのマスターと愛し合っていたことを知り、一度は失恋をする碓氷先生が、その後の真相に気が付いたどんでん返しも良かったですね〜〜ラブ

 

ということで、結果、本書も面白かったですラッキー

今回も見事に知念さんのトリックに嵌められてしまいました!

楽しませてくれてありがとうございましたぴかぴかぴかぴかぴかぴか

 

 

 



  ├ 知念実希人 -
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